Quantcast
Viewing latest article 3
Browse Latest Browse All 4402

2つの大江山 初夜に鬼に喰われた娘 日本霊異記 今昔物語集

Image may be NSFW.
Clik here to view.

こんな話がある。
聖武天皇の御代、こんな歌が流行った事がある。 「あの娘と結婚したいのは誰だ。俺様《あむち》だぞ、このお方だぞ、皆《よろづの子》が言っている。お前《汝(な)》も南無。聖、釈迦文さかも酒持って来い、車に乗りきれない程乗り法(のり)申し、山の知識尼の、求婚者の溢(あま)し」と言うものだった。 その時、大和国十市郡の菴知(あむち)村、今の天理の庵治だが、その東に大変裕福な家があった。姓は鏡作造で鏡を作ってる一族だった。その家に女の子が一人居て、名付けて万(よろず)の子と言った。顏、姿が端正で、村の若者達は、こぞって求婚したが、みんな相手にせず振っていた。それで、結婚もせす、婚期が少し遅れていたが、両親は、善き家の人がいればと選り好みしていた。 そのうち、ある身なりの良い男が、絹の反物を、車3台いっぱいに載せ、娘に求婚して来た。親達は、相手が金持ちと思い、結婚を許可した。 その男がやって来る日が来て、妻屋の寝所に向かい入れた。 夜になって、妻屋の方から、「痛い」、「痛い」、「痛い」と三度声がしたが、父母は「初夜で慣れていないので、痛がっているのだろう」と気にも留めず寝てしまった。 翌朝、起きて来ないので、老女の召使いが起こしに行き、戸を叩いても返事もせず、寝所を覗くと、 「ギャア!お御主人樣!!万の子樣が。。。」と叫び、父母を呼びに行った。両親が急いで妻屋を見ると、娘は、頭と指を残して喰われてしまっていた。 男は、既に姿を消しており、車3台の絹の反物は、動物の骨に変わって、車はカワハジカミの木になっていた。 近所の者は、何事か?と集まって来て、大変怪しんだ。 親達は、悲しみに暮れ、娘の残った頭と指を棺に入れ、初七日に三宝の前に置き、斎食して供養したのであった。 疑わしいのは、先ず予兆と言うべきとして、災いの前に、この歌が流行った。あの流行歌は、この事件を予見していたのではないか?或いは、不思議な神のさとしだったかもしれない。或いは、鬼が、娘を喰ったのだろうと村の者達は、噂し恐ろしがった。 返す返す思うに、これは前世の怨みが現世ではらされたのだろう。これも不思議な事だ。     日本国現報善悪霊異記 中卷女人悪しき鬼に点(けが)されて食噉(く)らはるる縁(ことのもと) 第三十三 聖武天皇の世に、国挙りて歌詠ひて謂はく、 なれをぞよめにほしたれ。あむちのこむちのよろづのこ。汝もや南無や。仙(ひじり)さか文さかも酒持ち、のり法(のり)まうし。やまの知識あましにあましに といふ。 爾の時に大和国十市郡菴知村の東の方に、大に富める家有り。姓は鏡作造なり。一の女子有り。名付けて万(よろづ)の子と曰ふ。いまだ嫁はず、いまだ通がず。面容端正し、高き姓の人伉儷(よば)ふになほ辞びて年祀を経。 爰に有る人伉儷ひて忩々(しばしば)物を送る。彩帛(しみのきぬ)三車なり。見て※靦(おもねり)の心をもちて兼ねてまた近き親ぶ。語に随ひて許可し、閨の裏に交通(とつ)ぐ。其の夜閨の内に声有りて言はく。 「痛きかな」といふこと三遍なり。父母聞きて相談ひて曰く、 「いまだ効はずして痛むなり」といひて、忍びてなほ寐。 明日の暁に起き、家母(いへのとじ)戸を叩きて驚かし呼べども答えず。怪しびて開き見れば、ただし頭と一の指とのみを遺し、自余(そのほか)はみな噉はる。父母見て、悚慄(おそ)り惆懆(あわ)て、娉妻(よばひ)に送れる彩帛を睠(み)れば、返りて畜の骨と成る。載せたる三の車は、また返りて呉朱臾木(はじかみ)と成る。八方の人聞き、集り臨(きた)り見て、怪びずといふこと無し。 韓筥に頭を入れ、初七日の朝に、三宝の前に置きて斎食をす。すなはち疑はくは、災の表(しるし)まづ現れ、彼の歌は是れ表ならむ、と。或いは神(あや)しき怪(さとし)なりと言ひ、或いは鬼の啖ふなりと言ふ。 覆し思ふに、なおし是れ過去の怨(あだ)なり。斯れまた奇怪(あや)しき事なり。

※靦 見+面

 

歌の「あむち」のと「菴知(あむち)村」、「万(よろづ)の子」と娘の名「万(よろづ)の子」、「乗り法」と「彩帛三車」が一致している。

この話は、今昔物語集にもある。

今昔物語集巻廿 耽財娘為鬼被噉悔語 第卅七 今昔、大和国十市の郡庵知の村の東の方に住む人有けり。家大きに富めり。姓は鏡造也。一人の女子有り。其の形端正也。更に此様の田舎人の娘と思えず。未だ嫁がざる程に、其の辺の然るべき者共、此れを夜這ふ。然れども、固く辞して、年を経る間に、人有て強に此れを夜這ふを、辞して聞入れざる間、此の夜這ふ人、諸の財を車三両に積て送れり。父母、此れを見て、忽に財に耽る心出来て、心解ぬ。然れば、父母、此の人の言に随て許しつ。然ば、吉日を定めて、此の人来れり。即ち寝所に入て、娘と交通しぬ。而る間、夜半許に、娘、音を高くして、「痛や、痛や」と三度許云ふ。父母、此の音を聞て、相諸共に云く、「此れ未だ習はずて交通の間、痛む也」と云て寝ぬ。夜明て後、娘、遅く起れば、母、寄て驚かし呼ぶに、更に答為ねば、怪むで近く寄て見るに、娘の頭と一の指と許有て、余の体無し。又、血多く流れたり。父母、此れを見て、泣き悲む事限無し。即ち、彼の送れりし財を見れば、諸の馬牛の骨にて有り。財を積たりし、三の車を見れば、呉茱萸の木にて有り。「此れ、鬼の人に変じて来て噉たるか、又、神の嗔を成て、量て祟を成せるか」と疑て、歎き悲む間、其の辺の人、此れを聞き集り来て、此れを見て、怪しまずと云ふ事無し。其の後、娘の為に仏事を修して、彼の娘の頭を箱に入て、初七日に当る日、仏の御前に置て、斎会をぞ儲ける。 此れを思ふに、人、財に耽り靦る事無かれ。「此れ財に靦るに依て有る事也」とてぞ、父母、悔ひ悲びけるとなむ、語り伝へたるとや。
こちらは、予兆の歌は無く、財産に目がくらんだ両親の報いだと言う二アンスとなる。 鬼が男に化けて、生娘を喰うと言う奇怪な事件。その事件の前に、予感させる歌が流行ったとある。この霊異記の結論は、前世の怨みとあったが、霊異記の基調である因果応報に持っていっている事に多少の違和感があるが、作者も訳が分からなかった事件だからだろう。

  あなたは、この話を信じますか?

Viewing latest article 3
Browse Latest Browse All 4402

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>