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Channel: 新古今和歌集の部屋
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謡曲 安宅

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安宅                              四番目物 作者不明


頼朝から逃げていた義経は、加賀の安宅関に着き、富樫の某による詮議により窮地に立つが、弁慶が東大寺再建の勧進帳を読んで難を逃れる。
しかし義経の笛を怪しまれた弁慶が、義経を金剛杖で打ちすえて疑いを晴らして無事通過する。のちに歌舞伎や映画で勧進帳として有名。


シテ・同山 旅の衣は篠懸の、旅の衣は篠懸の、露けき袖や霑るらむ。
シテ・同山 鴻門楯破れ、都の外の旅衣
同 日も遙々の越路の末、思ひやるこそ遙かなれ
シテ 扨御共の人々は
同 伊勢の三郎駿河の次郎、片岡増尾常陸坊
シテ 辨慶は先達の姿となりて
同山 主從以上十二人、いまだならはぬ旅姿、袖の篠懸露霜を、今日分染めていつまでの、限りもいさや白雪の、越路の春に急ぐなり。
同山 時しも比は如月の、時しも比は如月の、如月の十日の夜、月の都を立ち出て。
同山 これやこの、行も歸るも別れては、行も歸るも別れては、知るも知らぬも、逢坂の山隱す、霞ぞ春は恨しき、霞ぞ春は恨しき。
同山 浪路遙かに行舟の、浪路遙かに行舟の、海津の浦に着きにけり、しののめ早く明け行けば、淺茅色づく愛發山。
同山 気比の海、宮居久しき神垣や、松の木芽山、なを行先に見えたるは、杣山人の板取、川瀬の水の淺洲や、末は三國の湊なる、蘆の篠原波寄せて、靡く嵐の烈しきは、花のあたかに着きにけり、花の安宅に着きにけり。
シテ いかに申上候、暫く此所に御休みあらふずるにて候。


淺茅色づく愛發山

巻第六 冬歌 657 柿本人麿
題しらず

矢田の野に淺茅色づくあらち山嶺のあわ雪寒くぞあるらし


謡曲 通小町

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通小町                       四番目物 観阿弥

山城の八瀬で修業している僧に毎日薪や木の実を届ける女がいたが、名を聞くと、市原野辺に住む姥だと告げる。小町の説話を思い出し、市原野に来て弔うと小町の霊が現れ喜ぶが、四位の少将の霊が現れ成仏を妨げようとする。
僧は地獄に苦しんでいる少将に、懺悔することを勧め、少将は百夜通いの有様を見せ、共に成仏する。

ツレ いかに申候、又こそ參りて候へ
ワキ いつも來り給ふ人か、今日の木の實の數々御物語候へ。
ツレ女 拾ふ木の實は何々ぞ
地 拾ふ木の實は何々ぞ
女 いにしへ見馴れし、車に似たるは、嵐に脆き落椎
地 歌人の家の木の實には
女 人丸の垣穂の柿山邊の笹栗
地 窓の梅
女 園の桃
同 花の名にある櫻麻の、生浦梨なをもあり、櫟香椎まてば椎、大小柑子金柑、あはれ昔の戀しきは、花橘の一枝、花橘の一枝。

 

※桜麻の、生浦梨

第十六 雜歌上 1472 

題しらず          源俊頼

さくらあさのをふの浦波立ちかへり見れどもあかず山梨の花

女 嬉しの御僧のとぶらひやな、同じくは戒授け給へ御僧
シテ いや叶ふまじ、戒授け給はば、恨み申べし、はや歸り給へ御僧
女 こはいかに適かかる法にあへば、猶其苦患を見せむとや
シテ ふたり見るだに悲しきに、御身一人佛道ならば我思ひ、重きが上の小夜衣、重ねて憂き目を三瀬河に、沈み果てなば御僧の、授け給へるかひもあるまじ、早歸り給へや、御僧たち。
同 猶もその身は迷ふとも、猶もその身は迷ふとも、戒力にひかれば、などか佛道ならざらむ、唯ともに戒を受け給へ
女 人の心は白雲の、われは雲らじ心の月、出て御僧に弔はれむと、薄押し分け出ければ
シテ 包めど我も穂に出て、包めど我も穂に出て、尾花招かば止まれかし
地 思ひは山の鹿にて、招くとさらに止まるまじ
シテ さらば煩悩の犬となつて、討るると離れじ
地 恐ろしの姿や
シテ 袂を取つて引き止むる
地 引かるる袖も
シテ 控ふる
同 我袂も、共に涙の露、深草の少將。


※重きが上の小夜衣、重ねて

第二十 釋歌 1964 

十戒の歌よみ侍りけるに不邪淫戒     寂然法師

さらぬだに重きが上のさよ衣わがつまならぬつまな重ねそ

謡曲 山姥

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山姥                             四番五番目物 世阿弥

山姥の山廻りの曲舞が得意な遊女が、善光寺に参詣の途中急に辺りが暗くなり、宿を貸すといった山の女が、山姥の曲舞を所望し、自分が真の山姥であることを告げ、少しも心に掛けてくれないと恨み、どうせなら暮れて月の夜なら真の姿を見せ、移り舞を舞おうと告げ消える。夜も更け遊女が舞うと山姥が現れ、邪正一如、善悪不二の摂理を説きつつ舞う。山姥の生業を語り、色即是空を説き消える。

前ジテ:山女 後ジテ:山姥 ツレ:遊女百万山姥 ワキ:従者 ワキヅレ:供人 アイ:境川里人

 

百万 恐ろしや月も木深き山陰より、その樣化したる顏ばせは、其山姥にてましますか
シテ 迚もはや穂に出で初めし言の葉の、氣色にも知ろしめさるべし、我にな恐れ給ひそとよ
百万 此上は恐ろしながらうば玉の、暗紛れより現れ出る、姿言葉は人なれ共
シテ 髪には棘の雪を戴き
百 眼の光は星のごとし
シテ 扨面の色は
百 さ丹塗りの
シテ 軒の瓦の鬼の形を
百 今宵始めて見る事を
シテ 何に譬へむ
百 いにしへの
同 鬼一口の雨の夜に、鬼一口の雨の夜に、神鳴り騷ぎ恐ろしき、其夜を思ひ白玉か、何ぞと問ひし人までも、我身の上に成ぬべき、憂き世語も恥づかしや、憂き世語も恥づかしや。


※白玉か、何ぞと問ひし人

第八 哀傷歌 851 

題しらず  在原業平朝臣

白玉か何ぞと人の問ひしとき露とこたへて消なましものを

伊勢物語 第六段

謡曲 葵上

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葵上                        四番五番目物 作者不明

源氏物語葵から。葵上が物の怪に憑かれ、高僧による加持祈祷も効き目がないことから、照日の巫女を呼び、霊を呼び寄せると、上臈の怨霊が現れる。それは六条御息所の怨霊で、賀茂祭の車争いで屈辱を受け、嫉妬の末に怨霊となって憑き祟り、病床の葵の上を打ちすえ連れ去ろうとする。左大臣家は、急ぎ横川の小聖を呼び、加持を始めると御息所は鬼の姿になって現れ、ついに調伏させられ、読経に心も和み、成仏得脱の身となったことを喜ぶ。

前ジテ:六条御息所怨霊 ツレ:照日巫女 ワキ:横川小聖 ワキヅレ:朱雀院臣下 アイ:従者

 

シテ それ娑婆電光の境には、恨べき人もなく、悲しむべき身もあらざるに、いつさて浮かれ初めつらむ。
シテ 只今梓の弓の音に、引かれて顯れ出たるをば、いかなる者とか思し召す、是は六條の御息所の怨霊なり、我世にありしいにしへは、雲上の花の宴、春の朝の御遊びになれ、仙洞の紅葉の秋の夜は、月に戯れ色香に染み、花やかなりし身なれ共、衰へぬれば槿の、日影待つ間の有樣なり、唯いつとなき我心、物憂き野邊の早蕨の、萌え出で初めし思ひの露、かかる恨みを晴らさむとて、是迄顯れ出たるなり。
同 思ひ知らずや世の中の、情は人のためならず。
同 我人のため辛ければ、我人のため辛ければ、必ず身にも報ふなり、何を歎くぞ葛の葉の、恨みはさらに盡きすまじ、恨みはさらに盡きすまじ。


※早蕨の、萌え出で初めし

巻第一 春歌上 32  
題しらず    志貴皇子

岩そそぐたるひの上のさ蕨の萌えいづる春になりにけるかな

謡曲 紅葉狩

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紅葉狩                  五番目物 観世信光

山中の紅葉狩の上臈たちに平維茂が呼ばれ、酒、舞で饗なし、夜の嵐に消える。酔って眠った維茂の夢の中に八幡八幡宮の武内の神が出てきて、上臈達は戸隠山の鬼であると告げ、神剣を与える。
目覚めた維茂は、夢想の剣で現れた鬼神と戦い、これを退治する。

前ジテ:紅葉狩女 後ジテ:悪鬼 ワキ:平維茂 ワキヅレ:従者 ワキヅレ:勢子 オモアイ:供女 アドアイ:武内神

 

ワキ 面白や比は長月廿日あまり、四方の梢も色々に、錦を彩る夕時雨、濡れてや鹿のひとり鳴く、聲をしるべの狩場の末、實面白き氣色かな。
ワキツレ 明ぬとて、野邊より山に入鹿の、跡吹き送る風の音に、駒の足並勇むなり。
同 丈夫が、彌猛心の梓弓、彌猛心の梓弓、入野の薄露分て、行ゑも遠き山かげの、鹿垣の道の険しきに。落ち來る鹿の聲すなり、風の行ゑも心せよ、風の行ゑも心せよ。


※夕時雨、濡れ手や鹿のひとり鳴く

第五 秋歌下 437
和歌所にてをのこども歌よみ侍りしに夕鹿といふことを 藤原家隆朝臣

下紅葉かつ散る山の夕時雨濡れてやひとり鹿の鳴くらむ

※明ぬとて、野邊より山に入る鹿の、跡吹き送る

第四 秋歌上 351
和歌所歌合に朝草花といふことを      藤原通光

明けぬとて野邊より山に入る鹿のあと吹きおくる萩の下風

 

同 かくて時刻も移り行く、雲に嵐の聲すなり、散るか真拆の葛城の、神の契りの夜かけて、月の盃さす袖も、雪を廻らす袂かな。
同 堪へず紅葉。


※移り行く、雲に嵐の聲すなり、散るか真拆の葛城の

第六 冬歌 561
春日社歌合に落葉といふことをよみ奉りし 藤原雅經

移りゆく雲にあらしの聲すなり散るかまさ木のかづらきの山

謡曲 班女

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班女                                      四番目物 世阿弥

美濃国野上の宿の長は、遊女花子が東へ下る途中、吉田少将と契って以来、形見に取り交わした扇ばかり眺めて、閨より出ないので追放する。その秋野上の宿でこのことを知った少将は、都に着き、糺の森に参詣するとそこに物狂いとなった花子が登場し、漢の班婕の故事から班女と呼ばれていた。少将との再会を神に祈り、従者に身を任せ、扇に寄せてひたすら少将への恋心を語り舞う。花子と知って少将は、扇を取り交わすと正気となり、もとの契りを結ぶ。

前ジテ:花子 後ジテ:狂女 ツレ:吉田少将 ワキヅレ:従者 ワキ:都男 アイ:野上宿長

 

ワキ いかに狂女、何とて今日は狂はぬぞ、面白う狂ひ候へ

女 うたてやなあれ御覽ぜよ今までは、揺るがぬ梢と見えつれ共、風の誘へば一葉も散るなり、たま/\心直ぐなるを、狂へと仰ある人々こそ、風狂じたる秋の葉の、心も共に亂れ戀の、荒悲しや狂へとな仰ありさぶらひそよ
ワキ 扨例の班女の扇は候
女 うつつなや我名を班女と呼び給ふかや、よし/\それも憂き人の、形見の扇手に触れて、うち置き難き袖の露、ふる事までも思ひぞ出る、班女が閨の中には秋の扇の色、楚王の臺の上には夜るの琴の聲
同 夏果つる、扇と秋の白露と、何れか先に起き臥しの、床すさましや独り寝の、さびしき枕して、閨の月を眺めん。

 


※夏果つる、扇と秋の白露と、何れか先に起き臥しの

第三 夏歌 283 

延喜御時月次屏風に  壬生忠岑

夏はつる扇と秋のしら露といづれかまづはおきまさるらむ

謡曲 小塩

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小塩                  三番目物 金春禅竹

下京の男達が大原へ花見に出かけると、花の枝をかざし華やいだ風情の老人が現れた、興味を持った男は問いかけると、業平の歌を吟じ歌の意味を説き消える。
男は近所の男に聞くと小塩明神の謂れや二条の后に供奉した業平の歌など語り、不思議を見ることを進めて去る。その夜男の前に在原業平の霊が花見車に乗って現れ、伊勢物語の契った数々の女性を回想し、舞いながら花吹雪の中を消えてゆく。

 

後シテ 月やあらぬ、春や昔の春ならぬ、我身ぞもとの身も知らじ。
ワキ 不思議やな今迄は、立つとも知らぬ花見車の、やごとなき人の御有樣、是はいかなる事やらん
シテ 實や及ばぬ雲の上、花の姿はよも知らじ、有し神代の物語、姿現す計なり
ワキ あら有難の御事や、他生の縁は朽ちもせで
シテ 契りし人もさま/\に
ワキ 思ひぞ出る
シテ 花も今。
同 今日來ずは、明日は雪とぞ降なまし、明日は雪とぞ降なまし、消えずはありと、花と見ましやと詠ぜしに、今はさながら華も雪も、みな白雲の上人の、櫻かざしの袖ふれて、花見車暮るより、月の花よ侍ふよ。


※上人の、櫻かざしの

第二 春歌下 104
題しらず 山部赤人

ももしきの大宮人はいとまあれ櫻かざして今日もくらしつ

 

地 それ春宵一刻値千金、花に香月に影、惜しまるべきは唯此時なり。
シテ 思ふ事言はでただにや止みぬべき
同 我に等しき人しなければ、とは思へども人知れぬ、心の色はをのづから、思ひ内より言の葉の、露しな/\に洩れけるぞや。
地 春日野、若紫の摺衣、しのぶの亂れ、限り知らずもと詠ぜしに、陸奧の、忍ぶもぢずり誰ゆへ、亂れんと思ふ、我ならなくにと、讀しも紫
の、色に染み香に愛でしなり、又は唐衣、着つつ馴にし妻しあれば、はる/\來ぬる旅をしぞ、思ふ心の奧までは、いさ白雲の下り月の、
都なれや東山、是も又東の、果てしなの人の心や
シテ 武蔵野は、今日はな燒きそ若草の
地 妻も籠れり我も又、こもる心は大原や、小鹽に續く通路の、行ゑは同じ戀草の、忘れめや今も名は、昔男ぞと人もいふ。


※春日野、若紫の摺衣、しのぶの亂れ、限り知らず

第十一 恋歌一 994

題しらず 在原業平朝臣

春日野の若紫のすりごろもしのぶのみだれかぎり知られず


伊勢物語 一段

謡曲 采女

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采女                   三番目物 世阿弥

諸国一見の僧が春日の里の春日大社に参詣する。一人の里女が現れ社頭の生い茂る森に更に木を植えているので不思議に思い僧が尋ねると、藤原氏の氏神の春日明神の由来を語り、神木の植樹と述べ、藤の花が盛りの春の景色は霊鷲山の浄土の景色に劣らないと語る。やがて女は僧を猿沢の池に案内し、昔帝の心変わりを恨み池に身を投げた采女を帝が哀れみ歌を詠んだ事を語り、自分はその采女の霊だと告げて池に消える。
里男が僧の問いに答えて采女の事を語り弔いを勧める。
その夜読経する僧の前に采女の霊が昔の姿で現れ、弔いを喜び、昔葛城王が陸奥下向の折、宴を助けた采女の安積山の故事を語る。やがて天長地久を祝い、その舞は仏の功徳を賛美する因縁であると説き、池に消える。

前ジテ:里女 後ジテ:采女霊 ワキ:旅僧 ワキヅレ:同行僧 アイ:春日里男

 

女 宮路正しき春日野の、宮路正しき春日野の、寺にもいざや參らむ。更闌夜静にして、四所明神の寶前に、耿々たる燈も、世を背けたる影かとて、共に憐れむ深夜の月、朧々と杉の木の間を洩り來れば、神の御心にもしく物なくや思すらん。

シテ 月に散る、花の陰行く宮巡り。
シテ 運ぶ歩の數よりも、運ぶ歩の數よりも、積もる櫻の雪の庭、又色添へて紫の、花を垂れたる藤の門、明くるを春の氣色かな、明くるを春の氣色かな。

※朧々と

巻第一 春歌上 55 大江千里?
題しらず

照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき

後女 有難や妙なる法を得るなるも、心の水と聞ものを、騷がしくともあらば、浮かぶ心の猿澤の、池の蓮の臺に座せん、能々とぶらひ給へとよ。
ワキ 不思議やな池の汀に現れ給ふは、采女と聞つる人やらん
女 恥づかしながらいにしへの、采女が姿を顯すなり、佛果を得しめおはしませ
ワキ 本よりも人々同じ佛性也、なに疑ひも波の上
女 水の底なる鱗類や
ワキ 乃至草本國土まで
女 悉皆成佛
ワキ 疑ひなし。
同 増てや、人間にをひてをや、龍女が如く我もはや、變成男子なり、采女とな思ひ給ひそ、然も所は補陀落の、南の岸に到りたり、これぞ南方無垢世界、生れん事も頼もしや、生れん事頼もしや。


※補陀落の、南の岸に

巻第十九 神祇歌 1854
この歌は興福寺の南圓堂作り初め侍りける時春日のえのもとの明神よみ給へるとなむ 榎本明神

補陀落のみなみの岸に堂たてていまぞ榮えむ北のふぢなみ


謡曲 白髭

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白髭                      脇能物 作者不明

近江国白髭神社の縁起から。帝に霊夢があり、白髭明神に勅使た立ち、白髭宮に着くと、釣りする翁に出会い、白髭神社の縁起を語ると社殿に消える。勅使に末社の神が縁起を語り、白髭明神が現れ、舞楽を奏するうちに天女が天灯、竜神が竜灯を捧げて現れ舞をくりひろげる。

前ジテ:漁翁、後ジテ:白鬚明神、前ヅレ:漁夫、後ヅレ:天女、後ヅレ:龍神、ワキ:勅使、ワキヅレ:同行朝臣、アイ:末社神

二人 釣のいとなみいつまでか、隙も浪間に、明くれん
ツレ 棹さし馴るる海士小舟
二人 渡りかねたる、憂き世かな。
シテ 風歸帆を送る万里の程、江天渺々として水光平らかなり
二人 舟子は解く是明朝の雨、面白や比しも今は春の空、霞の衣ほころびて、嶺白妙に咲く花の、嵐も匂ふ日影かな。
二人 賤しき海士の心まで、春こそのどけかりけれ。
二人 花誘ふ、比良の山風吹にけり、比良の山風ふきにけり、漕ぎ行舟の跡見ゆる、鳰の浦半も遙々と、霞み渡りて天つ雁、歸る越路の山までも、眺めに續く氣色かな、眺めに續く氣色かな。


※花誘ふ、比良の山風吹にけり、漕ぎ行舟の跡見ゆる

巻第一 春歌上 128 宮内卿 
五十首歌奉りし中に湖上花を

花さそふ比良の山風ふきにけり漕ぎ行く舟のあと見ゆるまで

謡曲 玉鬘

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玉鬘                      四番目物 金春禅竹 作

源氏物語玉鬘から。旅の僧が初瀬川の岸辺で、里の女が川舟に棹さして寄る辺ない悲しい境涯を嘆いていて、僧に訳を聞かれると、初瀬寺に詣でるとのことで、僧を案内する。
僧が「二本の杉の立所を尋ねずは古川野辺に君を見ましや」の意味を聞くと、右近の作と女が答え、玉鬘の物語をする。玉鬘の話を初瀬の門前の男から玉鬘の物語を聞き、回向すると玉鬘の霊が現れ、死後もなお恋の妄執に永き闇路に迷う身を嘆き、懺悔するとともに永き夢より覚めたと喜ぶ。

前ジテ:里女 後ジテ:玉鬘内侍の霊 ワキ:旅の僧 アイ:初瀬の門前の男

 

シテ女 程もなき、船の泊りや初瀬川、上りかねたる氣色かな。
シテ 舟人も誰を戀ふとか大島の、浦悲しげに聲立てて、焦がれ來にけるいに
しへの、果しもいさや白浪の、よるべいづくぞ心の月の、み舟はそこと、
果しもなし。
シテ ただ我ひとり水馴棹、雫も袖の色にのみ。
シテ 暮て行、秋の涙か村時雨、秋の涙か村時雨、古川野邊の寂しくも、人や
見るらん身の程も、なを浮舟の楫を絶え、綱手悲しき類かな、綱手悲し
き類かな。


※舟の楫を絶え  巻第十一 恋歌一 1071  
題しらず              曾禰好忠?

由良のとをわたる舟人かぢをたえ行方も知らぬ戀のみちかな

謡曲 鵜羽

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鵜羽                      脇能物 世阿弥作

神仏習合による中世日本紀より。勅命により日向国鵜戸の岩屋へ参詣すると、海辺の仮屋に鵜羽を葺いてる海女に出会い、理由を尋ねると、鵜羽葺不合尊の誕生説話を語り、更に勅使が干珠満珠の在る所を聞くと、女は自分が豊玉姫であることを暗示して消える。
岩屋の浦人から岩屋の故事を聞き、松陰で神のお告げを待っていると豊玉姫が現れ、山海増減の満干の玉を讃えて舞い、妙法を願って海中に消える。

前ジテ:海士 後ジテ:豊玉姫の神霊 ツレ:海士 ワキ:勅使 ワキヅレ:随行の朝臣 アイ:鵜戸岩屋の浦人

 

ワキ 鵜の羽葺き合はせずの謂は委承候ぬ、扨々干珠滿珠の玉のありかはいづくの程にて候ぞ
シテ さむ候玉のありかも有げに候、誠はわれは人間にあらず、暇申て歸るなり
ワキ そも人間にあらずとは、いかなる神の現化ぞと、袖をひかへて尋ぬれば
シテ 終にはそれと白浪の、龍の都は豐かなる、玉の女と思ふべし
ワキ 龍の都は龍宮の名、又豐か成玉の女と、聞くは豐玉姫かとよ
シテ あら恥づかしや白玉か
同 何ぞと人の問ひし時、露と答へて消なまし、なまじゐに顯れて、人の見る目恥づかしや、隔てはあらじ葦垣の、よし名を問はずと神までぞ、唯頼めとよ頼めとよ、玉姫はわれなりと、海上に立つて失せにけり、海上に立ちて失にけり。


白玉か何ぞと人の問ひし時、露と答へて消なまし

巻第八 哀傷歌 851 
題しらず 在原業平朝臣

伊勢物語 第六段

白玉か何ぞと人の問ひしとき露とこたへて消なましものを

謡曲 杜若

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杜若                        三番目物 金春禅竹

伊勢物語東下りより。諸国一見の僧が、三河で杜若に見とれていると里の女が現れ、ここが杜若の名所八橋と語り自分の庵に案内すると、女は輝くばかりの装束と冠を着て現れ、装束が唐衣で高子の御衣で、冠は業平のものと告げる。僧の問に答えて自分は杜若の精と明かし、業平は衆生済度のためにこの世に現れた歌舞の菩薩で、その歌はみな仏法の妙文であるから詠まれた草木まで成仏できると述べる。ついでに伊勢物語の女性遍歴を語り舞い、業平が陰陽の神であること、自分も草木成仏の御法を得たと告げ消える。

シテ:杜若の精 ワキ:旅の僧

女 抑この物語は、如何なる人の何事によつて
同 思ひの露の信夫山、忍びて通ふ道芝の、初めもなく終りもなし。
女 昔男初冠して奈良の京、春日の里にしるよしして狩に往にけり
同 仁明天皇の御宇かとよ、いとも畏き勅を受けて、大内山の春霞、立つや彌生の初めつ方、春日の祭りの勅使として透額の冠を許さる
女 君の惠みの深きゆへ
同 殿上にての元服の事、当時其例稀なる故に、初冠とは申とかや。
同 然共世中の、一たびは栄へ、一度は、衰ふる理りの、誠なりける身の行ゑ、住み所求むとて、東の方に行雲の、伊勢や尾張の、海面に立つ浪を見て、いとどしく、過にし方の戀しきに、うらやましくも歸る波かなと、うち詠め行けば信濃なる、淺間の嶽なれや、くゆる煙の夕景色
女 扨こそ信濃なる、淺間の嶽に立つ煙
同 遠近人の、身やは咎めぬと口ずさみ、猶はる/\の旅衣、三河國に着しかば、爰ぞ名のある八橋の、澤邊に匂ふ杜若、花紫のゆかりなれば、妻しあるやと、思ひぞ出る都人、然るに此物語、其品多き事ながら、取わき比八橋や、三河の水の底ゐなく、契りし人々の數々に、名を變へ品を變へて、人待つ女、物病み玉簾の、光も亂れて飛ぶ螢の、雲の上まで往ぬべくは、秋風吹くと、假に顯れ、衆生済度の我ぞとは、知るや否や世の人の女 暗きに行かぬ有明の
同 光普き月やあらぬ、春や昔の春ならぬ、我身ひとつは、もとの身にして、本覺真如の身を分け、陰陽の神と言はれしも、ただ業平の事ぞかし、か樣の申物語、疑はせ給ふな旅人、はる/\來ぬる唐衣、着つつや舞を奏づらん。


※昔男初冠して奈良の京、春日の里にしるよしして狩に往にけり

伊勢物語 一段 初冠

むかしをとこ、うゐかぶりして、ならの京、かすがの里に知るよしゝて、狩にいにけり。その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。このをとこ、かいまみてけり。おもほへず、古里にいとはしたなくてありければ、心地まどひにけり。

をとこの著たりけるかりぎぬの裾を切りて、歌を書きてやる。そのをとこ、しのぶずりのかりぎぬをなむ著たりける。 

かすが野の若紫のすりごろもしのぶのみだれ限り知られず 

となむ、をいつきていひやりける。ついでおもしろきことともや思ひけむ。 

みちのくの忍もぢずり誰ゆゑにみだれそめにし我ならなくに 

といふ歌の心ばへなり。昔人は、かくいちはやきみやびをなむしける。

 

※八橋の、澤邊に匂ふ杜若、花紫のゆかりなれば、妻しあるやと、思ひぞ出る都人

伊勢物語 八段 東下り

むかし、をとこありけり。
 
 そのをとこ、身をえうなき物に思ひなして、京にはあらじ、あづまの方に住むべき國求めにとて行きけり。

 もとより友とする人ひとりふたりしていきけり。道知れる人もなくて、まどひいきけり。 

 三河の國、やつはしといふ所にいたりぬ。そこをやつはしといひけるは、水ゆく河のくもでなれば、橋を八つわたせるによりてなむやつはしといひける。その澤のほとりの木の蔭にて下りゐて、かれいひ食ひけり。

 その澤にかきつばたいとおもしろく咲きたり。それを見て、ある人のいはく、かきつばたといふいつもじを句の上にすゑて、旅の心よめとい

ひければ、よめる。 

から衣きつゝなれにしつましあればはる/\きぬる旅をしぞ思ふ 

とよめりければ、みな人、かれいひのうへに涙おとしてほとびにけり。 

行き/\て、駿河の國にいたりぬ。宇津の山にいたりて、わが入らむとする道は、いと暗う細きに、つたかへでは茂り、もの心ぼそく、

すゞろなるめを見ることと思ふに、す行者あひたり。かゝる道はいかでかいまするといふを見れば、見し人なりけり。京に、その人の御もとにとて、ふみ書きてつく。 

駿河なる宇津の山べのうつゝにも夢にも人にあはぬなりけり 

富士の山を見れば、さつきのつごもりに、雪いと白う降れり。 

時知らぬ山は富士の嶺いつとてか鹿の子まだらに雪の降るらむその山は、こゝにたとへれば、ひえの山をはたちばかり重ねあげたらむ

ほどして、なりは鹽尻のやうになむありける。 

 なほ行き/\て、武蔵の國と下つ總の國との中に、いと大きなる河あり。それをすみだ河といふ。その河のほとりにむれゐて思ひやれば、限りなく遠くも來にけるかなとわびあへるに、渡守、はや舟に乗れ、日も暮れぬといふに、乗りて渡らむとするに、みな人ものわびしくて、京に思ふ人なきにしもあらず。さる折りしも、白き鳥のはしと脚と赤き、鴫の大きさなる、水のうへに遊びつゝ魚をくふ。京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。渡守に問ひければ、これなむ宮こ鳥といふをきゝて、 

名にし負はばいざこととはむ宮こ鳥わが思ふ人はありやなしやと 

とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり。

※信濃なる、淺間の嶽に立つ煙遠近人の、身やは咎めぬ

巻第十 羇旅歌 903 在原業平朝臣 
題しらず
伊勢物語 九段

むかし、をとこありけり。

京や住み憂かりけむ、あづまの方に行きて住み所もとむとて、友とする人ひとりふたりして行きけり。 

信濃の國、淺間の嶽にけぶりの立つを見て、
 
信濃なる淺間の嶽にたつ煙をちこちの人の見やはとがめむ

謡曲 関寺小町

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関寺小町                     三番目物 世阿弥作?

近江の関寺の住僧が、七月七日稚児の和歌の上達を願って、歌道極めている近くに住む老女の庵を伴って訪ね、難波津、安積山の謂れを語り、衣通姫や「わびぬれば」の事から、老女は小野小町と知る。僧は七夕祭に小町を誘い、稚児の舞を見て自分も舞い始める。そして夜明けとともに老残の身を恥じつつ自分の庵に帰っていく。

シテ:老女(小野小町)、子方:関寺稚児、ワキ:関寺住僧、ワキヅレ:随伴の僧

 

地 げにや包め共、袖にたまらぬ白玉は、人を見る目の涙の雨、古ことのみを思ひ草の、花萎れたる身の果てまで、なに白露の名殘ならむ。
シテ 思ひつつ寝ればや人のみえつらんと
同 讀みしも今は身の上に、ながらへ來ぬる年月を、送り迎へて春秋の、露往霜來つて霜葉變じ、蟲の音も嗄れたり
シテ 生命既に限りとなつて
同 ただ槿花一日の榮に同じ。
同 あるはなく、なきは數添ふ世中に、あはれいづれの、日まで歎かむと、詠ぜじ事も我ながら、いつまで草の花散じ、葉落ても殘けるは、露の命なりけるぞ、戀しの昔や、しのばしの古の身やと、思ひし時だにも、また古ことに成行身の、せめて今は又、初の老ぞ戀しき、あはれ實いにしへは、一夜泊まりし宿迄も、玳瑁を飾り、垣に金花を掛け、戸には水晶を連ねつつ、鸞輿屬車の玉衣の、色を飾りて敷妙の、枕づく、妻屋の内にしては、花の錦の褥の、起き臥しなりし身なれども、今は埴生の、こや玉を敷きし床ならむ
シテ 関寺の鐘の聲
同 諸行無常と聞くなれ共、老耳には益もなし、相坂の山風の、是生滅法の、理をも得ばこそ、飛花落葉の折々は、好ける道とて草の戸に、硯を鳴らしつつ、筆を染て藻鹽草、書くや言の葉の枯れ/\に、哀なる樣にて強からず、強からぬは女の歌なれば、いとどしく老の身の、弱り行果ぞ悲しき。


※あるはなく、なきは數添ふ世中に、
あはれいづれの、日まで歎かむと

巻第九 哀傷歌 850 
題しらず 小野小町

あるはなくなきは數添ふ世の中にあはれいづれの日まで歎かむ

ワキツレ いかに申候、七夕の祭遅なはり候、老女をも伴ひ御申候へ
ワキ いかに老女、七夕の祭を御出有て御覽候へ
シテ いや/\老女が事は憚りにて候程に、思ひもよらず候
ワキ なにの苦しう候べき、唯々御出候へとよ。
同 七夕の、織絲竹の手向草、いく年經てかかげろふの、小野の小町の百年に、及や天津星合ひの、雲の上人に馴れ/\し、袖も今は麻衣の、淺猿やいたはしや、目も當てられぬ有樣。


※手向草、いく年

巻第十七 雑歌中 1586 
朱鳥五年九月紀伊國に行幸の時 河嶋皇子

白波の濱松が枝のたむけぐさ幾世までにか年の經ぬらむ

哀傷歌 故里に帰る 筆者不明コレクション

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後朱雀院かくれ給ひて上東門院白河にこもり給ひにけるを聞きて 女御藤原生子

うしとてはいでにし家をいでぬなりなど故里にわが歸りけむ

 おさなかりける子の身まかりにけるに

                源道濟

はかなしといふにもいとど涙のみかかるこの世をたのみけるかな

 後一條院中宮かくれ給ひて後人の夢に

故里に行人もがなつげやらむしらぬ山路にひとりまどふと

小野宮右大臣身まかりぬと聞きてよめる

               權大納言長家

玉のをの長きためしにひく人もきゆれば露にことならぬかな


 小式部内侍身まかりてのち常に持ちて侍りける手箱


 

読み:うしとてはいでにしいえをいでぬなりなどふるさとにわがかえりけむ

意味:後朱雀院の崩御に伯母上様は御出家の身でも憂く辛いと感じて、またお住まいを出られたと聞いているのに、私は出家も出来ずなぜこの実家に帰ってきてしまったのでしょうか

作者:ふじわらのせいし1014~1068藤原教通の娘。後朱雀天皇の女御。

備考:栄花物語 根あはせ 上東門院彰子は後朱雀院の母

 

読み:はかなしといふにもいとどなみだのみかかるこのよをたのみけるかな 隠

作者:みなもとのみちなり?~1019方国の子、信明の孫。正五位下筑前守。中古三十六歌仙の一人。

 


読み:ふるさとにゆくひともがなつげやらむしらぬやまじにひとりまどうと 隠

意味:娑婆に行ける人がいたら言伝をたのむのに。その人に私は見知らぬ死出の山路(中有)をさ迷っていると。だから追善供養をお願いしたい。

備考:藤原道長の娘 威子だが、袋草紙、十訓抄では藤原高遠の幽霊

 


読み:たまのおのながきためしにひくひともきゆればつゆにことならぬかな

藤原長家ふじわらのながいえ1005~1064道長の子。大宮、三条と号する。俊成の曽祖父。

哀傷歌 泣き寝 筆者不明コレクション

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覺快法親王かくれ侍りて周忌のはてに墓所にまかりてよみ侍りける

                     前大僧正慈圓

そこはかと思つゞけてきてみれば今年のけふも袖はぬれけり

 母の爲に栗田口の家にて佛供養し侍ける時はら

 から皆まうで來あひてふるき面影などさらに忍

 侍ける折りしも雨かきくらし降り侍ければ歸るとて

 かの堂の障子に書つけ侍りける

               右大將忠經

誰もみな涙の雨にせきかねぬ空もいかヾはつれなかるべき

 なくなりたる人の數をそとふばに書て哥よみ侍りけるに

               法橋行遍

みし人は世にもなぎさのもしほ草書をくたびに袖ぞしをるゝ

 

読み:そこはかとおもいつづけてきてみればことしのきょうもそではぬれけり 隠

意味:色々と思い続けて亡き師の墓を来てみれば、今年の一周忌も袖が濡れてしまった

作者:じえん1155~1225藤原忠通の子兼実の弟。天台宗の大僧正で愚管抄を著す。

備考:そこはかと墓の掛詞。覚快法親王は鳥羽院の皇子で慈円の師。養和元年十一月六日没。その一周忌の法要。


読み:たれもみななみだのあめにせきかねぬそらもいかがはつれなかるべき 隠

作者:藤原忠経ふじわらのただつね1173~1229兼雅の子。花山院右大臣とも呼ばれる。


読み:みしひとはよにもなぎさのもしおぐさかきおくたびにそでぞしおるる

作者:ぎょうへん1181~1264俗姓は源。仁和寺大僧正。法橋任尊。



筆者不明屏風コレクション三

雑歌上 神代の月影 筆者不明屏風コレクション四

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新古今和歌集巻第十六 雜歌上

春日社歌合に曉月のこころを    攝政太政大臣

天の戸を

  おし明方

  のくもまより

神代の月の

かげぞのこれる

読み:あまのとをおしあけがたのくもまよりかみよのつきのかげぞのこれる 隠

意味:天照大神が天の岩戸を押し開けて再び世界が明るくなり、春日社の天児屋根命が祝詞を奏した時のような明け方の空の間からその神代のままの有明の月の光が残っています。

作者:藤原良経ふじわらのよしつね1169~1206関白九条兼実の子。後京極殿と呼ばれた。新古今和歌集に関与。

備考:春日社歌合

筆者不明屏風コレクション五

武蔵野の紫 筆者不明屏風コレクション六

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古今和歌集巻第十七 雑歌上 867

題しらず よみ人知らず

     むらさきの

     一もとゆゑに

     むさしのゝ

     草はみながら

     あはれとぞ見る

 

読み:むらさきのひともとゆえにむさしののくさはみながらあわれとぞみる

意味:たった一本の美しい紫の花があるために、武蔵野の生えている草がすべていとしく思えます。それと同じで、美しい貴方がいる武蔵野の人や物全てが貴方を思う為ににいとおしく思っています。

筆者不明屏風コレクション七

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