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和歌文学研究 かささぎの渡せる橋

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和歌文学研究 60 平成2年

「鵲の渡せる橋に置く霜の」-百人一首家持歌の解-

堀 勝博
1~7頁

1988年4月~1991年3月兵庫県立神崎工業高等学校教諭(国語科担当)
 1991年4月~1995年3月大阪産業大学教養部専任講師
1996年4月~2006年3月大阪産業大学教養部助教授 
2006年4月~京都ノートルダム女子大学人間文化学部教授
2007年4月~京都ノートルダム女子大学大学院人間文化研究科教授(兼任)

和泉式部続集 かささぎの渡せる橋

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和泉式部続集
 七月七日織女にかはりてまつころ、草の露を始てみる
そのよひをまつすべもなしかささぎのはしも渡らぬ通路もがな

風の音に秋きにけりとおどろきて見れば草葉の露も置きけり

百人一首解 かささぎの渡せる橋

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百人一首解 荷田在満

唐詩に奉和初春幸太平公主南荘應制(蘇味道)鳳皇棲下交天仗、烏鵲橋頭敵御莚、同題(李邕)傳聞銀漢支幾石、複見金輿出紫微、織女橋邊烏鵲起、仙人棲上鳳凰飛。是ら公王の家なれば、禁中と同じく比したり。禁中を紫微北極といふなれば、禁庭の橋を烏鵲橋といふべし。…略
鵲のわたせる橋の霜の上を夜半にふみ分ことさらにこそ。良岑宗貞五節の舞妓をみて、天つ風雲の通路とよみたると同義也。

百人一首一夕話 21 巻之八 1 蔵書

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百人一首一夕話巻之八

  目録
西行法師  歌譯
 西行の俗名義清なる話       西行二見浦に住する話
 文覚西行初て對面の話       銀の猫の話
 江口遊女の話           双林寺庵の話
 御裳濯川宮川歌合の話       吉野苔清水の俗説の話
寂蓮法師  歌譯
 寂蓮顕昭独鈷鎌首争の話      三軆和歌の話
皇嘉門院別当  歌譯

式子内親王  歌譯
 内親王齋院を辞したまふ話     定家卿に御名立たる話


鎌倉の右大将、西行
をして弓馬の道を
とかせられし。大江
千里が月みれば
の歌のごとく
なりと答へし
かば、頼朝たゞ
ちに其奥義
を悟りたまひ、
西行の帰るに
臨んで、
白銀の
猫を
與ふに、
是を懐
にして、

我に用
なしとて、
門前の
童にあた
へて去。慎
に富貴
捨て塵
の如く、
黄金
見る
  事、
塊に
似たりとは、
かゝる涼
   しき
心をや
 いふべし


江口の里は津國
に在、昔は遊女
などあまたありし
所にして、今草
堂を結びて、江口
の尼の像、西行の
像などを置きて、
君堂と称す。是
江口といへる謡曲に
依て、後人のいとな
みなせる物
なり。撰集
抄にみへたれ
ども、今草堂
に傳へいへるとは
異なり。

浅野群載遊女
の記に、江口を河
内の國とす蟹
嶋、神嵜とも
     に

遊女の名多く
あげたり。
按るに、
今蟹
嶌と称する
所なし
江口と
神崎
 との
中央
 なる
かじま
  村は
後世
 かに嶋の
 謝れる
 もの
   哉


荘周蛮觸の争ひ
列子が鄭人の鹿、
倶に喩を執て世
上の名利をあら
そふに比す。顕昭
寂蓮、歌の
間に
於て、
日々に
和哥を
評じ争ひ
しは、荘列
にいへるたぐ
ひにあらず
   して

其あら
 そひは
 君子
  なりと
 いふ
  べ
  し


卞和、璞を献ず。人石也と
する事二度。遂に左右の
足を切らる。依而、
璞をいだいて泣。
昆山のもと、涙
盡て血を以て
これにつぐ事
は、韓非子に
出たり。彼韓
退子が、千
里の馬有
れど、伯樂
なしといへる
が如く、
  秀才

賢能
 の士
あれ
  ど
人是
  を
 知る
  事
 なきに
  たとふ

百人一首一夕話 22 巻之八 2 蔵書

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殷富門院大輔  歌譯

後京極摂政前太政大臣  歌譯
 頼朝卿後京極殿の婚礼を冊かるゝ話 良経公賊の為に殺されたまふ話
 新古今集序者の話         後京極殿書風の話
二條院讃岐  歌譯
 頼政鵺を射る話          仲綱が馬を木下と名づける話
 高倉宮に謀反をすすめ奉る話    宮三井寺に落たまふ話
 長谷部信連防戦の話        宇治川合戦の話
 頼政自害の話           沖の石の讃岐といふ話
鎌倉右大臣  歌譯
 頼朝卿薨去の話          頼家二代将軍の話
 頼家足立景盛が妻を奪ふ話     比企能員北条の一族を亡さんとする話
 諸軍一幡君の舘を囲む話      頼家伊豆に蟄居の話
 二俣川軍立の話          時政豆州にて卒去の話
 宋人陳和卿鎌倉に来る話      度宋の大舩を造る話
 実朝右大臣に任せらる話      鶴岡社参公暁実朝を斬る話
 実朝公の首雪中より出る話     尼将軍の話
参議雅経  歌譯
 雅経賀茂の社日参の話       飛鳥井家懐紙書法の話
 歌鞠両道の話


高倉の宮、御謀反露
見しかば、頼政父子守
護し奉りて、三井寺へと
落し奉るに、宮中の
人々東西に離散す。獨
信連、憤然として踏止り、
兵卒の競来るを防ぎ、
猛勇あたりを拂ひ、
平卒を倒すこと、
夥なりといへども、
多勢宮中に充
満遂に信連と
宮女三人を生捕、
六波羅へひかる。
屡鞠問にあふ
     と

いへども、
信連更に
屈せず
  して
大言す。
言皆忠
節による。
宗盛、其
勇を惜
んで囹圄
の中に繋ぐ。
倖に其命を
全ふし、子孫
いまに至て、血食
  する事
   宣なり


賈誼が過秦論に
殽凾の固に
拠雍州の地
を擁すと宇
治勢田將に
王城の殽凾
なり故に師
を交るに其
橋を引事
古より数度然
れども防もの
遂に利を得る

事なし呉起
魏王と西河を
下而嶮にあらず
徳に在とは
千古の
 名言なる
    をや


扇の
 芝
  にて

さき
 にほふ
こずゑ
  を
 とへば
 苔の
  下の
その名も
 花に
あらはれに
   けり
 實隆卿

百人一首一夕話 23 巻之八 3 蔵書

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國道なきときは忠臣
讒者の舌頭にかゝ
って魂魄帰する
なきもの和漢その
ためし少なからず
天爭忠臣に
報ずる事の
うすきやされ
共千歳の後
史札にのせて
芳名を仰ぐ
秦の趙高
宋の榛槐が
如き三尺の童
といへどもまさに

つばきばきす
北条義時が奸
悪なる重忠が
如き忠臣を
舌頭に
 斃す事
  各如
しかれども
 遂に
  九代の
 榮を
  うくるは
   なんぞや


實朝公朝廷に功なく
而尊官をもとむる
事祖先に過大江
廣元驕僣ふ祥
なりとして深く
是を諌む辞るに
源家の正統予
に盡ん故に尊
官を貪而後
来の栄をきは
むと當時北条
氏のありさま
ひそかに見る
   ところ
有て

ある
 か

 暗
  に

その
こと

 の
ふ祥
  に
あた
 れる
  か


公暁は義時の奸計に陥り伯
父たる實朝公を殺する事
ひとへに智のいいたらざるところか
將佛門に入りし身の有まじき事
なれども全くは武道に長じ
心高遠に馳るが故にかゝる
悪心を起し其身も亦
定景に討れしは浅まし
實朝また武備厳ならば
郭たやすくは討れ給ふ
まじきに廣元嘗て
下腹巻を進め参ら
せしかども其儀なく
殊に解剱有て
武備更に無
かりし故にかく
口惜き事には
  なり
   給へり

画工眞虎云
神社解剱の
例故實有る
事也其宮
姫神ならば
解剱在雄
神は解剱
せざるよ
   し
實朝其
夜剱を
仲章に
執らしむ殊に
公は天下の武将
として爭解剱
せしやもしくは
鶴ヶ岡の相殿
に姫神在す
  にやと


公暁をして實朝公を
殺せしめ大逆
なるを以公暁
を誅す其姦
謀悉く北条
氏より出こゝ
に於て源
家の正統
既に
盡た
 り

 時




りと
 称す
 れ共
其實
 は
偽り
 飾る
 ものか
 大姦は
  忠に似
 大作は
  信に
   似たり
  とは是
   なるべ
      し


雅経卿、歌道に秀給ふのみならず、   晋の陶侃舩を造る時其
蹴鞠のほまれ高く、舎兄の宗長     木屑を集て是を掌どら
卿とゝもに、普く美名を震ふ。     しむ後正會に雪はじめて
宗長卿を難波家と称し、雅         はれ地潤ふ時木屑
経卿を飛鳥井家と称す。          をもて地に布く
ことに飛鳥井家は世々歌           佐々木入道
鞠の誉高く、既に東山            竊にこれに
殿の御時、屏風の色紙            ならひし
         の              もの
     押やうも、               か
飛鳥井
大納言
雅親
 卿の
傳達に
よられ
 し
 とぞ

つれ/"\草に
中書王の御
鞠の時雨降
りて庭の
かわか
ざり
 ければ
佐々木
隠岐入道
鋸の屑を
たてまつ
られし
  を
 のせ
  たり

百人一首一夕話 24 巻之九 1 蔵書

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百人一首一夕話巻之九
  目録
前大僧正慈圓  歌譯
 叡山をわがたつ杣といふ話     柿の本栗の本の話
 慈圓為家卿の出家を止めらるゝ話  人ごとに一つ癖の歌の話
 壷の石ぶみの話
入道前太政大臣  歌譯
 公経公西園寺を建立の話      北山々荘の話
權中納言定家  歌譯
 定家卿初の名光季といひし話    定家卿殿上にて雅行をうたるゝ話
 俊成卿の歌によりて定家の堪事を許さるゝ話
 定家卿漢学弓馬の諸藝の話     定家後鳥羽院の寵衰る話


 定家卿剃髪明静と号する話     小倉山荘の話
 百人一首の事明月記によるべき話  宇津宮弥三郎入道の話
 明月記題号の話          定家の家處々にありし話
 定家猫を愛せられし話       為家卿の話
 阿仏尼鎌倉に下らるゝ話      為世卿為明卿の話 


白氏文集に狂歌
あり。又本朝文粋
にも狂哥有。倶に
詩の一体なり。今
いふ狂詩といふ
ものにあらず。古
亦狂歌有、只
其折にふれて
打興じたる
さまにして、
かの水無瀬
殿に柿
本栗本
をわかち
て、其いや
しく興
じたる
かたを栗
本と
 いへる。

是すな
はち狂
哥なり。
近ごろ
よみいず
るは、古今
集の俳
諧体に
ならふと
いへれど、其
さま似て
非なるもの
にして、又
異様の
 一種
  なり



車の製は、周禮の
考工記にのせて詳。
皇國の製にいたっては、
各其家に傳ふる所
あり。西園寺殿北山に
趣かるゝの圖にいたって
画史よく其家の
車の製を正して
これを画く。只その
後素の精密
  なるをみる
     べし

百人一首一夕話 25 巻之九 2 蔵書

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従二位家隆  歌譯
 家隆卿寂蓮の婿たりし話      一代の詠歌六万首ありし話
 家隆の歌を亡室軆といふ話     天王寺にて七首の歌を詠せらるゝ話
 家隆塚の話            子息隆祐の話
後鳥羽院  御製譯
 高倉院御譲位の話         頼朝豆州に兵を起す話
 義経黄瀬川にて頼朝に對面の話   木曽義仲筑摩川合戦の話

 平家安徳帝を奉じて西國に落る話
 範頼義経義仲を討話        静吉野に捕はるゝ話
 政子静に舞所望の話        後鳥羽院御譲位の話
 後鳥羽上皇刀劍をうたせたまふ話  強盗交野八郎の話
 上皇白拍子亀菊を寵したまふ話   上皇鎌倉を亡さんと謀りたまふ話
 鎌倉の大軍上洛の話        宇治勢多合戦の話
 上皇を鳥羽殿へうつし奉る話    上皇隠岐國へ遷幸の話
 遠所歌合の話           上皇隠岐にて崩御の話
 北条時頼上皇の祠を鶴岡に建る話  水無瀬の社の話
順徳院  御製譯
 佐渡の國に遷幸の話        土御門院遠國へ遷幸の事を希みたまふ話
 土御門院土佐より阿波へ遷幸の話  中山にて大雪にあはせたまふ話


 土御門院の若宮八幡宮の神慮によりて御即位の話


        徹山
 むかしとふ
  袖ぞしぐるゝ
     をぐら
       山
そむる
 紅葉
  の
秋ならね
  ども


漢土におゐて、筆
跡のもっとも高價
なるものは、右軍の
書なり。千金を以て
もとむるとも得がたし。
かの小倉の色紙に
いたって、世多く傳
ふる有といへども、
其真を得ることの
かたき、右軍の
書に相似たり。今
家々に秘し傳る
ものは、白川候の
集古十種に
   あげたり

※右軍
王 羲之。中国東晋の政治家・書家。字は逸少。右軍将軍となったことから世に王右軍とも呼ばれる。


いざよひ日記に
      いふ
廿五日菊川を
出てけふは大井
川といふかはを
     わたる
  水いとあせて

 きゝしには
   たがひて
 わづらひなし
  かはらいくり
      とかや
   いとはるか
       なり
   水のいでたらむ
  おもかげ
     おし
     はからる




後京極殿、
家隆卿に、
當時の歌
よみは何れと
問はれしに、遂に答へず
わずかにたゝふ紙を落
して立れるに、ひらきみ
られしに、定家の歌きし
あり。是いはゆる公孫竜が
如き、 弁を以て人をふく
するにあらず。只理をもて
       これをいふ


以圖果報ヲ
之念ヲ、而學ヒバ
佛ヲ、終無シ
成佛之日、
矣、學佛ヲ
者、従慧
眼入レバ較
易シ

家隆卿和歌の達
人にして、後亦佛
法に志し、天王寺
のほとりに、庵を
結び、遂に往生
の素懐をとげ


とき、
高僧
といへ
  ども
及ざる
に似
たり

これいはゆる
慧眼の人
ならん哉


新古今の世界 蔵書

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岩波
講座  日本文学史 第6巻 中世


新古今の世界   西郷信綱


             岩波書店



著者:西郷信綱
発行:岩波書店
初版:昭和34年4月11日

目次
序 日本的抒情
一 俊成の位置
二 定家の作品
三 新古今的状況
四 新古今諸歌人
五 二つの道
 参考文献

西郷 信綱(1916年1月3日 - 2008年9月25日)
日本文学者。横浜市立大学名誉教授。上代文学・古代文学専攻。
大分県生まれ。東京帝国大学英文科に進学したが、斎藤茂吉の短歌に傾倒して国文科に転じ、1939年3月卒業。丸山静とともに「アララギ」派の短歌に傾倒する。戦後、鎌倉アカデミアの創設に参加し教授、その後横浜市立大学教授を長く務め、定年後法政大学教授、この間ロンドン大学教授も務めた。

百人一首一夕話 26 巻之九 3 蔵書

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雄略帝御狩のとき、
猛き猪のくるひ出て、
夥の人をなやなせ
しに、帝一足にして
これを薨したまふ。
後鳥羽の上皇、
たゞ一挙にして、
片野の八郎を
伏せさしめ給ふ。
倶に其勇
   惟ふべ
     し


世の中の、乱れし
さまの浅ましき、
筆墨の上だに、
見るに忍びがたし。
いはんや当時に於
てをや。今日昇
平の有がたき、誰
か是をもって
おもはざら
    んや


太平記に曰
俊基朝臣再び関東へ下向
有し時、宿の名をとひ給へば、
菊川と答ふ。承久の軍に、
光親卿院宣書給ひし
罪に依って、関東へ召
下され、此宿にて
昔南陽縣菊水
といふ、四句を書た
りし事を、思出て、
遠き昔の筆の跡、
今は我身の上に
成り、あはれやいと
まさりけん、一首の
哥を宿の柱にぞ
    かゝれける。
いにしへもかゝる
  ためしを菊川の
 おなじに

  身をや沈めん

承久記には、中御門前
中納言宗行とあり、
太平記に、光親と有は
誤てるものか

風俗通云
南陽酈縣有甘谷
谷水甚美云其
山有大菊水従
山上流下得其
滋液谷中有
三十餘家不
復穿井悉飲
此水上壽百二三
十中百餘下七八十
名之大夭

※ 風俗通義


承久の乱起らんと
為の以前、土御門
帝、未其時にあら
ずと、深く諌給ふ
といへ共、用ひられず。
後二帝、遠嶋に
うつりまします
時、獨此帝の
其事にあ
たり給は
ざるを以
都にとどめ
まゐらせん
とせしに、父
帝と其愁
を倶にせんと、
みづから望んで
遠島にうつり
給ひ、鳳駕遂

にかへらざるに至
る。四条帝崩
御の後嗣なし。
北条泰時、ね
んごろに此帝
の皇子を、
廃宮の
内に需
て、九
五の位
に進め
奉る
夫孝の
大なる、は
たして其栄
を子孫に受。
詩曰孝子
匪匱永錫
尓類

※九五
《易で、九を陽とし、五を君主の位に配するところから》天子の位。
「ふたたび―の帝位をふませ給はんこと」〈太平記・四〉

※詩
詩経 大雅 既醉


    貞信公
君がためいはふ
こゝろのふか
    ければ
ひじりの
  みよの
 あと
  ならへ
   とぞ

(了)

近江八景1 浮世絵広重図(印刷)コレクション

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近江八景 歌川広重 保永堂板


近江八景之内

  矢橋帰帆

真帆かけて
 矢橋に
  かへる
   舟はいま
うち出の
 はまを
  あとの
   追風


近江八景之内

  比良暮雪

雪はるゝ
 比良の高根の
   夕ぐれは
 花の
  さかりに
 すぐる
   はるかな


近江八景之内

   堅田落雁

峯あまた
 こへて
   越路に
    まづ
     ちかき
堅田に
 なびき
  おつる
    かりがね


近江八景之内

  瀬田夕照

露しぐれ守
やまとほく過
きつゝ夕日の
わたる瀬田
の長はし

近江八景2 浮世絵広重図(印刷)コレクション

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近江八景 歌川広重 保永堂板


近江八景之内

   唐崎夜雨

夜の雨に
 音をゆづりて
     夕風を
よそに
  そだつる
 から崎の
    まつ


 三井晩鐘

思ふその暁ち
ぎるはじめぞ
とまづきく
三井の入あひ
のかね

近江八景之内


近江八景之内

  粟津晴嵐

雪はらふあら
しにつれて
百ふねも千
ふねもなみの
あわずによする


近江八景之内

  石山秋月

      外
 いし山や なら
  にほの  ぬ 
明  うみ か
 石  てる な
  も  月
 すまも  影は

和漢朗詠集 白居易 香炉峰下 筆者不祥コレクション

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遺愛寺鐘

 欹枕聽

香爐峯雪

 撥簾看



遺愛寺の鐘は枕をそばだてて聴き
香爐峰の雪は簾をかかげて看る

香爐峰下新卜山
居草堂初成偶題
東壁
    白居易
日高睡足猶慵起
小閣重衾不怕寒
遺愛寺鐘欹枕聽
香爐峰雪撥簾看
匡廬便是逃名地
司馬仍爲送老官
心泰身寧是歸處
故郷何獨在長安

和漢朗詠集
山家



平成30年9月11日 壱/八枚

古今集賀歌 貫之 梅花 日野資時筆コレクション

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春くればやどに

 まづさく梅の

     はな

 きみが千とせの

   かざしとぞ
        みる


古今和歌集巻第七
  賀歌
もとやすのみこの七十の賀のうし
ろの屏風によみてかきける
                紀貫之
春くればやどにまづさく梅花君がちとせのかざしとぞ見る

読み
はるくればやどにまずさくうめのはなきみがちとせのかざしとぞみる


○野大納言資時卿

日野資時
元禄三年(1690年)-寛保二年(1742年)
江戸時代中期の公卿。日野家の分家豊岡家から養子にはいり本家を嗣ぐ。
享保七年(1722年)参議兼左大弁
享保13年(1758年)権大納言
従一位。53歳。号は瑞光院。

平成30年9月11日 壱/八枚

賀歌 興風 菊水 コレクション

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山川のきくの

 下水いかなれば

ながれて人の

 老をせくらむ


新古今和歌集巻第七
  賀歌

 題しらず          藤原興風
山川の菊のしたみづいかなればながれて人の老をせくらむ

読み
やまかわのきくのしたみずいかなればながれてひとのおいをせくらむ


内大臣

平成30年9月11日 壱/八枚

賀歌 清輔 河水久澄 藤谷為信筆コレクション

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としへたる宇治の

  橋守ことゝ
     はむ

 の 幾世に

  水  なりぬ
   上


新古今和歌集 巻第七
  賀歌

嘉應元年入道前関白太政大臣
宇治にて河水久澄といふこと
を人々によませ侍りけるに
               藤原清輔朝臣
年経たる宇治の橋守こととはむ幾代になりぬ水のみなかみ

読み
としへたるうじのはしもりこととわむいくよになりぬみずのみなかみ


藤谷為信卿

藤谷為信
延宝3年(1675年)―元文5年(1740年)
父は権大納言藤谷為茂
1697 左近衛中将
1707 従三位
1713 正三位
1714 右兵衛督
1717 参議
1720 東照宮奉幣使
1723-1724 権中納言
1725 従二位

平成30年9月11日 壱/八枚

夕霧 九月十日 筆者不明コレクション

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九月十日野の山の○しきは
ふかく見しらぬ人だにたゞに
やはおぼゆる。山風にたへぬる
木々の梢もみねの葛葉も
○あはたゞしうあらそひちる
まぎれにたうときどきやうの
○○かすかに念佛などの
こ○ばかりして人のけはひ
いとすくなし


源氏物語 夕霧(青表紙大島本)
九月十余日、山のけしきは
深く、見知らぬ人だに、ただに
やはおぼゆる。山風に堪へぬ
木々の梢も、峰の葛葉も、
心あはただしう争ひ散る
紛れに、尊き読経の
声かすかに、念仏などの
声ばかりして、人のけはひ
いと少なう、
(木枯の吹き払ひたるに、鹿はただ籬のもとにたたずみつつ、山田の引板にもおどろかず、色濃き稲どもの中に混じりてうち鳴くも、愁へ顔なり。)


源氏物語大成によれば、
「九月十よ日」を「十日」と書く写本は無い。
「野の山の気色」は、河内本、別本とも「野山の」と有るが、青表紙本は「山の」となっていて、何れとも違う。
「念仏などの」は、河内本、別本は「念仏僧の」となっている。
「少なし」は、全ての写本で「少なう」と木枯しに続く。これは色紙の終りを終止形で切りたかったのでは?と思う。

平成30年9月11日 壱/八枚

常夏 撫子歌 筆者不明コレクション

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なでしこのとこ
    なつかしき
       色を見て
 もとのかきねを
     人やたづねむ

此事のわづらはしさにこそ
まゆごもりも心ぐるしう
思きこゆれとのたまふ。
君うちなげきて
 山○のかき○○○ひし撫子
 のもとのねざしを誰かたづねん



源氏物語 常夏(青表紙大島本)
撫子のとこなつかしき色を見ばもとの垣根を人や尋ねむ
このことのわづらはしさにこそ、
繭ごもりも心苦しう
思ひきこゆれとのたまふ。
君、うち泣きて、
山賤の垣ほにおひし撫子のもとの根ざしを誰れか尋ねん


源氏物語大成によれば、
「色を見て」は、他は「色を見ば」となっている。
青表紙本系では、「心ろくるしく」と言う本も有る。
河内本は、「おもひきこゆれ」が無し。
別本系では、「君」が無い本も有る。


平成30年9月11日 壱/八枚

業平 我身一つの 筆者不明コレクション

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   在原業平朝臣

月やあらぬ春や

  むかしのはる
      ならぬ
 わがみひとつは
        もとの
    身にして



公任三十六人撰
伊勢物語
古今和歌集

平成30年9月11日 壱/八枚

内容不明コレクション

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西海よりとりし
折から備前の牛窓
にてかく
   遊行六十世他阿
 西の○へ○○て
   と○にの上は
  車ならべ○
     めぐる牛窓

他阿
(嘉禎3年(1237年)- 文保3年1月27日(1319年2月17日))は、鎌倉時代後期の時宗の僧。遊行上人2世。正しくは他阿弥陀仏と称し、他阿と略する。法諱は真教(ただし同時代史料にはみえず、初出は『本朝高僧伝』。燈心文庫に真教と署名のある文書があり、他阿に同定する説あり)。俗姓は源氏久我家ともいわれる。
以降、時宗遊行寺の住職は、他阿を名乗る。

牛窓
岡山県にあった町で、現在は瀬戸内市。


平成30年9月11日 壱/八枚
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