百人一首一夕話巻之七
目録
崇徳院 御製の譯
美福門院の話 官軍白川殿を襲ふ話
鎮西八郎の話 新院讃岐に送らせ給ふ話
西行白峰の歌の話 久の松の話
源兼昌 歌譯
左京大夫顕輔 歌譯
人麿画像の話 俊成卿顕輔を師とせられし話
表歌の話 六條家の和歌の話
待賢門院堀川 歌譯
為朝九石の弓をひく。矢に向ふ
もの万に一生を得るなし。兄義朝、
已に是に向ふ。其矢兜の頂に
中る。義朝いまだ其枝精し
からずと笑ふ。為朝應ずるに兄
を重んじ、為に一矢を遜る○
命を得ずんば我辞せずと、大に
戦ふ
以下三紙をつらねて、保元交戦の
圖なり。人物の態、兵器の製、画
史の精練、看官目をとじめて、
これを察すべし
○:のみ
先王の道を
學ぶは、仁義を
進め、國家を安んぜん
為なり。左府頼長公、
博学多才といへども、
君を資、自を慎まず。
遂に悪逆無道に
おち入り、其死を
よく
せず
悲史、
匹夫にも
およば
ざる
ことを
保元の後しば/"\、
兵乱やまず、世以て
帝の祟とす。大
乗經の
請願、
むなし
からざる處か。
崇徳の号
こゝに
おこれり
蓮如入道志たかく、
墨染の衣を雨露
に潤しはるかの
波濤を凌ぎ、仮
の御所に来り、
守衛の武士の
ゆるさ
ざるを
尚その
ほとりを
立さらず。
終に其
音づれ
を
得て、
和哥
を
ささげ、
なぐ
さめ
奉り
しは、
かの
魚腹
に
書をかくして
賣、
桜樹に
詩を題
して
去るの、
忠臣にも
比せんか