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Channel: 新古今和歌集の部屋
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延徳本 方丈記 澤の根芹、峯の木のみ

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澤の根芹、峯の木の実み、あるにつけて命をつなぎ、麻の衣、藤のふすま、うるにしたがひて肌をかくす。
あながちにおしき命ならねば、粮のつきなん愁もおもはず。人にまじはる身ならねば、姿をはづる悔もなし。むくふべきちからなければ、人の思ひも願はしからず。名聞をおもはざれば、そしる人もうらめしからず。
をのづから、なすべき事あれば、即をのれが身をつかふ。ありくべき事あれば、みづからあゆむに、たゆからぬにはあらねども、馬鞍牛車と心をなやますよりはやすし。今、一身をわかちて、この用をなす。手のやつこ、足の乗もの、これよくわが心にかなへり。苦しき時はやすめ、勇む時/\はつかふ。つかへども、痛しからず。ものうしとても、かざらず。況や又よの常のふるまひならねば、何事をかは、さしもいとなみ、身をくるしめむ。万はあるにつき、なきにしたがひて、へつらひもとむる業なし。

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