思出やみのゝおやまのひとつまつちぎりしことはいつもわすれず
業平朝臣
いでゝいにしあとだにいまだかはらぬに○がかよひぢといまはな
るらむ
梅花香をのみ袖をとゞめおきて我思人はおとづれも
せぬ
斎宮女御につかはしける
天暦御哥
あまのはらそこともしらぬおほ空におぼつかなさをなげきつる
かな
返 女御徽子女王
なげくらん心を空にみてし哉立あさぎりに身をやなさまし
題しらず 光孝天皇御哥
あわずしてふるころ○○○ま○あればはるけき空にな
がめをぞする
新古今和歌集巻第十五 恋歌五
(題知らず) (伊勢)
思ひ出づやみののを山のひとつ松契りしことはいつも忘れず
おもいいづやみののおやまのひとつまつちぎりしことはいつもわすれず
伊勢集
題しらず 在原業平朝臣
出でていにし跡だにいまだ変らぬに誰が通路と今はなるらむ
いでていにしあとだにいまだかわらぬにたがかよいぢといまはなるらむ
伊勢物語四十二段
題しらず 在原業平朝臣
梅の花香をのみ袖にとどめ置きてわが思ふ人は音づれもせぬ
うめのはなかをのみそでにとどめおきてわがおもうひとはおとづれもせぬ
伊勢物語四段異本歌
斎宮につかはしける
天暦御歌
天の原そことも知らぬ大空におぼつかなさを歎きつるかな
あまのはらそこともしらぬおおぞらにおぼつかなさをなげきつるかな
村上御集、斎宮女御集
御返し 女御徽子女王
なげくらむ心を空に見てしがな立つ朝霧に身をやなさまし
なげくらむこころをそらにみてしがなたつあさぎりにみをやなさまし
村上御集、斎宮女御集
題しらず 光孝天皇御歌
逢はずしてふる頃ほひの数多あれば遥けき空にながめをぞする
あわずしてふるころほいのあまたあればはるけきそらにながめをぞする
仁和御集
平成30年12月15日 參