明月記 元久元年
八月十五日。夜より雨降る。未後に暫く晴る。深更に、月明かし。昏黒の程、殿下に參ず(日来所労、出仕せず)。今夜、院十五夜の御会に依るなり。戌終許りに、御共して五辻の新御所に參ず。良々久しきの後、御巽の方、子午の廊に出でおはします。別当、序を置く。殿上人仰せに依り、下より歌を置く。具親、雅経(家長、秀能二人の歌、之に付く)、家隆、経通、予、有家朝臣、参議隆衡(今夜初めて參ず。所望と云々)、中納言通光、太政大臣、殿下置かしめ給ひ了んぬ。講師を召す(有家朝臣)。大臣読師。人々近く參ず(殿上人、下官許り)。五首を講ぜられ了んぬ。各々退下し、本座に復す。次で、当座の会。硯紙を置く。火を打ちたるが如し。殿下、即ち置かしめ給ふ。歌一首なり。読み上げ了りて、各々退出す。
八月十五日。夜より雨降る。未後に暫く晴る。深更に、月明かし。昏黒の程、殿下に參ず(日来所労、出仕せず)。今夜、院十五夜の御会に依るなり。戌終許りに、御共して五辻の新御所に參ず。良々久しきの後、御巽の方、子午の廊に出でおはします。別当、序を置く。殿上人仰せに依り、下より歌を置く。具親、雅経(家長、秀能二人の歌、之に付く)、家隆、経通、予、有家朝臣、参議隆衡(今夜初めて參ず。所望と云々)、中納言通光、太政大臣、殿下置かしめ給ひ了んぬ。講師を召す(有家朝臣)。大臣読師。人々近く參ず(殿上人、下官許り)。五首を講ぜられ了んぬ。各々退下し、本座に復す。次で、当座の会。硯紙を置く。火を打ちたるが如し。殿下、即ち置かしめ給ふ。歌一首なり。読み上げ了りて、各々退出す。