かきこしに見るあだびとのいへ
ざくら
はなちるばかりゆきて
をらばや
をりことに
おもひやすらむ
はなざくらありし
みゆきの
はるをこひつゝ
よろづよをふるにかひ
ある
やどなれや
みゆきと見えて
はなぞちりくる
新古今和歌集巻第十六 雑歌上
堀河院におはしましける頃閑院の左大將の家の櫻を
折らせに遣はすとて
圓融院御歌
垣越しに見るあだびとの家櫻はな散るばかり行きて折らばや
御返事
左大將朝光
をりにことおもひやすらむ花櫻ありし行幸の春を戀ひつつ
高陽院にて花の散るを見てよみ侍りける
肥後
萬世をふるにかひある宿なれやみゆきと見えて花ぞ散りける
読み：
かきこしにみるあだびとのいえざくら
はなちるばかりゆきておらばや
おりにことおもひやすらむはなざくら
ありしみゆきのはるをこいつつ
よろずよをふるにかいあるやどなれや
みゆきとみえてはなぞちりくる
備考：
円融院の里内裏があった二条堀川の堀川院の隣に朝光の住んでる二条西洞院の閑院があった。
朝光集には、少将内侍からの歌となっているが、円融院御集にある。
中御門堀川の高陽院に師実が住んでいた。
平成28年９月17日 點伍