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新古今和歌集に撰歌された万葉集

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新古今和歌集に撰歌された万葉集 62首

上段 新古今和歌集

下段 万葉集

 

8 第一 春歌上 題しらず よみ人知らず 風まぜに雪は降りつつしかすがに霞たなびき春は來にけり

10-1836 春雑歌 雪を詠む 風交 雪者零乍 然為蟹 霞田菜引 春去尓来

9 第一 春歌上 題しらず  よみ人知らず 時はいまは春になりぬとみ雪ふる遠き山べにかすみたなびく
8-1439 春雑歌 中臣朝臣武良治 時者今者 春尓成跡 三雪零 遠山辺尓 霞多奈婢久

11 第一 春歌上 題しらず  山部赤人 明日からは若菜摘まむとしめし野に昨日も今日も雪は降りつつ
8-1427 春雑歌 従明日者 春菜将採跡 標之野尓 昨日毛今日毛 雪波布利管

20 第一 春歌上 題しらず  中納言家持 まきもくの檜原のいまだくもらねば小松が原にあわ雪ぞ降る
10-2314 春雑歌 人麻呂歌集 巻向之 檜原毛未 雲居者 子松之末由 沫雪流

21 第一 春歌上 題しらず よみ人知らず 今さらに雪降らめやも陽炎のもゆる春日となりにしものを
10-1835 春雑歌 雪を詠む  今更 雪零目八方 蜻火之 燎留春部常 成西物乎

29 第一 春歌上 春歌とて 山部赤人 あづさゆみはる山近く家居して絶えずききつるうぐいすの聲
10-1829 春雑歌 鳥を詠む 読人不知 梓弓 春山近 家居之 続而聞良牟 鶯之声

30 第一 春歌上 春歌とて よみ人知らず 梅が枝に鳴きてうつろふ鶯のはね白たへにあわ雪ぞ降る
10-1840 春雑歌 雪を詠む 梅枝尓 鳴而移徙 鶯之 翼白妙尓 沫雪曽落

32 第一 春歌上 題しらず  志貴皇子 岩そそぐたるひの上のさ蕨の萌えいづる春になりにけるかな
8-1418 春雑歌 石激 垂見之上乃 佐和良妣乃 毛要出春尓 成来鴨

104 第二 春歌下 題しらず 山部赤人 ももしきの大宮人はいとまあれ櫻かざして今日もくらしつ
10-1883 春雑歌 野に遊ぶ 読人不知 百礒城之 大宮人者 暇有也 梅乎挿頭而 此間集有

110 第二 春歌下 題しらず 山部赤人 春雨はいたくな降りそさくら花まだ見ぬ人に散らまくも惜し
10-1870 春雑歌 花を詠む 読人不知 春雨者 甚勿零 桜花 未見尓 散巻惜裳

151 第二 春歌下 曲水宴をよめる 中納言家持 からびとの舟を浮かべて遊ぶてふ今日ぞわがせこ花かづらせよ
19-4153   三月三日館の宴にて 漢人毛 筏浮而 遊云 今日曽我勢故 花縵世余

161 第二 春歌下 題しらず  厚見王 かはづなく神なび川に影見えていまや咲くらむ山吹の花
8-1435 春雑歌 河津鳴 甘南備河尓 陰所見 今香開良武 山振乃花

175 第三 夏歌 題しらず 持統天皇御歌 春過ぎて夏來にけらししろたへの衣ほすてふあまのかぐ山
1-28 雑歌 藤原宮御宇天皇代 春過而 夏来良之 白妙能 衣乾有 天之香来山

193 第三 夏歌 題しらず よみ人知らず 五月山卯の花月夜ほととぎす聞けども飽かずまたなかむかも
10-1953 夏雑歌 鳥を詠む 五月山 宇能花月夜 霍公鳥 雖聞不飽 又鳴鴨

314 第四 秋歌上 題しらず 山部赤人 この夕べ降りくる雨は彦星のと渡るふねのかいのしづくか
10-2052 夏雑歌 七夕 読人不知 此夕 零来雨者 男星之 早滂船之 賀伊乃散鴨

333 第四 秋歌上 題しらず 柿本人麿 秋萩の咲き散る野邊の夕露に濡れつつ來ませ夜は更けぬとも
10-2252 秋相聞 露に寄せて 読人不知 秋芽子之 開散野辺之 暮露尓 沾乍来益 夜者深去鞆

334 第四 秋歌上 題しらず  中納言家持 さを鹿の朝立つ野邊の秋萩に玉と見るまで置けるしらつゆ
8-1598 秋雑歌 棹壮鹿之 朝立野辺乃 秋芽子尓 玉跡見左右 置有白露

346 第四 秋歌上 題しらず 柿本人麿 さを鹿のいる野のすすき初尾花いつしか妹が手枕にせむ
10-2277 秋相聞 花に寄せて 読人不知 左小壮鹿之 入野乃為酢寸 初尾花 何時加妹之 将手枕

454 第五 秋歌下 題しらず よみ人知らず 秋田守る假庵つくりわがをればころも手さむみ露ぞ置きくる
10-2174 秋雑歌 露を詠む 秋田苅 借廬乎作 吾居者 衣手寒 露置尓家留

457 第五 秋歌下 題しらず 中納言家持 今よりは秋風寒くなりぬべしいかでかひとり長き夜を寝む
3-462 挽歌 亡き妾を傷み悲みて 従今者 秋風寒 将吹焉 如何独 長夜乎将宿

459 第五 秋歌下 題しらず 柿本人麿 さを鹿のつまどふ山の岡べなる早稻田は刈らじ霜は置くとも
10-2220 秋雑歌 水田を詠む 読人不知 左小壮鹿之 妻喚山之 岳辺在 早田者不苅 霜者雖零

464 第五 秋歌下 題しらず 柿本人麿 秋されば置くしら露にわがやどの淺茅が上葉色づきにけり
10-2186 秋雑歌 黄葉を詠む  読人不知 秋去者 置白露尓 吾門乃 浅茅何浦葉 色付尓家里

497 第五 秋歌下 題しらず 柿本人麿 垣ほなる荻の葉そよぎ秋風の吹くなるなべに雁ぞ鳴くなる
10-2134 秋雑歌 鴈を詠む 読人不知 葦辺在 荻之葉左夜芸 秋風之 吹来苗丹 鴈鳴渡

498 第五 秋歌下 題しらず 柿本人麿 秋風に山飛び越ゆるかりがねのいや遠ざかり雲がくれつつ
10-2128 秋雑歌 鴈を詠む 読人不知 秋風尓 山跡部越 鴈鳴者 射矢遠放 雲隠筒

541 第五 秋歌下 題しらず 柿本人麿 飛鳥川もみぢ葉ながる葛城の山の秋かぜ吹きぞしくらし
10-2210 秋雑歌 黄葉を詠む 読人不知 明日香河 黄葉流 葛木 山之木葉者 今之落疑

582 第六 冬歌 題しらず 柿本人麿 時雨の雨まなくし降ればまきの葉も争ひかねて色づきにけり
10-2196 秋雑歌 黄葉を詠む 読人不知 四具礼能雨 無間之零者 真木葉毛 争不勝而 色付尓家里

641 第六 冬歌 題しらず 山部赤人 うばたまの夜のふけ行けば楸おふるき川原に千鳥鳴くなり
6-925 雑歌 吉野離宮に行幸して 烏玉之 夜乃深去者 久木生留 清河原尓 知鳥数鳴

654 第六 冬歌 題しらず 湯原王 吉野なるなつみの川の川淀に鴨ぞ鳴くなる山かげにして
3-375 雑歌 吉野にて 吉野尓有 夏実之河乃 川余杼尓 鴨曽鳴成 山影尓之弖

657 第六 冬歌 題しらず 柿本人麿 矢田の野に淺茅色づくあらち山嶺のあわ雪寒くぞあるらし
10-2331 冬雑歌 黄葉を詠む 読人不知 八田乃野之 浅茅色付 有乳山 峯之沫雪 寒零良之

675 第六 冬歌 題しらず 山部赤人 田子の浦にうち出でて見れば白たへの富士の高嶺に雪は降りつつ
3-318 雑歌 富士山を望みて 田児之浦従 打出而見者 真白衣 不尽能高嶺尓 雪波零家留

708 第七 賀歌 題しらず よみ人知らず はつ春のはつねの今日の玉菷手にとるからにゆらぐ玉の緒
20-4493   正月3日王臣らを召して、宴を催し、仲麻呂を介して歌を作り詩を賦せと仰せになって 大伴家持 始春乃 波都祢乃家布能 多麻婆波伎 手尓等流可良尓 由良久多麻能乎

849 第八 哀傷歌 奈良御門ををさめ奉りけるを見て 柿本人麿 久方のあめにしをるる君ゆゑに月日も知らで戀ひわたるらむ
2-200 挽歌 高市皇子尊の城上の殯宮の時 久堅之 天所知流 君故尓 日月毛不知 恋渡鴨

896 第十 羇旅歌 和銅三年三月藤原の宮より奈良の宮に遷り給ひける時  元明天皇御歌 飛ぶ鳥の飛鳥の里をおきていなば君が邊は見えずかもあらむ
1-78 雑歌 飛鳥 明日香能里乎 置而伊奈婆 君之当者 不所見香聞安良武

897 第十 羇旅歌 天平十二年十月伊勢の國に行幸し給ひける時  聖武天皇御歌 いもにこひわかの松原見わたせば汐干のかたにたづ鳴き渡る
6-1030 雑歌 藤原広嗣の謀反に軍を発して伊勢国の河口で 妹尓恋 吾乃松原 見渡者 潮干乃滷尓 多頭鳴渡

898 第十 羇旅歌 唐土にてよみ侍りける 山上憶良 いざこどもはや日の本へ大伴の御津の濱松待ち戀ひぬらめ
1-63 雑歌 大唐に在る時、本郷を憶って 去来子等 早日本辺 大伴乃 御津乃浜松 待恋奴良武

899 第十 羇旅歌 題しらず 柿本人麿 あまざかる鄙のなが路を漕ぎくれば明石のとよりやまと島見ゆ
3-255 雑歌 羈旅の歌 天離 夷之長道従 恋来者 自明門 倭嶋所見

900 第十 羇旅歌 題しらず 柿本人麿 ささの葉はみ山もそよに亂るなりわれは妹思ふ別れ來ぬれば
2-133 相聞 岩見国より妻と別れて上った時に  小竹之葉者 三山毛清尓 乱友  吾者妹思 別来礼婆

901 第十 羇旅歌 帥の任はてて筑紫より上り侍りけるに 大納言旅人 ここにありて筑紫やいづこ白雲の棚びく山の西にあるらし
4-574 相聞 (筑紫の沙弥満誓が歌を贈り、それに和して) 比間在而 筑紫也何処 白雲乃 棚引山之 方西有良思

902 第十 羇旅歌 題しらず よみ人知らず 朝霧に濡れにし衣ほさずしてひとりや君が山路越ゆらむ
9-1666 雑歌 斉明天皇が紀伊の国に行幸した時  朝霧尓 沾尓之衣 不干而 一哉君之 山道将越

910 第十 羇旅歌 題しらず よみ人知らず しなが鳥猪名野を行けば有馬山ゆふ霧立ちぬ宿はなくして
7-1140 雑歌 摂津で 志長鳥 居名野乎来者 有間山 夕霧立 宿者無而

911 第十 羇旅歌 題しらず よみ人知らず 神風の伊勢の濱荻をりふせてたび寝やすらむあらき濱邊に
4-500 相聞 伊勢国へ往った時、留守の妻が 碁檀越の妻 神風之 伊勢乃浜荻 折伏 客宿也将為 荒浜辺尓

992 第十一 戀歌一 題しらず  柿本人麿 あしびきの山田守る庵に置くかびの下焦れつつわが戀ふらくは
11-2649 寄物陳思 読人不知 足日木之 山田守翁 置蚊火之 下粉枯耳 余恋居久

993 第十一 戀歌一 題しらず 柿本人麿 石の上布留のわさ田のほには出でず心のうちに戀ひや渡らむ
9-1768 相聞 筑紫に任じられた時、豊前国の娘子の紐児を娶って 抜気大首 石上 振乃早田乃 穂尓波不出 心中尓 恋流比日

1025 第十一 戀歌一 題しらず  中納言家持 秋萩の枝もとををに置く露の今朝消えぬとも色に出でめや
8-1595 秋雑歌 大伴宿祢像見 秋芽子乃 枝毛十毛二 降露乃 消者雖消 色出目八方

1050 第十一 戀歌一 題しらず  柿本人麿 み狩する狩場の小野のなら柴の馴れはまさらで戀ぞまされる
12-3048 寄物陳思 読人不知 御狩為 鴈羽之小野之 櫟柴之 奈礼波不益 恋社益

1208 第十三 戀歌三 題しらず  柿本人麿 衣手に山おろし吹き寒き夜を君來まさずは獨かも寝む
13-3282 相聞 読人不知 衣袖丹 山下吹而 寒夜乎 君不来者 独鴨寐

1358 第十五 戀歌五 題しらず  よみ人知らず 妹が袖わかれし日より白たへのころもかたしき戀ひつつぞ寝る
11-2608 正述心緒 妹之袖 別之日従 白細乃 衣片敷 恋管曽寐留

1368 第十五 戀歌五 題しらず  よみ人知らず 君があたり見つつを居らむ伊駒山雲なかくしそ雨は降るとも
12-3032 寄物陳思 君之当 見乍母将居 伊駒山 雲莫蒙 雨者雖零

1373 第十五 戀歌五 題しらず  柿本人麿 夏野行くをじかの角のつかのまもわすれず思へ妹がこころを
4-502 相聞 夏野去 小壮鹿之角乃 束間毛 妹之心乎 忘而念哉

1374 第十五 戀歌五 題しらず 柿本人麿 夏草の露わけごろも着もせぬになどわが袖のかわくときなき
10-1994 夏相聞 露に寄せて 読人不知 夏草乃 露別衣 不著尓 我衣手乃 干時毛名寸

1377 第十五 戀歌五 中納言家持に遣はしける  山口女王 あしべより滿ち來る汐のいやましに思ふか君が忘れかねつる
4-617 相聞 従蘆辺 満来塩乃 弥益荷 念歟君之 忘金鶴

1426 第十五 戀歌五 題しらず  よみ人知らず わがよはひ衰へゆけば白たへの袖の馴れにし君をしぞおもふ
12-2952 正述心緒 吾齢之 衰去者 白細布之 袖乃狎尓思 君乎母淮其念

1427 第十五 戀歌五 題しらず  よみ人知らず 今よりは逢はじとすれや白たへのわがころも手の乾く時なき
12-2954 正述心緒 従今者 不相跡為也 白妙之 我衣袖之 干時毛奈吉

1428 第十五 戀歌五 題しらず よみ人知らず 玉くしげあけまく惜しきあたら世を衣手かれて獨かも寝む
9-1693 雑歌 紀伊国で作った 玉匣 開巻惜 悋夜矣 袖可礼而 一鴨将寐

1430 第十五 戀歌五 題しらず よみ人知らず 秋の田の穂むけの風のかたよりにわれは物思ふつれなきものを
10-2247 秋相聞 水田に寄せて 秋田之 穂向之所依 方縁 吾者物念 都礼無物乎

1586 第十七 雜歌中 朱鳥五年九月紀伊國に行幸の時  河嶋皇子 白波の濱松が枝のたむけぐさ幾世までにか年の經ぬらむ
1-34 雑歌 川島皇子 白浪乃 浜松之枝乃 手向草 幾代左右二賀 年乃経去良武

1587 第十七 雜歌中 題しらず 式部卿宇合 山城の岩田の小野のははそ原見つつや君が山路越ゆらむ
9-1730 雑歌   山品之 石田乃小野之 母蘇原 見乍哉公之 山道越良武

1590 第十七 雜歌中 題しらず  よみ人知らず しかの蜑の鹽燒く煙風をいたみ立ちはのぼらで山にたなびく
7-1246 雑歌 之加乃白水郎之 焼塩煙 風乎疾 立者不上 山尓軽引

1648 第十七 雜歌中 題しらず 柿本人麿 もののふの八十うぢ川の網代木にいさよふ波の行方知らずも
3-264 雑歌 近江国より上りて、宇治川辺に至りし時 物乃部能 八十氏河乃 阿白木尓 不知代経浪乃 去辺白不母

1686 第十七 雜歌中 題しらず 柿本人麿 秋されば狩人越ゆる立田山たちても居てもものをしぞ思ふ
10-2294 秋相聞 山に寄せて  読人不知 秋去者 鴈飛越 竜田山 立而毛居而毛 君乎思曽念

1700 第十八 雜歌下 題しらず  よみ人知らず さざなみや比良山風の海吹けば釣するあまの袖かへる見ゆ
9-1715 雑歌 槐本の歌 楽浪之 平山風之 海吹者 釣為海人之 袂変所見

162b 第二 春歌下 題しらず  山部赤人 戀しくばかたみにせよとわがやどにうゑし藤なみ今さかりなり
8-1471 夏雑歌 恋之家婆 形見尓将為跡 吾屋戸尓 殖之藤浪 今開尓家里


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