第一 春歌上
百首歌たてまつりし時春の歌 式子内親王
山ふかみ
春とも知らぬ松の戸に
たえだえ
かかる
雪の玉水
読み:やまふかみはるともしらぬまつのとにたえだえかかるゆきのたまみず隠
意訳:深い山奥で春などの気配も見えないが、春が来るのを待っている松の戸(粗末な家の門)にぽつりぽつりと落ちる雪どけの水(が春が来たことを教えてくれている。)
作者:しきしないしんのう1149~1201しょくしないしんわうとも。後白河上皇の皇女、賀茂神社の斎院。藤原俊成に和歌を学ぶ。忍恋の情熱的な秀歌が多い。
備考:正治二年後鳥羽院初度御百首歌、女房三十六人歌合、新三十六人歌合 定家十体 美濃の家苞 常縁原撰本新古今和歌集聞書 新古今和歌集抄出聞書(陽明文庫) 新古今集聞書(牧野文庫本)