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Channel: 新古今和歌集の部屋
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万葉拾穂抄 北村季吟 貧窮問答歌

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ビングウノ貧窮歌一首并短歌 イ貧云々窮問答歌マスシクキハマル 山上憶良
風 離イませに雨 布流欲乃雨 離イませにかせましり  雨のふるよのあめましり 雪 布流欲波為部母奈久寒 之安礼ゆきのふるよはすへもなく寒くしあれ
婆堅  鹽乎取 都豆之呂比糟はかたしほをとりつゝしろひかす湯酒 宇知須々呂比弖之波夫可比
ゆさけうちすゝとひてしはぶかひ仙ひび
鼻毗 之毗之尓志可登阿良農比宜可伎はなひしひしにしかとあらぬひけかき撫 而安礼乎於伎弖人者安良自等なてゝあれををきて人はあらしと
富己呂倍騰寒  之安礼婆麻被ほころへとさむくしあれはあさふすま引 可賀布利布 可多衣 安里能ひきかかふりぬのかたきぬありの許等其等伎曾倍騰毛寒  夜須良こと/\きそへともさむきよすら乎和礼欲利母貧   人 乃父をわれよりもまつしきひとのちゝーーーーー頭注ーーーーー貧窮 まつしくきはまり たる心をのへしうた也かたしほ 見安云焼塩 愚案堅塩日本紀に有とりつゝしろひ 取しろ ひつゝの心也。取あへる也かすゆさけ 酒糟を湯 にてときし物とそすゝろひ すゝりて也しはふかひ しはふきす る也。イしかふかひ同義也鼻毗之毗之尓志 仙ひゝ
 しひしにしと云也。日々 の心也。此本はなひしひ しにしと点す。はな


母 波飢 寒  良牟妻子等イとら波はゝはうへさむからんめことも  は乞   泣 良牟此時者伊可尓之都々可こひ/\なくらん此時はいかにしつゝか汝 代者和多流天 地 者比呂之等ながよはわたるあめつちはひろしと伊倍杼安我多米波狭  也奈里奴流いへとあがためはせはくやなりぬる日 月波安可之等伊倍騰安我多米波日は月はあかしといへとあかためは照 哉多麻波奴人皆 可吾 耳イにてりやたまはぬ人みなかわれのみ也之可流和久良婆尓比等々波安流乎やしかるわくらはにひとゝはあるを比等奈美尓安礼母作  乎綿毛奈伎人 なみにあれもつくるを綿もなき布 可多衣 乃美留乃其等私々氣ぬのかたきぬのみるのことそゝけ佐我礼流可々布能尾肩 尓打 懸さかれるかゝふのみかたにうちかけ

布勢伊保能麻宜伊保乃内 尓直ふせいほのまきいほのうちにひた土 尓藁 解 敷 而父 母 波つちにわらときしきてちゝはゝは枕乃可多尓妻子等母波足 為 方尓枕のかたにめこともはあとする方に圍  居而憂  吟   可麻度柔播かこみゐてうれへさまよひかまとには火気イほのけ布伎多弖受許之伎尓波久毛能けふり   ふきたてすこしきにはくもの須可伎弖飯 炊  事毛和須礼提すかきていひかしく事も忘 れて奴延鳥乃能杼与比居 尓伊等乃伎提ぬえ鳥ののどよひをるにいとのきて短   物乎端 伎流等云  之如みしかき物をはしきるといへるかこと 見たかのいためとる 楚  取 五十戸良我許恵波寝屋度麻低く     いと らかこゑはねやちまて来立 呼 比奴可久波可里須部きたちよはひぬかくはかりすへーーーーー頭注ーーーーー
 ひる心也。しは助字也かとあらぬ 仙曰かとゝは 才の字をよむ。よしと云 心也。よくもあらぬと云也ほころへと ほこれとも也ひきかゝふり 仙曰引かふ りといふ也。かゝふりと云 始めのかは詞の助也。 かよはきかほそきの類也ぬのかたきぬ 布の肩 はかりにきるやうなる也ありのこと/\ 仙云ある限 こと/\く着そへとも也あめつちは 身の置所なき といふ心也人皆か 皆人如此ある か我のみかくうきかと也わくらはに 仙曰玉さかに也 愚案適人間にて有をと也みるのこと 八雲御抄云 海松のやうに破て也。 可々布とはつゝれの名 をいふ。是迄八雲見安同そゝけさかれる 私々氣イ和々氣見安云わゝけ さかれるは破れ下りた るなり愚案そゝけは明也ふせいほ 伏屋の類也 仙曰軒なともはらて かたなひきなる屋也 見安云軒の地につく はかりいやしき屋也


奈伎物能可世 間 乃道
なきものかよのなかのみち
 反歌
世 間 乎 宇之等 夜佐之等 於母倍杼母 よのなかを うしと やさしと おもへとも飛 立 可祢都鳥 尓之安良祢婆
とひたちかねつとりにしあらねはーーーーー頭注ーーーーーまきいほ 仙曰角なと もなく丸に作たる菴也。 見安云草にてもかやにて も作たる屋也。丸屋同心也ひたつちに 土邊の心也こしき 物むすこしき也いひかしく事も忘れて 久しく飯をもたかぬさま也。蒙求に甑中生塵范史雲云々。范冉か貧き事也ぬえ鳥ののどよひ 仙曰ぬえ鳥は怪鳥也。の(野)とよひをるとは貧家荒た れは野なとのやうに鳴と也。或説鶏の咽声(ノトゴエ)とてこもり声に鳴を云楚取(タカノトル・イタメ) 此ひ本にはいためとると点す。見安にはたかのとると訓す。多本如此也。いとらかこゑ 仙曰いとらはうつら也。いとうとかよはしていふ事有。魚(イヲ)をうを なといふかことし。見安同之。ねやとまて 愚案閨の外迄鶉の立来て鳴也かくはかりすへなき物か 様/\侘しき事を云立てかくせん方なき物かと也世のなかをうしと やさしと やさしは窶(ヤツヤツシ)の字也。貧して礼なきを窶と云。 世をうし窶して浅ましとは思へとも飛立んやうもなし。鳥ならねはと也。

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