和漢朗詠集 十五夜 白居易 勝鼎栄巻子本コレクション
三五夜中 新月色二 千里外 故人 心和漢朗詠集 十五夜 付月白氏文集巻十四八月十五日夜禁中獨直 八月十五日夜、禁中に独り直し、對月憶元九 月に對して元九を憶ふ銀臺金闕夕沈沈 銀台金闕夕沈々獨宿相思在翰林 独り宿し相思うて翰林に在り三五夜中新月色 三五夜中新月の色二千里外故人心 二千里外故人の心渚宮東面煙波冷 渚宮の東面煙波冷やかに浴殿西頭鐘漏深...
View Article万葉拾穂抄 北村季吟 貧窮問答歌
ビングウノ貧窮歌一首并短歌 イ貧云々窮問答歌マスシクキハマル 山上憶良風 離イませに雨 布流欲乃雨 離イませにかせましり 雨のふるよのあめましり 雪 布流欲波為部母奈久寒 之安礼ゆきのふるよはすへもなく寒くしあれ婆堅 鹽乎取 都豆之呂比糟はかたしほをとりつゝしろひかす湯酒 宇知須々呂比弖之波夫可比ゆさけうちすゝとひてしはぶかひ仙ひび鼻毗...
View Article兼載雑談6 小倉百人一首
一、懷紙短冊など手跡のあしくて、歌のよきが本なり。共にぐしたるは不及是非。姉小路殿云、定家は性のふとくしんなるによりて、歌の上手なり。小倉の山荘に、百人の人を繪所にかゝせて、さて百首を我が書き給ひしなり。其の頃はいか程も、能書多かるべけれど、不致憑事。大性なり。
View Article和漢朗詠集 十五夜 源順 勝鼎栄筆巻子本コレクション
水のおもに照る つきなみを かぞふれば こよひぞ秋の もなかなり ける和漢朗詠集 十五夜 付月拾遺集 秋歌屏風に八月十五夜池ある家に人遊びしたる所 源順水の面に照る月波を数ふれば今宵ぞ秋の最中なりける令和元年10月29日 壱
View Article兼載雑談7 俊成勅撰集態度
兼載雑談一、俊成は、基俊に廿五歳の時より、門弟になり給ひしなり。基俊と俊頼は中あしかりしとなり。千載集俊成撰ぜられしに、俊頼の歌多く入る。人々難云、師匠に敵の人の歌をば、いかで多く入るゝぞといひしに、俊成云、俊頼はにくけれど、歌はにくからずと宣ひしとなり。君子はいかりをうつさずといふ心なり。一、俊成云、我が集を撰ぜし時、人を見ず歌をみしとなり。されば定家も新勅撰に家隆の歌をば多く入れられたり。
View Article和漢朗詠集 仏名 菅原道真 勝鼎栄筆巻子本コレクション
香自禅心無用火花開合掌不因春和漢朗詠集 仏名菅家文草 巻第四 279懺悔會作 三百八言一切衆生煩悩身 一切衆生煩悩の身求哀懺悔仰能仁 哀みを求めて懺悔(さむくゑ)して能仁を仰ぐ承和聖主勅初下 承和の聖主勅初めて下したまひぬ貞観明王格永陳 貞観の明王格永く陳ねたまへり内自九重外諸國 内は九重より外は諸国起於万乘及黎民 万乗より起りて黎民に及ぶ年終三日繋心馬 年の終に三日心馬を繋ぐ天下一時轉法輪...
View Article和漢朗詠集 仏名 平兼盛 勝鼎栄筆巻子本コレクション
かぞふれば我身に積るとし月を送りむかふとなにいそぐらん和漢朗詠集 仏名拾遺集 冬歌 斎院の屏風に、十二月つこもりの夜 平兼盛かぞふればわが身につもる年月を送り迎ふと何急ぐらん令和元年10月29日 壱
View Article兼載雑談8 午年、吉水
兼載雑談一、俊成、定家、為家、何れも午のとしの人なり。歿日、俊成九月二十九日、定家八月廿日、為家四月廿九日。一、吉水僧正とは慈鎮の事なり。吉水は青蓮院なり。※俊成 元久元年十一月三十日定家 仁治二年八月二十日為家 建治元年五月一日
View Article和漢朗詠集 松 源順 勝鼎栄筆巻子本コレクション
十八公榮 霜後露 一千年雪 中 色 深和漢朗詠集 松類聚句題抄歳寒知松貞 源順難凋柏伴迎冬茂 凋み難い柏は伴って冬を迎て茂り易落楓慙送年森 落ち易い楓は慙じて年を送る森十八公榮霜後露 十八公の栄は霜の後に露(あら)はれ一千年色雪中深 千年の色は雪の中(うち)に深し令和元年10月29日 壱
View Article秋歌下 鶉、きりぎりす 大東正伝筆断簡コレクション
嘉言(ヨシトキ)ね覚する袖さへさむく秋の夜のあらし吹く也松虫のこゑ 慈圓秋をへてあはれも露もふか草の里とふ物はうづらなりけり 通光いり日さす麓の尾花うちなびきたが秋風にうづらなくらん 俊成女あだにちる露の枕にふし侘てうづらなく也床の山風とふ人もあらし吹そふ秋はきて木葉にうづむ宿の道しば...
View Article和漢朗詠集 松 源宗于 勝鼎栄筆巻子本コレクション
常磐なるまつの みどりも 春くればまさ いま一入の り けり いろ和漢朗詠集 松古今和歌集 春歌上 寛平御時きさいの宮の歌合によめる 源宗于朝臣常磐なる松のみどりも春来ればいま一入の色まさりけり公任三十六人撰令和元年10月29日 壱
View Article和漢朗詠集 鶴 白居易 勝鼎栄筆巻子本コレクション
影 盃 落 中 聲来枕上 千年五老 鶴 峯白氏文集 巻十六 題元八溪居 元八が渓居に題す 白居易渓嵐漠漠樹重重 渓嵐漠々樹重々たり水檻山牕次第逢 水檻山窓次第に逢ふ晩葉尚開紅躑躅 晩葉尚ほ開く紅躑躅秋房初結白芙蓉 秋房初めて結ぶ白芙蓉聲來枕上千年鶴 声枕上に来たる千年の鶴影落盃中五老峯 影杯中に落つ五老峯更媿殷勤留客意 更に媿ず殷勤に客を留むるの意魚鮮飯細酒香濃...
View Article兼載雑談9 一節、秀能、幽玄
兼載雑談 一、下句は一ふしあるがよきなり。下の句の内に二ふしあ る時は、付けにくし。風もいづくの舎とふらむなどやうに すべし。もの字にて、人の宿をとひたる心あり。 一、秀能は、五位にて官位もなきものなれども、歌上手な れば叡慮にもよろしとなり。秀能なき座は歌おもしろ からずと、常に勅定給ひしとなり。 一、俊成卿、基俊に歌の事尋ね給ひしに、枯野の薄、...
View Article和漢朗詠集 鶴 山部赤人 勝鼎栄筆巻子本コレクション
あしべを 潟を さして なみ 和哥の浦に しほみちたづ なき くれば わたる和漢朗詠集 鶴万葉集巻第六神龜元年甲子冬十月五日幸于紀伊國時山部宿祢赤人作謌一首并短謌反歌二首若浦尓塩満来者滷乎無美葦邊乎指天多頭鳴渡右年月不記。但称従駕玉津嶋也。因今檢注行幸年月以載之焉。古今和歌六帖続古今集雑歌中令和元年10月29日 壱
View Article兼載雑談11 宮内卿と定家の密通
兼載雑談一、 さればとて苔の下にも急がれずなき名を埋む 習ひなければ此の歌は、宮内卿、後鳥羽院のえいりょにかなひたりし頃、定家に密通の名立ちて勅にそむく。局に引き籠りてよみたりし歌なり。是をえいらんありて、感じ給ひてやがて勅免ありしとなり。
View Article兼載雑談12 西行望月
兼載雑談一、ついたち頃の夕月夜といふは、七日以前の月をばいつもいふべし。源氏にも見えたり。西行歌に、 ねがはくは花の下にて春しなむ其の二月の望月の頃かくて建久元年二月十六日に死す。日たがふといふ人あり。無相傳の事なり。望月の頃とあれば、十四日十五日十六日十七日の間を言う。西行(元永元年〈1118年〉 -...
View Article兼載雑談13 秀歌
兼載雑談一、後鳥羽院、家隆卿に、今天下一の作者誰ぞと御尋ねありしに、明けばまた秋の半も過ぎぬべしの歌を、たゝんがみに書きて、おとして罷り退きしとなり。※明けばまた明けばまた秋の半ばも過ぎぬべしかたぶく月のをしきのみかは(新勅撰 秋歌上...
View Article兼載雑談15 清美潟
兼載雑談一、 清見がたかねのひゞきも渚うつ波の關戸につきぞ明け行く 家隆此の歌の時は、きよみがたに寺もあるか。然らば當時きよみ寺のなきといふ説不可用。應安式目にも清見寺水邊とあり。※清見がたかねのひゞきも建保名所百首かねのこゑさへかねのこゑだにの二種ある。
View Article