
らず。立居につけて恐れおのゝく、た
とへば雀の鷹の巣に近づけるがご
とし。もしまづしくして冨る家の隣にを
るものは、朝夕すぼき姿を恥てへつ
らひつゝ、出入妻子僮僕のうらやめるさま
を見るにも冨る家の人の、なひがしろ
なるけしきを聞にも心念〃にうごき
て、ときとしてやすからず。もしせばき地
に居れば近く炎上する時其害を
のかるゝことなし邊地にあれば往
反わつらひおほく、盗賊の難はなれ
らず。立居につけて恐れおののく、例えば雀の鷹の巣 に近づけるが如し。もし、貧しくして、冨る家の隣に居 る者は、朝夕、すぼき姿を恥て、へつらひつつ、出入。 妻子・僮僕のうらやめる樣を見るにも、冨る家の人の、 なひがしろなる気色を聞にも、心念々に動きて、時とし て安からず。もし、せばき地に居れば、近く炎上する時、 其害を逃るる事なし。邊地にあれば、往反わつらひ多く、 盗賊の難はなれ (参考)前田家本 らず、立□につけて、恐れおのゝく事、例えば雀の鷹の巣 にくけるか如し。もし貧しくして富める家の隣に居 るものは、朝夕すぼき姿を恥ぢてへつらいつつ出で入る。 妻子、僮僕の羨める様を見るにも富家の人を ないがしろなる気色を聞くにも、念々に動きて、時とし て安からず。もし、狭き地に居れば、近く炎上ある時、 災を逃るヽ事なし。もし辺地にあれば、往反にわづらひ多く、 盗賊の難も甚 注:□はかすれにより見えなくなったもの。 (参考) 大福光寺本 ラスタチヰニツケテ ヲソレヲノゝクサマタトヘハスゝメノタカノス ニチカツケルカ コトシ。若マツシクシテトメル家ノトナリニヲ ルモノハアサユフスホキスカタヲハチテヘツラヒツゝイテイル。 妻子僮僕ノウラヤメルサマヲミルニモ福家ノ人ノ ナイカシロナルケシキヲキクニモ心念々ニウコキテ時 トシテヤスカラス。若セハキ地ニヲレハチカク炎上アル時 ソノ災ヲノカルル事ナシ。若辺地ニアレハ往反ワツラヒヲホク 盗賊ノ難ハナハ
