聞道
い
黄花戍 伊
しうの
頻年 州
うた
不解兵 歌
可憐
む
閨裏月 無
めい
偏照 名
し
漢家営 氏
きくならくくはうくはじう。ひんねんへいをとかずと。あわれむべし
けいりのつき。ひとへにかんかのゑいをてらす。
うわさをきけば、くはうくはしやのあたりはくるとしも/\かぶとよろひをとかずたゝかふ
ているといふが、わが夫もたゝかいのみにとしをすごし、いつかへると◯しややらあわれみ
ながむべきは此ねやをてらすつきなり。此◯かやはりまのいるぢん屋てらす月じやとなり
伊州歌 一 無名氏
聞く道(なら)く、黄花戍(こうかじゅ)、
頻年、兵を解かず。
憐むべし、閨裏(けいり)の月、
偏に漢家の営を照らす。
意訳
聞くところによれば、黄花の塞では、
来る年も来るも、兵を解いていないらしい。
ああ憐むべし、寝室に月だけが、訪れているが、
私の夫がいる漢軍の兵営にも、偏えに照らしておくれ。私の想いとともに。
※伊州歌 伊州は、新疆ウイグル自治区の哈密。その地方の民謡で、唐の玄宗の開元時代に西涼節度使の蓋嘉運が報告した五首のうちの第三首。
※聞道 聞くところによれば。
※黄花戍 伊州の北方、伊呉辺りにあった要塞。
※頻年 毎年。
※漢家営 漢軍の兵営。
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