しよどうのいんすでによにしてまたむかへてりしやうしよを
書 堂 飲 既 夜 復 邀 李 尚 書 おりむまよりげつかにふす と ほ 下 馬 月 下 賦 杜甫 こげつりんぷうあいともにきよし 湖 月 林 風 相 與 清 ざんそんおりてむままたかなしくかたむく 殘 尊 下 馬 復 同 傾 ひさしくすつやくはくのところなるそうひんの 久 弃 野 鶴 如 雙 髩 さもあらばあれりんけいくだることごこうに 遮 莫 隣 鷄 下 五 更 書堂の湖上の月も清く、風色もよし。このこ やうのほとりきて、かつるがさんねんさに、日のくれる までいて、李尚書をむかへて、またのみあました さけを、むまよりおりて、うちよつて、かたむける。 わがとくさけをのめば、こゝろなど、人がいおふわが、かよ わぬ、やくはくのをく、わがかしらもしらがとなり、これは、 なにといわれしとましよびけんに、かよわぬきいな つた。遮莫とまくよすて、となりの一ばんどりが なき、五更の夜あけになるにとも、のみ あかさねばならぬ。ときにをいき とをりていふなり。 久弃とは只いすつる ではない也。 げんにかよ はぬと いふ を 也。 委◯くは 國字 解を よむべし ※弃は、手偏である。判としている本もある。
書堂の飲、既に夜にて復た李尚書を 邀(むか)へて、馬を下り、月下に 賦す 杜甫 湖月林風、相与(とも)に清し。 残尊、馬下りて復同(かな)しく傾むく 久しく野鶴の双髩の如くなるをすつ 遮莫(さもあらばあ)れ。隣鷄(りんけい)五更に下ることを。 意訳 湖の上には月が昇り、林から風が吹いて、共に清らかだ。 さあ、残りの酒を、馬を下りて、復、一緒に杯を傾けよう。 私の髪は、かなり前から野鶴の双髪のように白くなったが、ほっといている。 まあ、なるようになるだろうだから、隣にいる鶏が明け方を告げるまで飲もう。 ※書堂 この詩の前に、胡待御の書堂に宴すと言う詩があり、この時、李之芳と鄭審と一緒だったと注にあり、江陵に滞在していた大暦三年(768年)57歳の時の作と思われる。 ※復邀 李尚書らと一緒に飲んでいたが、李が一度帰って、夜更に呼び邀えた。 ※李尚書 李之芳。尚書は、尚書省の部長官。 ※残尊 壺に残った酒。 ※五更 夜を五分割して、その五番目の明け方近く。鶏が鳴く時刻。 唐詩選画本 七言絶句 巻第五