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八雲御抄 正義部 四病 蔵書

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八雲抄巻第一 正義部

 

 

 

 

 

 四病 㐂撰式

       㐧一句始、㐧二句始同也。俊頼
一 岩樹病  「其比病は可去」といへり。

夏ふかくなりぞしにけるおほわらきの

もりのした草なべて人かる

あまの河あさせしら浪たどりつゝ

わたりはてねば明ぞしにける

「夏ふかく」の「な」と「成ぞ」の「な」と也。「白露も時雨もいたく」、

「秌のよのなるもしらず」などかずしらず。

二 風燭病 毎句㐧二字より㐧四・五字同。

鴬のたにより出るこゑなくば

春くることをいかでしらまし

み山出て夜半にやきつる時鳥

あかつきかけてこゑのきこゆる

是「鴬」の「く」と「聲なく」の「く」と、「み山」の「や」と「よはにや」の「や」となり。

二 浪舩病 五言の四・五字、七言の六・七字重點也。

いもやすくねられざいけり春の夜は

はなのちるのみ夏に見えつゝ

夢だにもちらでわかるゝ春ならば

いとかくけふはをしまざらまし

是は、「つゝ」、「るゝ」、又「あきの野の」などいへる重點也。古

今、無憚事なれど入病中。

四 落花病 毎句同字交也。但、故重讀不忌。

ほのかにぞなきわたるなる郭公

み山をいづるよはのはつこゑ

夢にだにあはゞやと思ふに人恋る

床にはさあらにねられざりけり

是は、「わたるなる」、「夢にだに」、「ざりけり」なり。毎句同事交をも云り。

 

※読めない部分は、国文研鵜飼文庫を参照した。

※夏ふかく 後拾遺和歌集巻第三 夏歌 平兼盛 228
なつふかくなりぞしにける大荒木の森の下草なべて人かる

※あまの河 古今和歌集巻第四 秋歌上 紀友則 177
あまのがはあさせしら浪たどりつつ渡りはてねば明けぞしにける

※白露も時雨もいたく 古今和歌集巻第五 秋歌下 紀貫之 260
しらつゆもしぐれもいたくもる山は下葉のこらす色づきにけり

※秋のよのなるもしらす 古今和歌集巻第四 秋歌上 藤原敏行 197
あきの夜のあくるも知らず鳴く虫は我がごとものや悲しかるらむ なるも→あくるも

※鴬の 古今和歌集巻第一 春歌上 大江千里 14
うぐひすのたによりいづるこゑなくばはるくることをたれかしらまし

※み山出て 拾遺和歌集巻第三 夏歌 平兼盛 101
みやまいでてよはにやきつるほととぎすあかつきかけてこゑのきこゆる

※いもやすく 新古今和歌集巻第二 春歌下 106
 題知らず 凡河内躬恒
いもやすくねられざりけり春の夜は花の散るのみ夢にみえつつ

よみ:いもやすくねられざりけりはるのよははなのちるのみゆめにみえつつ 隠岐削除歌

意味:寝るのも、ゆっくり寝られなかったよ。春の夜は、花が美しく散る夢ばかり見ていたので。

備考 延喜十三年亭子院歌合の十巻本では、作者名欠、二十巻本では、藤原興風。歌仙家集躬恒集掲載歌。「寝も安く寝られざりけり」

※花だにも 金葉集初奏本、三奏本 藤原朝忠
はなだにもちらでわかるるはるならばいとかくけふををしまざらまし

※ほのかにぞ 拾遺和歌集巻第二 夏歌 坂上望城 100
髣髴にぞ鳴渡るなる郭公み山をいづるけさのはつ声

※夢にだに 続後拾遺和歌集巻第十二 恋歌二 赤染衛門 734
夢にだにみはやと思ふを人こふる床にはさらに寝られざりけり


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