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蓬生 「いかがすべき。かゝる忍び歩きも難かるべきを、かゝるついでならでは、え立ち寄らじ。変はらぬ有さまならば、げにさこそはあらめと、推し量らるゝ人ざまになむ」とはのたまひながら、ふと入り給はむ事、なほつゝましう思さる。ゆゑある御消息も、いと聞えまほしけれど、見給ひしほどの口遅さも、まだ変らずは、御使の立ちわづらはむも、いとほしう、思しとゞめつ。惟光も、 「さらにえ分けさせ給ふまじき、蓬の露けさになむはべる。露すこし払はせてなむ、入らせ給ふべき」と聞ゆれば、 尋ねても我こそ訪はめ道もなく ふかき蓬のもとのこゝろを と独りごちて、なほ下り給へば、御先の露を、馬の鞭して払ひつゝ入れ奉る。
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源氏物語図屏風 右雙第四扇
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