新古今和歌集の西行歌の撰歌4
(2)聞書集 前述の佐佐木信綱は、岩波文庫後記で、聞書集を「しかして、伊勢に関する記事が多いことから、西行が伊勢に在つたほど、その教を受けた西公談抄の編者蓮阿(家田滿良)が西行の歌を聞書した集の原稿であつて、後に定家が新古今集を編纂する際、資料としたものではないだろうかと推察される。」としている。 これを、この8首を聞書集と選者で検証してみると、表5の通りである。 表5 新古今和歌集と聞書集...
View Article俳諧七部集 春の日 追加三月十九日舟泉亭 蔵書
追加 三月十九日舟泉亭 越人 山吹のあぶなき岨のくづれ哉 蝶水のみにおるゝ岩はし 舟泉 きさらぎや餅洒すへき雪ありて 聴雪 行幸の為に洗ふ 土 器 螽髭 朔日を鷹みつ鍛治のいかめしく 荷兮 月なき雪の門はやくあけ 執筆 やまぶきのあぶなきそまのくづれかな 越人(発句 山吹:春) てふみづのみにおるるいはばし 舟泉(脇 春)...
View Article源氏物語図屏風 空蝉・夕顔 宮内庁三の丸尚蔵館 絵はがき
空蝉 「昼より、西の御方の渡らせたまひて、碁打たせ給ふ」と言ふ。さて向かひゐたらむを見ばやと思ひて、やをら歩出でゝ、簾のはざまに入給ひぬ。この入つる格子はまだ鎖さねば、隙見ゆるに、寄りて西ざまに見通し給へば、この際に立てたる屏風、端の方おし畳まれたるに、紛るべき几帳なども、暑ければにや、うち掛けて、いとよく見入れらる。...
View Article俳諧七部集 春の日 春 蔵書
春 昌陸の松とは尽ぬ御代の春 李重 元日の木の間の競馬足ゆるし 重五 初春の遠里牛のなき日哉 昌圭 けさの春海はほどある麥の原 雨桐 門は松芍薬園の雪さむし 舟泉 鯉の音水ほの闇く梅白し 羽笠 舟/\の小松に雪の残けり 且藁 曙の人顔牡丹霞にひらきけり 杜國 腰てらす元日里の眠りかな 犀夕 星はら/\かすまぬ先の四方の色 呑霞...
View Article源氏物語図屏風 紅葉賀 宮内庁三の丸尚蔵館 絵はがき
朱雀院の行幸は、神無月の十日あまりなり。 世の常ならず、おもしろかるべきたびのことなりければ、 御方々、物見たまはぬことを 口惜しがり給ふ。 主上も、藤壺の見給はざらむを、飽かず思さるれば、 試楽を御前にて、せさせ給ふ。 源氏中将は、青海波をぞ舞ひ給ひける。...
View Article俳諧七部集 春の日 逃れたる人の許へ行とて 蔵書
のがれたる人の許へ行とて みかへれば白壁いやし夕かすみ 越人 古池や蛙飛こむ水のをと 芭蕉 傘張の眠り胡蝶のやどり哉 重五 山や花墻根/\の酒はやし 亀洞 花にうつもれて夢より直に死んかな 越人 みかへればしらかべいやしゆふがすみ 越人(霞:春) ふるいけやかはづとびこむみづのをと 芭蕉(蛙:春) かさはりのねむりこてふのやどりかな...
View Article源氏物語図屏風 蓬生 宮内庁三の丸尚蔵館 絵はがき
蓬生 「いかがすべき。かゝる忍び歩きも難かるべきを、かゝるついでならでは、え立ち寄らじ。変はらぬ有さまならば、げにさこそはあらめと、推し量らるゝ人ざまになむ」とはのたまひながら、ふと入り給はむ事、なほつゝましう思さる。ゆゑある御消息も、いと聞えまほしけれど、見給ひしほどの口遅さも、まだ変らずは、御使の立ちわづらはむも、いとほしう、思しとゞめつ。惟光も、...
View Article俳諧七部集 春の日 春野吟 餞別 蔵書
春の日 春野吟 足跡に桜を曲る菴二つ 杜國 麓寺かくれぬものはさくらかな 李風 榎木まて桜の遅きながめかな 荷兮 餞別 藤の花たゞうつふいて別哉 越人 山畑の茶つみをかざす夕日かな 重五 蚊ひとつに寐られぬ夜半ぞ 同 春のくれ 春野吟 あしあとにさくらをまがるいほふたつ 杜国(桜:春) ふもとでらかくれぬものはさくらかな...
View Article源氏物語図屏風 薄雲・朝顔・乙女 宮内庁三の丸尚蔵館 絵はがき
薄雲 姫君は、何心もなく、御車に乗らむことを急ぎ給ふ。寄せたる所に、母君みづから抱きて出で給へり。片言の、声はいとうつくしうて、袖をとらへて、「乗りたまへ」と引くも、いみじう覚えて、 すゑとほき双葉の松に引き別れ いつか木高きかげを見るべき 朝顔...
View Article俳諧七部集 春の日 夏 武蔵坊 蔵書
春の日 夏 ほとゝきすその山鳥の尾は長し 九白 郭公さゆのみ焼てぬる夜哉 李風 かつこ鳥板屋の背戸の一里塚 越人 うれしさは葉かくれ梅の一つ哉 杜國 若竹のうらふみたるゝ雀かな 亀洞 傘をたゝまで蛍みな夜哉 舟泉 武蔵坊をとふらふ すゞかけやしてゆく空の衣川 商露 夏 ほととぎすそのやまどりのおはながし 九白(時鳥:夏)...
View Article俳諧七部集 春の日 逢坂 老子 火宅 蔵書
春の日 逢坂の夜は笠みゆるなどに 明て 馬かへておくれたりけり夏の月 聴雪 老聃曰知足之足常足 夕かほに雜水あつき藁屋哉 越人 箒木の微雨こほれて鳴蚊哉 柳雨 はゝき木はなかむる中に昏にけり 塵交 萱草は随分暑き花の色 荷兮 蓮池のふかさわするゝ浮葉かな 仝 暁の夏陰茶屋の遅きかな 昌圭 夏川の音に宿かる木曽路哉...
View Article和漢朗詠集 餞別 元禄五年版
直幹 江霞隔浦人煙遠湖水連天鴈點遥 順 一行斜鴈雲端滅二月餘花野外飛 篤茂 老眼易迷残雨後春情難繋夕陽前 みわたせばやなぎさくらをこきまぜて みやこそはるのにしきなりける 素性 餞別 白 与君後會知何處為我今朝尽一盃...
View Article俳諧七部集 春の日 秋他 蔵書
春の日 秋 背戸の畑なすひ黄はみてきり/\す 且藁 貧家の玉祭 玉まつり柱にむかふ夕かな 越人 厂きゝてまた一寐入する夜かな 雨桐 雲折/\人をやすむる月見哉 芭蕉 山寺に米つくほとの月夜哉 越人 瓦ふく家も面白や秋の月 野水 八嶋をかける屏風の繪をみて 具足着た顔のみ多し月見舟 仝 待恋 こぬ殿を唐黍高し見おろさん...
View Article読癖入清濁付 伊勢物語 上 天明本 蔵書
よみ すみにごり付くせ入 伊勢物語 上 大意 一此物語たいごうに種々の説有。 男女の物がたりと云々。伊勢の 二字を男女とよむゆへなり。 一なりひらかりのつかひに伊勢に くだりてさいくうにあひ奉りしを ふしぎとする間だいごうとする也。 一なりひらみづから書作なる事う たがひなら其ゆへはわが身の事 をへりくだりてかたはおきなと...
View Article俳諧七部集 春の日 冬他 蔵書
春の日 冬 馬はぬれ牛は夕日の村しくれ 杜國 芭蕉翁を宿し侍りて 大垣住霜寒き旅寐に蚊屋を着せ 如行 申 雪のはら蕣の子の薄かな 昌碧 馬をさへながむる雪のあした哉 芭蕉 行燈の煤けぞ寒き雪のくれ 越人 芭蕉翁をおくりてかへる時 この比の氷ふみわる名残かな 杜國 隠士にかりなる室を もうけて...
View Article神祇歌 西行法師 神路山
題しらず 西行法師 神路山 天の 月さやかなる誓 下を ありて ば 照ら すなり けり 新古今和歌集巻第十九 神祇歌 題しらず 西行法師 神路山月さやかなる誓ありて天の下をば照らすなりけり よみ:かみじやまつきさやかなるちかいありてあめのしたをばてらすなりけり 隆 隠...
View Article国語国文学研究史大成 古今集 新古今集 蔵書
増補国語国文学研究史大成 7 古今集 新古今集 西下経一 實方 清 編著 三省堂 全国大学国語国文学会 編著:西下経一 實方清 初版:昭和35年5月10日 初版:昭和52年11月1日(増補版) 発行:三省堂 700ページ 目次 古今和歌集 研究史通観 一 成立 二 伝本 三 注釈 一 平安時代 二...
View Article読癖入清濁付伊勢物語 一段初冠、二段雨後朝 蔵書
かすがの さと 一むかし、男、うゐかうふりして、ならの京、かすがの里にしるよし して、かりにいにけり。其さとに、いとなまめいたる女、はらからすみ ふるさとけり。此男かいま見てげり。おもほえず、古里に、いとはしたなくて 有ければ、こゝちまどひにけり。男のきたりける、かりぎぬのすそをきり うた...
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