また
はるがすみおもひたちにしあしたよ
りまたるゝものはうぐひすのゑ
宮
春がすみおもひたちなばからころも
きてやはきかぬうぐひすのこゑ
又
月のうちのはつこゑとぞうぐひ
すの人よりさききかまほしけれ
また
うぐひすにあらぬものからなきつゝ
もはるをすゞろにすぐすべきかな
返し 宮みうしたまへる
とぞ本にありし
なくゝもはるはすぎねとおもはなむ
あふひはいつのものとかはきく
かへし
なきわぶるなつをもまたずあふひ
をば時な◯ずともかざしてしがな
宮をこにとりなして
ふるさるゝ時にあらずあふひをば
敦忠集
春霞思ひたちにしあしたより待たるるものは鴬のこゑ
春霞思ひたちなば唐衣きてやはきかぬ鴬のこゑ
月のうちの初こゑをこそ鴬の人よりさきに聞かまほしけれ
うぐひすにあらぬものから鳴きつつも春をすずろに過ぐすべきかな
なくなくも春は過ぎねと思はなむあふひはいつのものとかは聞く
鳴きわぶる夏をも待たずあふひをば時ならずともかざしてしがな
ふるさるる時にもあらずあふひをば(まつりならずと人やとがめむ)