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校正七部集 猿蓑 巻之二 2 蔵書

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豆植る 畑も木部屋も 名所哉  凡兆

破垣やわさと鹿子のかよひ道   曽良

   南都旅店

誰のそくならの都の閨 の 桐  千邦
                尾張
洗濯やきぬにもみ込柿 の 花  薄芝

   豊國にて

竹の子の力を誰にたとふへき   凡兆

たけの子や畠隣に 悪 太 良  去来

たけのこや稚き時の絵のすさひ   芭蕉

猪に吹かへさるゝともし かな   正秀

   明石夜泊

蛸壺や はかなき夢 を夏の月  芭蕉

君が代や筑摩祭も 鍋 一 ツ  越人

   五月三かわたましせる家にて

屋根葺 と並てふける菖蒲哉   其角

粽結ふかた手にはさむ 額 髪  芭蕉
                江戸
隈篠の広葉うるはし 餅 粽   岩翁

さひしさに客人やとふ祭 かな   尚白

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   五月六日大坂うち死の遠忌を

   吊ひて
                伊賀
大坂や見ぬよの夏の五 十 年  蝉吟

   奥刕高館にて

夏 艸や 兵共か 夢 の 跡  芭蕉

這出よ かひ屋か 下の蟾の聲   㒰

   此境はひわたるほとゝいへるも

   こゝの事にや

かたつふり角ふりわけよ須广明石  㒰

五月雨に家ふり捨てなめくちり   凡兆

ひね麦の 味なき空や 五月雨  木節

馬士の 謂次㐧なりさつき 雨  史邦

   奥刕名取の郡に入手中将実方

   の塚いつこにやと尋侍れは道より

   一里半はかり左りの方笠嶋といふ

   處に有とをしふ。ふりつゝきたる

   五月雨いとわりなく打過るに

笠嶋や いつこ五月のぬかり道  芭蕉

 

まめううるはたもきべやもめいしよかな 凡兆(豆植る:夏)  ※去来の嵯峨落柿舎を題した二句 やれがきやわざとかのこのかよひみち  曽良(鹿子:夏)  ※同上 たがのぞくならのみやこのねやのきり  千邦(桐花:夏) せんだくやきぬにもみこむかきのはな  薄芝(柿の花:夏) たけのこのちからをたれにたとふべき  凡兆(竹の子:夏) たけのこやはたけどなりにあくたらう  去来(竹の子:夏) たけのこやをさなきときのえのすさび  芭蕉(竹の子:夏)  ※嵯峨日記 ゐのししにふきかへさるるともしかな  正秀(照射:夏)  ※ともし 夏の夜の山中で、狩人が鹿をおびき出すために篝火をたいたり、松明をともしたりすること。また、その火。 たこつぼやはかなきゆめをなつのつき  芭蕉(夏の月:夏)  ※笈の小文 きみがよやつくままつりもなべひとつ  越人(筑摩祭:夏)  ※筑摩祭 滋賀県米原市の筑摩神社で5月8日(古くは陰暦4月1日)に行われる祭礼。古来、御輿に従う女性がひそかに関係をもった男性の数だけ鍋をかぶったというが、現在は少女が作りものの鍋をかぶって供をする。鍋祭り。つくまのまつり。《季夏》伊勢物語百二十段にもある祭。 やねふきとならんでふけるしやうぶかな 其角(菖蒲:夏) ちまきゆふかたてにはさむひたひがみ  芭蕉(粽:夏)  ※はさむ額髪 源氏物語帚木「まめまめしき筋を立てて耳はさみがちに美さうなき家刀自」 くまざさのひろはうるはしもちちまき  岩翁(餅粽:夏) さびしさにまらうとやとふまつりかな  尚白(祭:夏) おほさかやみぬよのなつのごじうねん  蝉吟(夏:夏)  ※蝉吟(藤堂良忠の俳号で芭蕉が出仕していた)の祖父藤堂良勝は、慶長二十年大坂夏の陣で戦死。 なつくさやつはものどもがゆめのあと  芭蕉(夏草:夏)  ※奥の細道 はひいでよかひやがしたのひきのこゑ  芭蕉(蟾:夏)  ※奥の細道 かたつぶりつのふりわけよすまあかし  芭蕉(蝸牛:夏)  ※はいわたるほど 源氏物語須磨「明石の浦は、ただはひ渡るほどなれば」、明石「飛ぶやうに明石に着きたまひぬ。 ただはひ渡るほどに」 さみだれにいへふりすててなめくじり  凡兆(蛞蝓:夏) ひねむぎのあぢなきそらやさつきあめ  木節(五月雨:夏) うまかたのいひしだいなりさつきあめ  史邦(五月雨:夏) かさしまやいづこさつきのぬかりみち  芭蕉(五月:夏)  ※中将実方の塚 新古今和歌集巻第八 哀傷歌  陸奧へまかりけるに野中に目にたつ樣なる塚の侍りけ
 るを問はせ侍りければこれ中將のつかと申すと答へ
 ければ中將とはいづれの人ぞと問ひ侍りければ實方
 朝臣のこととなむ申しけるに冬の事にて霜枯の薄ほの
 ぼの見えわたりて折りふし物悲しう覺え侍れば                    西行法師
朽ちもせぬその名ばかりをとどめ置きて枯野の薄形見にぞ見る  ※奥の細道

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