冬の夜のながき をおくる 袖ぬれぬ
あかつきがたの よもの嵐に
新古今和歌集巻第六 冬歌 冬歌中に 太上天皇
冬の夜の長きを送る袖ぬれぬあかつきがたの四方のあらしに
よみ:ふゆのよのながきをおくるそでぬれぬあかつきがたのよものあらしに 選者無 隠削
作者:後鳥羽天皇ごとば1180~1239譲位後三代院政をしく。承久の変により隠岐に流される。多芸多才で、新古今和歌集の院宣を発し、撰者に撰ばせた後更に撰ぶ。
意味:冬の夜の長きを、独り眠れず起きている私の袖は、涙で濡れてしまった。暁方の四方から吹いてくる嵐の音に。
備考:元久二年三月日吉三十首 本歌:冬の夜のながきをおくるほどにしも暁方の鶴の一声(元真集) 本説:源氏物語 須磨 御前にいと人少なにて、うち休みわたれるに、一人目を覚まして、 枕をそばたてて四方の嵐を聞きたまふに、波ただここもとに立ちくる心地して、涙落つともおぼえぬに、 枕浮くばかりになりにけり。
読売書法展出品作品東京 I.T令和3年2月26日 壱