赤染衛門
やすらはでねなまし物をさよ更て
かたぶくまでの月をみしかな
小式部内侍
大江山いくのゝみちのとをければ
まだふみもみずあまの橋だて
後拾遺集
中関白少将に侍りける時、はらからなる人に物言ひわたり侍けり、頼めてまうで来ざりけるつとめて、女に代りてよめる
赤染衛門
やすらはで寝なましものを小夜ふけてかたぶくまでの月を見しかな
金葉集
和泉式部保昌に具して丹後に侍りけるころ都に歌合侍けるに、小式部内侍歌よみにとられて侍けるを、定頼卿局のかたに詣で来て、歌はいかがせさせ給、丹後へ人はつかはしてけんや、使詣で来ずや、いかに心もとなくおぼすらん、などたはぶれて立ちけるを引きとどめてよめる
小式部内侍
大江山いくのの道の遠ければまだふみも見ず天の橋立
百人一首 五十九番赤染衛門、六十番小式部内侍
*令和3年9月19日 弐點肆