しよくちうのくじつ おうふつ
蜀中九日 王勃くぐわつくじつぼうきやうたいたせきたきようおくるのかくをはいにんじよう九月九日望郷臺他席他郷送客杯人情すでにいとふなんちうのくをこうがんなんぞよりほくちきたる已厭南中苦鴻雁那従北地来
くじつには、たかいところへのぼるものしやといふにより、われもひとにさそわれ、しよくのぼうきやうたいにのぼつて見るに、こきようならばおもしろかろうに、たせきのことであり、ことにけふは、このところ/\のぼりわるしひともあるゆへ、いよ/\かなしい。われはみやこよりみなみ、しよくのくにのかたへきていて、こきようへかへることもならぬに、かりがねはどふしたことて、きたのちより、とびきたることぞと、とりにことよせていふこと。じようたいかくつろひで、おもしろいくわしくは掌故ニあり。
蜀中九日 王勃 九月九日望郷台他席他郷客を送る杯人情已に厭ふ南中の苦鴻雁那(なん)ぞ北地より来れる
意訳九月九日の重陽の節句に、蜀の玄武山の望郷台に登り、 旅先の宴で異郷の客に杯を傾けて送る。
私の心は、中国の南の蜀はつまらなく飽き飽きしているのに、 サカツラガンの群れは、どうして北の地からこのつまらない蜀の地に来るのだろうか?
唐詩選畫本 七言絶句 巻一