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唐詩選画本 贈蘇館書記 杜審言

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     おくるそくわんしよきに      としんけん   贈蘇舘書記   杜審言しんぬきみかしよきもとへん/\ためにゆるすしたかつてちうにおもむくさくへんにこうふん知君書記本翩々為許従戎赴朔邉紅粉ろうちうへしかそふひをゑんしさんかなかれふることとしを樓中應計日燕支山下莫経年
おれかしつているがこなたはもとよりふんしやうへん/\とすくれてたれおよふこともない。こんとしよきやくにたのまれなるほどゝたいしやうのためにゆるしぢうくんしたかつてさくへんのゑひすのかたへゆかるゝ。こなたのごないしつかひをかぞへてまたるゝてあろふ。かならすゑんしさんあたりにとうりうすることはこむようでござる。あのほうのはんてもひのりきりのある事しやほどにはやくかへられよ。かならすとうりうするなといふ事なれともおらがいふてはきゝはすまひによつてそこでないきをたしていふておもしろい。箋注ニくわし。
 蘇舘書記に贈る 杜審言知る、君が書記本と翩々たるを。為に許す、戎に従って朔辺に赴くを。紅粉楼中、応に日を計るべし。燕支山下、年を経ること莫かれ。
意訳私は知っている。君の詩文の才能に優れ、美しい文章を作る事を。だから、この度、軍に従って北方の辺境の地へ赴く事を引き受けた。ただ、美しい君の恋人の住む楼の中では、日数を数えて君の帰りを待っているだろう。だから、寂しい辺境の燕支山の麓で、そういつまでも年を過ごしてはいけないよ。
※蘇館 蘇綰とも。工部郞中まで出世した隋以来の名門の出。
※書記 節度使の幕下の官名で、文書を管掌。なお、詩中の書記は詩文の事。
※贈 蘇が北西の節度使書記に任命され、出発するに当たり杜審言が贈った。
※翩々 詩文などの美しい事の形容。曹丕が文人の阮禹(*王へん)を評して、「書記翩翩として致きは楽しむに足る」を踏まえる。
※為許 拝命。
※従戎 従軍の事。
※朔辺 北方の辺境。
※紅粉楼 紅と白粉を付けた妻か愛人が住む楼。文選に「峨峨たり紅粉の粧い」を踏まえる。
※燕支山 甘粛省張掖の東南に有る山で、蘇の任地付近に有る。
唐詩選畫本 七言絶句 巻一

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