じうくんこう おうせうれい 從軍行 王昌齢 せいかいのてううんくらしせつさんにこじようはるかにのそむきよくもんくはんくはうしや 青海長雲暗雪山孤城遙望玉門關黄沙 ひやくせんうかちきんこうをすんはやふらろうらんをついにじかへら 百戰穿金甲不破樓蘭終不還 このしろより見れはたゝひやう/\としてわがきているはゑひすのちせいかいのきたなればくもがなかくたなびいてせつさんまて もまつくろにしてものすこくみゆるぎよくくはんは西北のすみでとをい処じやにそれを通りてまたとをいこのはん てのものゝいるこぢようあたりへきて又玉門山をのそむさへとをい都はいよ/\遠い。しやばくてたひ/\かつせんかあるゆへよろ いをぬくまもなくこのやふてはいつこきやうへかる事ぞ。大方はろうらんをやふりしまわずはかゑらぬてあろふかきりもない事じや
従軍行三首 其二 王昌齢 青海の長雲、雪山暗く、 孤城、遙かに望む玉門関。 黄沙百戰、金甲を穿つも、 楼蘭を破らずんば終に還らず。
意訳 ココノール湖の上に長く棚引いた不吉な雲が、雪をいだいた祁連山をも暗くし、 私の居る平原にポツンと有る城からは、故郷と異郷の境に有る玉門関さえ、遥かに遠くに見える。 黄沙での何十回の戦で、金属で出来たさすがの鎧にも穴が開いてしまったが、 楼蘭城を破るまでは、還るつもりは無い。
※青海 ココノール湖。
※雪山 祁連山と思われる。中国の青海省と甘粛省との境界にある山。祁連山脈の主峰で、酒泉の南方に位置し、標高5547メートル。漢・魏時代に漢を攻める匈奴 (きょうど) の基地であった。チーリエンシャン。
※玉門関 甘粛省敦煌市の北西約90kmに有る。
※黄沙 西北の砂漠。砂が黄色いのでこう呼ばれる。
※金甲 鎧。
※楼蘭 タクラマカン砂漠にあった新疆ウイグル自治区の都市国家。ロプノール湖の西で栄えたが、ロプノール湖が干上がり、滅びた。
永昌源 茘枝酒(ライチチュウ リキュール)
唐詩選畫本 七言絶句 巻三