徳大寺大納言實祖卿 寂蓮法師
さびしさはその色
としもなかりけり
真木たつ山の
あきのゆふ暮
新古今和歌集巻第四 秋歌上
題しらず 寂蓮法師さびしさはその色としもなかりけりまき立つ山の秋の夕暮
読み:さびしさはそのいろとしもなかりけりまきたつやまのあきのゆうぐれ
意味:寂しさは、その風景が必ずしも原因と言うことでは無いが、真木が霧の中から突然現れる秋の夕暮れは(その風景だけで)とても寂しい。
備考:八代集抄、釈教三十六人歌合、定家十体、美濃の家づと、新古今抜書抄、九代抄、九代集抄、聞書連歌
庭田中納言重嗣卿 西行法師
こゝろ 鴫たつ なき 沢の 身にも 哀は あきの しられ 夕 けり 暮
題しらず 西行法師心なき身にもあはれは知られけりしぎたつ澤の秋の夕ぐれ
よみ:こころなきみにもあわれはしられけりしぎたつさわのあきのゆうぐれ 定隆雅 隠
意味:風流を解しない私にもあわれを感じることが出きる。鴫が突然羽音を立てて飛び去った沢の夕暮をみると。
備考:三夕。美濃、常縁原撰本新古今和歌集聞書、新古今和歌集抜抄(松平文庫本)、新古今抜書抄、聞書連歌 西尾図書館岩瀬文庫、新古今和歌集抄出聞書(陽明文庫)
廣幡前内大臣前秀公
藤原定家朝臣
みわたせば花も もみぢもなかりけり
うらのとまやの
あきのゆふ昏
西行法師すすめて百首よませ侍りけるに見わたせば花も紅葉もなかりけり浦のとまやの秋の夕ぐれ
よみ:みわたせばはなももみぢもなかりけりうらのとまやのあきのゆうぐれ 隠削
意味:見渡すと目立つような花や紅葉もないけれど、浦のみすぼらしい小屋の秋の夕暮をみるととても物悲しく心が動きます。
備考:本説 源氏物語 須磨。新三十六歌仙、美濃、常縁原撰本新古今和歌集聞書
胡燕 画
不詳
徳大寺 実祖(1753年ー1819年2月22日)江戸時代中期から後期にかけての公卿。内大臣・西園寺公晃の次男(三男とも)。権大納言・徳大寺公城の養子。官位は従一位、右大臣。
1777 正二位1779 権大納言 ★1797-1798 右近衛大将 ★1798 内大臣1800 従一位1815 右大臣
庭田 重嗣 (1757年ー1831年5月16日)江戸時代中期から後期にかけての公卿。権大納言・庭田重熈の子。官位は従一位・権大納言兼按察使。
1789 従二位1789 権中納言 ★1797-1801 権大納言 ★1798 正二位1820 従一位1824 出家
広幡 前秀 (1763年1月15日ー1808年7月12日)江戸時代中期の公卿。官位は正二位・権大納言。初名は前基(さきもと)、のち前秀。「前」の字は父・前豊または、前豊にその字を与えた近衛内前から偏諱を賜ったものである。
1789-1808 権大納言
1808年7月12日 薨去