(ウェップリブログ 2009年07月04日)
11 紫陽花の歌
今紫陽花が盛です。紫陽花の和歌を集めてみました。
アジサイは、シーボルトが持ち帰り、ヨーロッパで逆輸入されたものが、今アジサイといっていますが、本来はガクアジサイとのことです。
万葉集巻第四 773 大伴家持
大伴宿祢家持従久迩京贈坂上大嬢歌五首
言問はぬ木すらあぢさゐ諸弟らが練の村戸に朝迎えけり
事不問木尚味狭藍諸弟等之練乃村戸二所詐来
万葉集第二十4448橘諸兄 古今和歌六帖3911 夫木抄3346
同月十一日左大臣橘卿宴右大弁丹比国人真人之宅歌三首
あぢさゐの八重咲く如く八つ代にを居ませ我が背子見つつ偲ばむ
安治佐為能夜敝佐久其等久夜都与尓乎伊麻世和我勢故美都々思努波牟
古今和歌六帖3912
茜さす昼はうちたしあぢさゐの花の四片に逢ひ見てしがな
散木奇歌集320源俊頼 夫木抄3348 源俊頼
あぢさゐの花の四片に照る(洩る)月を影もさながらおるみともかな
散木奇歌集1133 夫木抄3349 源俊頼
あぢさゐの花の四片は訪れてなそいなのめの情けばかりは
久安百首 29 夫木抄3347 崇徳院
あぢさゐの四片の八重(山)に見えつるは葉越しの月の影にやあるらむ(ありける)
長秋詠藻 千五百番歌合 687夫木抄3350 藤原俊成
夏もなほ心は尽きぬあぢさゐの四片の露に月も澄みけり
拾遺愚草222 夫木抄3351 藤原定家
あぢさゐの下葉に集く蛍をば四片の数の添ふかとぞ見る
拾遺愚草員外146 藤原定家
あぢさゐの萎れて後に咲く花のただ一枝に秋の風まで
夫木抄9791 藤原家隆
あちまのにあぢさゐ咲ける-夕付く夜露の宿は秋ならずとも
新撰和歌六帖 2133 藤原知家(1182-1258)
今もかも来ませ我が背子見せもせむ植しあぢさゐ花咲きにけり
夫木抄3352 衣笠家良(1192~1264)
訪う蛍火影見え行く夕暮れになほ色まさる庭のあぢさゐ
新撰和歌六帖 2131衣笠家良
宵の間の露に咲きそふあぢさゐの四片ぞ月の影に見えける
新撰和歌六帖2132 藤原為家(1198~1275) 、夫木抄03353衣笠家良
花咲きし庭のあぢさゐあぢきなくなとて四片に我を捨てけむ
新撰和歌六帖2134 夫木抄3354 藤原信実(1177~1265)
あぢさゐの四片少なき初花を開けばてすと思ひけるかな
新撰和歌六帖2135夫木抄3355 葉室光俊(1203~1276)
下野や籬にましるあぢさゐの四片にみれは八重にこそ咲け
夫木抄3356
これ程と人は思はじ川上に咲きつつ来たるあぢさゐの花
建長八年百首歌合1229
訪ふ蛍光見えゆく夕暮に猶色のこる庭のあぢさゐ
他の橘や撫子、卯の花、菖蒲に比べずいぶん少ないことがわかります。
また、源順の和名類従抄には、
紫陽花(アツサイ) 白氏文集律詩云う紫陽花 和名 安豆佐為
漢字から紫色、四片(よひら)の額というのが伺えます。