(ウェッブリブログ 2009年09月12日、09月26日、09月29日、10月03日、10月04日)
本歌取りの為の習作 望郷月
心には空の浮き雲流れても恋しかるらむ古里の月
浮と憂き
空、雲は月の縁語
本歌
心にもあらでうき世にながらへば恋しかるべき夜半の月かな 三条院 後拾遺集 雑歌一
本歌取りというのは、ただ詞を使うのではなく、その歌の情景を取り込むことなのですが、何も取り込んでいない愚作とは思います。
返歌のための習作
わびぬれば今はた同じ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ
かへし
なにはとて浅瀬を進む舟ならば荒き波にもゆくへ難しや
何は、難波の懸詞
波、難しで難波の歌枕
澪標たよりに進む浮舟もかひもなき身のゆくへ知れずや
便りと頼り、浮きと憂き、櫂と甲斐の懸詞
瀬を早み岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ
かへし
すゑにあふ滝のしずくもうたかたの消ぬるほどの時と知りせば
有名な百人一首に返歌を付けるという習作
同じ習作を作った人がいたが、こんな愚詠とは比較にならないほど素敵なものだった。
恋歌のための習作
逢えぬ日のいとどながきの常陸帯の神懸けてこそ結ぶ縁しを
本歌は
東路の道のはてなる常陸帶のかごとばかりも逢ひ見てしがな
常陸帯は、鹿島神宮で名前を書いた帯を神主が引いて相手を選ぶもの
常陸と日経ちの掛詞
かりそめの思ひに燃ゆるもみぢばもかれがれとなり落ちて朽ちなむ
思ひと火、枯れと離れの掛詞
常盤山変はらぬ松の色としも龍田の山のもみぢ散りぬる
龍田と経つの掛詞
本歌
秋來れば常磐の山の松風もうつるばかりに身にぞしみける
杜若の折句による習作
かき乱る
君への思ひ
罪なれば
花も嵐も
断ち切るものを
鵲の
岸を渡して
月も落ち
遥かな空の
七夕の恋
悔恨
変わらない
君の笑顔の
尽きぬのに
馬鹿な男と
ただ思ひつつ
新居
かまってよ
キスしてくれと
妻の言ふ
ハウスの中の
ただよふ幸よ
唐衣
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびにしぞ思ふ
古今集 在原業平 伊勢物語 九段 東下り
枕詞、序詞、掛詞、縁語と折句だけでない所が、業平の天才といえる所でしょう。
即興で詠んだ所も。
早く短歌も回復したいものだ。
地球温暖化についての習作
ウヰスキーの琥珀の中に溶け出してホッキョクグマの命短し
短歌俳句が出来にくい状況なので、何でも作ってみようと。