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短歌集 初心 ’07

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はじめに

初めてネットワークに参加したのは、HPだった。マンションの管理組合が定めたブロバイダーと契約して光通信を始めた。

既にネットワークに参加していた叔父が、ウェッブリブログと言うのを勧めたので、2006年10月28日に参加してみる事にしたのが、ブログ名 花鳥風月だった。俳句のブログ友達も5人ほど出来たが、それぞれの方も止めて行った。当時はガラケーで写真を撮っていたので、画像が粗く小さい。それでもあちらこちらを撮って歩いている。

2023年1月に閉鎖されると言う事で、急遽引っ越しをしている。1日分を掲載していたが、読む読者も疲れるだろうと以下をまとめて短歌集「初心」と名付ける。

 

 雪折れ  2007年01月21日
節々に訪う人あらば笹竹も雪折れせずに葉を茂るらむ

 

紀貫之 賀歌 年ごとに生ひそふ竹のよよを經てかはらぬ色を誰とかは見む
について、質問をいただき、その返事に

笹竹のように細く、頼りないのですが、質問などを受けますと、またやる気が出てくるものですね。

 

 涼州詩 葡萄酒の夜光杯を 2007年02月21日
明日知れぬ防人のごと
身を削り路上に臥して見る人も無く

 

王翰の
葡萄の美酒、夜光の杯
飲まむと欲すれば琵琶馬上に催す
酔いて沙場に臥すとも君笑うことなかれ
古来征戦幾人かかえる

現代の防人は、周りから白い目でごみの如く見られながら、無視されている。

 

 沖縄の夕日   2007年03月11日
ゆっくりと
海に日の落ちてゆく
泡盛の氷の溶ける間に

 

那覇市泊港から泊大橋に沈む夕日

沖縄の時間は、本土とは違うのに歩くスピードから何かから東京スタイルで動いている自分に気がついた。
沖縄の日が傾く時間も東京に比べて遅く、6時を過ぎてもまだ沈まない。
泡盛のロックをゆっくり飲み、三線の歌を聴きながら日が沈むのを眺めていた。

 

短歌:花粉症の人に良く効くと評判のお茶に添えて  2007年03月31日
憂きものと
春は来にけり
涙落ち
山吹く風は
花を勝るや

 

春は杉花粉が飛んでとても辛いとせっかくの良い季節なのに憂いてしまう人が多い。
花見に誘っても野外は…ということで、良く効くと評判のお茶を差し上げた。

田舎者には罹らないと信じていても、都会生活が長くなった私もいずれは、苦しむことになるかもしれません。ある日突然、コップから水があふれ出すように罹病すると聞きましたから。

 

 法華経巻第一序品を 2007年04月01日
鷲の峰
のり説く日にもかくあらむ
 春の盛の櫻浄土よ

 

法華経 第一巻 序品 
是諸大衆 得未會有 歓喜合掌 一心観仏

桜の散る様は、誠に見事としか言いようのない。

法華経 序品に、お釈迦様が、霊鷲山で法華経を説く前に、天から曼荼羅華、摩訶曼荼羅華、曼珠沙華、摩訶曼珠沙華が降り、そこにいた神々や人々は歓喜し、合掌したとあります。

そんな風景を思い浮かべてしまうほど、日本人の心に桜が宿しているのでしょう。

 

 花見も雨で  2007年04月08日
散り急ぐ
花はありとも
 八重櫻
咲き匂ふかな
  人の輪の中

 

ご婦人方とせっかくの花見を計画していたが、あいにくの雨で室内で行うことに。
寒い外で行うよりはということで。

 

 入幼稚園  2007年04月10日
ワッペンのひらがなの字も新しく
名を呼びたればハイと答えし

 

我が一族の中で甥、姪の入学、卒業の便りを聞くと「あの小さき子が・・・」という明るい話題となっている。

姪が幼稚園に入園した後の義姉の父の祭日の写メールに。
明るい姪の、幼稚園の先生からの「○○ちゃん」の想定練習に、「ハイ!」が聞こえそうで。

 

 春園(知人の送別に)   2007年04月30日
春色に染まるや真の花なれば
訪れてみむ
菜のはなの園

 

 抽象画    2007年05月05日
心のバーツヲ再構成シテ爆発サセた
パリの退廃的美


パリの新抽象画をアンフォルメル(非定型主義)と言うそうだが、私にはさっぱり分からない。
新国立美術館に「異邦人たちのパリ」を見てきたが、たくさんの人(同時にモネ展をしていた)がいた。たぶん私と同じく分からなかったのでは?と思う。

 

 ビルの谷間   2007年05月30日
ビルの谷間
自分は何処にいるのか判らない・・・
次はどうしよう

 

次々大きなビルが建ち、地下街が拡大している。
東京駅から間違って新しい大きな地下街に迷い込んだ。いくら歩いても目的地に着かない。
少し酔っていたせいもあるが、とてももどかしい気がしてふと中庭のような所へ出た。巨大なビルの谷間だった。
なんとか人の歩いていく方向へついて行くとなじみの古い地下道に出てやっと帰ることができたが、認知症の人はこういう不安をいつも感じているのだろう。

いずれ自分もなるだろうという恐怖は消えていない。

 

 ギターの音色に   2007年06月04日
アンダルシアの陽の中
今日の夕べを考えている
    あの娘のことを

 

あるスナックに入ったら、ママがギターの弾き語りをしていた。
曲はスペイン語のベサムーチョ。
友人が違う曲を弾いた。ふとけだるい風を感じて、安らぎを覚えたので。

スペインに行ったことは無いのですが。

 

 ギターの音色に2  2007年06月06日
左は技
右は心を
君が弾く中
安らぎそして・・・情熱

友人が弾いたときに

 

 叶わぬ恋  2007年06月11日
叶はずも
もしありといふ
苦しさに
見ることすらも
心惑ひぬ

スナックで女の子にええかっこうしていたら、私に歌を作ってと言われて。即興で。

いくつになっても女の子には弱い。

 

FRANK SINATRA - As Time Goes By

「As time goes by」 ジャズバーにて その1 2007年06月17日
グラスの真ん中に氷
時がゆっくりと過ぎる
ジャズを聴きながら

知り合いと六本木のジャズバーに行った。歌姫とギター伴奏のシンプルな構成だったが、気持ちが安らいだ。

 

Blue Moon - Diane Shaw (Jazz version)

 「Blue Moon」 ジャズバーにて 2 2007年06月21日
恋をしたい
ただそれだけ
ちょっと疲れたから月でも見に行こうよ

 

ジャズバーで、曲を聴いていてふっと湧いてきた。
友人は、何でそんな歌が出てくるの?と聞くが、私にもわからない。

 

 口げんか ジャズバーにて その3  2007年06月22日
君が言ったことまだ考えている
そんなつもりは…ないよね
きっと

曲名も忘れてしまいましたが、聞いていてふっと出てきたものです。なぜ出てきたのかは不明ですが。

 ジャズバーにて その4  2007年07月30日
ジャズが流れる店で
いつまでも黙っている
それはそうだねきっと

 

コンピュータが壊れて一月。携帯電話投稿を試みています。

ジャズバーのカウンターで曲を聴いているのか違う事を考えているのか判らない。でもきっとあの時の事。

 

 ジャズバーにて その5 2007年07月31日
恋は忘れてしまった
いつも通り過ぎる窓の景色の中で


ジャズバーで素敵な曲を聴きながらバーボンでホロ酔うと色んなイメージが湧きます。

 熱帯夜  2007年08月16日
熱帯夜
眠れぬ夜の静かさの
人からもらった憂いがひとつ

 

まだ30℃を超えている
東京の夜はヒートアイランド現象で気温が下がらない。こんな夜は色んな嫌な事を思い出してしまいます。

 

 10円玉  2007年09月05日
この10円玉と同じ時代を生きた
薄汚れっちまったな

 

小学校に入る前、十円玉を握りしめて駄菓子屋に買いに行った。色んな物が買えてずいぶん迷ったものだ。

生まれた年の十円を見つけた。あの頃とは価値は少なくなり、ずいぶん汚れている。夢を無くして行った時間の長さだろうね。

 

 台風一過’07 2007年09月07日
世の中と
心の塵を
吹き払い
台風一過
秋の夕暮

 

台風が去った後、大気の汚れを吹き飛ばし、洗い流すせいか夕焼けが綺麗ですね。残った雲がダイナミックに夕日に映えますから。

字数を四字に揃えてみました。

 

 憂世   2007年10月27日
この世は欺瞞の海にうくものと
解っていながら溺れる日々

実はこの世は、かくあるべしという為に、嘘で成り立っていると歳を経て世の中が見える様になってから解ってきた。

あるテレビ局のキャスターが年金、産地偽装や給油量隠蔽に憤って居ましたが、そういえば、たいした取材もせず間違った報道をして問題になった事もありましたね。放送するまで検証する時間がないのでしょうが。

その憂き世に浮き沈み、すがりついて生きている自分に批判する資格はない。

 

もう一人のボク  2007年11月02日
クダラナイ
モウイインジャナイノと
二人称のボクがツブヤク

 

時々自分自身の過去の失敗行為について、もう一人の自分が責めたり、もうやめたらとつぶやく事がある。
過去の自分を好きな人は少ない。日々反省するが、反省するだけならサルでもできると昔流行った。

 

 室の八嶋 恋歌二首  2007年11月04日
けぶり立つ室の八嶋は遠くにて
夕靄かすむ思ひの辺りか

 

我が姿川面にうつし流れゆき思ひとなりて君に届けよ

 

今朝ふと室の八嶋に行こうと思い付き、日光の紅葉狩で満員電車に乗った。

この室の八嶋に来たのは5年も前。私の恋歌も古めかしい。
思川の近隣で霧が立ち込める予定だったが、骨董市が開かれ賑わっていた。

下流で姿川と合流し利根川江戸川となる。

 

 食品大量廃棄   2007年12月18日
孫は山に捨てられ
ひ孫は飢えて死ぬ
解っちゃいない!
何故捨てる

 

五十年後
孫「お腹空いたね。ねえ、おじいちゃんが子供の頃、まだ食べられるのに食べ物を捨てたって聞いたけど本当なの?」
祖父「本当だよ。馬鹿な時代だったよ」
孫「何故そんなもったいない事したの?」
祖父「昔は食べ物はお金を出せば何でも好きな物買えて、そんな事がずーと続くとみんな思っていたからだよ」
孫「おじいちゃん。もう時期会えなくなっちゃうの?」
祖父「そうだよ。もう時期60歳だからセンターへ行かなきゃならないから。もう役に立たなくなった老人の食いぶちを減らさなくちゃ」
孫「寂しくなっちゃうよ」
祖父「食べ物は、みんな他の生き物の命なんだよ。それを粗末にしたバチが当たったんだよ」
孫「お腹空いたね」
祖父「こんな時は黙って寝るのが一番。もう寝なさい。明日は配給があると聞いたから」

石油の上に立脚した日本は、いずれ生産基盤を無くし、他の国から食べ物を輸入できなくなるのでは?
今、その兆しが顕れているのに誰も気がついていないのか、食肉企業の擬装をきっかけに5g足りない、表示の順番を間違っただけで大量に食品が捨てられている。違法には違いないが、もっと他の方法がなかったのだろうか?

豪州では、地球温暖化のせいか2年連続干ばつで小麦の生産量が激減し、バイオ燃料の為に穀物が高騰し、購買力の無くなった日本は、魚介類を海外で中国欧州に買い負けしているニュースを見ると、前述の50年後の会話があながち空想とは思えない。

つい最近まで「モッタイナイ」という日本語を称賛していたマスコミは、もう誰もこの馬鹿げた行為を非難せず、逆に助長している。

会話の中の「センター」とは安楽死をさせる未来の姨捨山。30年前に見た「ソイレント・グリーン」が、いずれ現実となるだろう。


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