霞立つ
すゑのまつ
やま
ほの/"\と
波にはなるゝ
よこぐもの
空
新古今和歌集巻第一 春歌上
攝政太政大臣家に百首歌合し侍りけるに
春の曙といふこころをよみ侍りける
藤原家隆朝臣
霞立つすゑのまつやまほのぼのと波にはなるるよこぐもの空
よみ:かすみたつすえのまつやまほのぼのとなみにはなるるよこぐものそら 有定雅 隠
意味:霞が立っている末の松山では、波が越えないというので波に別れた棚引く雲が越えてゆくようなほのぼのとした春の夜明けです。
備考:歌枕 末の松山宮城県多賀城市八幡。六百番歌合。本歌 君をおきてあだし心をわがもたばすゑの松山浪もこえなむ(古今和歌集 巻二十 東歌)。歌枕名寄。