かはりたるにや本哥は玉楼金殿なりともかひなく
るべしといふをいひかへたる哥なり。たへでやは
とはおもふやうなる事ありとも秋の夕暮には
たへでやはあられんときこへ侍り。
式子内親王
○それながら昔にもあらぬ秋風にいとゞながめをしづの
をだまき
秋風はむかしのそれながらわれは昔のやうにも
あらぬとなり。しづのをだまきはくり返すもの
なればむかしを今になさばやの心なり。しづの
をだまきくり返しの本哥を心に持てよせる也。
※しづのをだまきくり返しの本哥
伊勢物語三十二
いにしへのしづのをだまきくりかへしむかしを今になすよしもかな
※出典 不詳