るにをよはす。七珎万寶さながら
灰燼となりにき。そのついゑ
いくそはくそ。このたひ公卿の
家十六やけたり。まして其ほか
いゑ/\かすをつくすにおよはす。
すへてみやこのうち三分かいちにを
よへりとそ。男女しぬる物数千
人。牛馬のたくひへんさいをし
らす。人のいとなみみなおろかなる
(取り出づ)
るに及ばず。
七珎万寶さながら灰燼となりにき。
その費ゑ、幾十許ぞ。
この度公卿の家十六焼けたり。
まして其外家々数を尽くすに及ばず。
全て都の中三分が一に及べりとぞ。
男女死ぬる物数千人。
牛馬の類ひ辺際を知らず。
人の営み皆愚かなる
(参考)大福光寺本
ルニオヨハス。
七珍万宝サナカラ灰燼トナリニキ
其ノ費エイクソハクソ
其ノタヒ公卿ノ家十六ヤケタリ
マシテ其外カソヘシルニヲヨハス
惣テミヤコノウチ三分カ一ニヲヨヘリトソ
男女シヌルモノ数十人
馬牛ノタクヒ辺際ヲ不知
人ノイトナミ皆ヲロカナル