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Channel: 新古今和歌集の部屋
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伊勢物語歌 一~十四

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一 春日野の若紫の摺り衣しのぶの乱れ限り知られず 在原業平
かすがののわかむらさきのすりころもしのぶのみだれかぎりしられず
新古今恋一 在中将集 古今六帖五

一 陸奥の信夫文字ずり誰故に乱れそめにし我ならなくに 源融
みちのくのしのぶもちすりたれゆゑにみだれそめにしわれならなくに
古今恋四 

二 起きもせず寝もせで夜を明かしては春のものとて眺め暮らしつ 在原業平
おきもせずねもせでよるをあかしてははるのものとてながめくらしつ
古今恋三  古今六帖一

三 思ひ有らば葎の宿に寝もしなむひじきものには袖をしつつも 在原業平
おもひあらばむぐらのやどにねもしなむひしきものにはそでをしつつも
  大和物語百六十一

四 月やあらぬ春や昔の春ならぬ我が身一つは元の身にして 在原業平
つきやあらぬはるやむかしのはるならぬわがみひとつはもとのみにして
古今恋五 在中将集 

五 人知れぬ我が通ひ路の関守は宵々ごとにうちも寝ななむ 在原業平
ひとしれぬわがかよひぢのせきもりはよひよひごとにうちもねななむ
古今恋三 在中将集 

六 白玉か何ぞと人の問ひし時露と答へて消えなましものを 在原業平
しらたまかなにぞとひとのとひしときつゆとこたへてきえなましものを
新古今哀傷  

七 いとどしく過ぎゆく方の恋しきに羨ましくも帰る波かな 在原業平
いとどしくすぎゆくかたのこひしきにうらやましくもかへるなみかな
後撰羇旅  

八 信濃なる浅間の岳に立つ煙遠近人の見やは咎めぬ 在原業平
しなのなるあさまのたけにたつけぶりをちこちひとのみやはとかめぬ 新古今羇旅

九 唐衣着つつなれにしつましあれば遙々来ぬる旅をしぞ思ふ 在原業平
からころもきつつなれにしつましあれははるばるきぬるたひをしそおもふ
古今羇旅 在中将集 古今六帖六

九 駿河なる宇津の山辺の現にも夢にも人に逢はぬなりけり 在原業平
するがなるうつのやまべのうつつにもゆめにもひとにあはぬなりけり
新古今羇旅  古今六帖二

九 時知らぬ山は富士の嶺何時とてか鹿の子斑に雪の降るらむ 在原業平
ときしらぬやまはふじのねいつとてかかのこまだらにゆきのふるらむ
新古今雑中 在中将集 古今六帖一

九 名にし負はばいざ言問はむ都鳥我が思ふ人はありやなしやと 在原業平
なにしおはばいざこととはむみやこどりわがおもふひとはありやなしやと
古今羇旅 在中将集 古今六帖二

十 み吉野のたのむの雁もひたぶるに君が方にぞ夜と鳴くなる 武蔵の親
みよしののたのむのかりもひたぶるにきみがかたにそよるとなくなる
続後拾遺恋三 在中将集 古今六帖六

十 我が方に夜と啼くなるみ吉野のたのむの雁をいつか忘れむ 在原業平
わがかたによるとなくなるみよしののたのむのかりをいつかわすれむ
続後拾遺恋三 在中将集 古今六帖六

十一 忘るなよ程は雲居になりぬとも空行く月の廻り合ふまで 橘忠基
わするなよほどはくもゐになりぬともそらゆくつきのめぐりあふまて
拾遺雑上  

十二 武蔵野は今日はな焼そ若草のつまも籠もれり我も籠もれり 武蔵野女
むさしのはけふはなやきそわかくさのつまもこもれりわれもこもれり
古今春上  

十三 武蔵鐙さすがにかけて頼むには問はぬ持つらし問ふもうるさし 京女
むさしあぶみさすがにかけてたのむにはとはぬもつらしとふもうるさし

十三 問へば言ふ問はねば恨む武蔵鐙係る折にや人は死ぬらむ 武蔵男
とへばいふとはねばうらむむさしあふみかかるをりにやひとはしぬらむ

十四 中々に恋ひに死なずは桑子にぞなるべかりける玉の緒ばかり 陸奥女

なかなかにこひにしなずはくわこにそなるべかりけるたまのをばかり
万葉十二異伝

十四 夜も明けばきつにはめなでくたかけのまだきに鳴きてせなをやりつる 陸奥女
よもあけばきつにはめなでくたかけのまだきになきてせなをやりつる

十四 栗原の姉歯の松の人ならば都のつとにいざといはましを 京男
くりはらのあねはのまつのひとならばみやこのつとにいざといはましを
古今東歌異伝


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