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Channel: 新古今和歌集の部屋
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謡曲 藤戸

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藤    戸

                   四番目物・執心男物 作者不明

平家物語藤戸の後日談。備前の児島を賜った佐々木盛綱が、領主として赴き、訴訟を受け付けると老婆が我が子の無実の罪で海に沈められたと訴える。盛綱は、以前藤戸の渡しの浅瀬をその漁師から教えて貰ったが、口外を恐れて殺害していた。自らの非を認め、供養のため大般若経を唱えると漁師の亡霊が現れ、理不尽に殺された恨みを述べ、盛綱に襲いかかるが、弔いの功徳で成仏する。

前ジテ:漁師の母 後ジテ:漁師の霊 ワキ:佐々木盛綱 ワキヅレ 従者
アイ 下人


ワキ・ワキヅレ 春の湊の行末や、春の湊の行末や、藤戸の渡りなるらん。
ワキ これは佐々木の三郎盛綱にて候、扨も今度藤戸の先陣を仕たる恩賞に、児島を給つて候、今日は日も能候程に、唯今入部仕候。
ワキ・ワキヅレ 秋津州の、波靜なる島廻り、波靜なる島廻り、松吹風も長閑にて、實春めける朝ぼらけ、船も道ある浦傳ひ、藤戸に早く着にけり、藤戸に早く着にけり。

春の湊の行末

第二 春歌下 169 寂蓮法師
五十首歌奉りし時

暮れて行く春のみなとは知らねども霞に落つる宇治のしば舟

 

シテ 老の浪、越て藤戸の明暮に、昔の春の歸る。

老の浪、越て

第六 冬歌 705 寂蓮法師
土御門内大臣家にて海邊歳暮といへるこころをよめる

老の波越えける身こそあはれなれことしも今はすゑの松山


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