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謡曲 八島

八      島

                       二番目物 世阿弥作?

四国行脚の僧達が八島の浦に立ち寄り、老人と若者に塩屋に宿を請うと老人は都から来たと知ると涙を流し、僧の求めに応じ八島の浦の源平の合戦を語る。語り終えた老人は義経の霊だと告げ消える。塩屋の本当の持ち主が無断で借りた僧を咎めるて訳を聞き、八島の浦の合戦を語る。その夜僧の夢に義経の霊が現れ、死後も修羅の妄執を嘆き、合戦の様子を語り消える。

前シテ:漁翁 後ジテ:源義経の霊 前ヅレ:漁夫 ワキ:僧 ワキヅレ:供僧
アイ:浦男

ワキ 塩屋の主の歸りて候、立越宿を借らばやと思候、いかに是なる塩屋の内へ案内申候
ツレ 誰にて渡り候ぞ
ワキ 諸國一見の僧にて候、一夜の宿を御貸し候へ
ツレ 暫御待候へ、主にその由申候べし、いかに申候、諸國一見の御僧の、一夜の宿と仰候
シテ 御宿の事は安事にて候へども、餘に見苦く候程に、叶ふまじき由申仰へ
ツレ 承候、御宿の事を申て候へば、餘に見苦しく候程に、叶ふまじきと仰候
ワキ いや/\、見苦しきは苦しからず候、殊に是は都方の者にて、此浦初めて一見の事にて候が、日の暮て候へば、ひらに一夜と重ね
て御申候へ
ツレ 心得申候、唯今の由申て候へば、旅人は都の人にて御入候が、日の暮て候へば、ひらに一夜と重て仰候
シテ なに旅人は都の人と申か
ツレ さむ候
シテ 實痛はしき御事かな、さらば御宿を貸し申さむ
ツレ 本より栖も葦の屋の
シテ ただ草枕とおぼしめせ
ツレ しかも今宵は照もせず
シテ 曇りも果てぬ春の夜の
二人 朧月夜にしく物もなき海士の苫。
同 八島に立てる高松の、苔の筵は痛はしや。
同 扨慰みは浦の名の、扨慰みは浦の名の、群れゐる田鶴を御覽ぜよ、などか雲井に歸らざらん、旅人の故郷も、都と聞けば懐かしや、
我らも本はとて、やがて涙にむせびけり、やがて涙にむせびけり。

照もせず曇りも果てぬ春の夜の朧月夜にしく物もなき

巻第一 春歌上 55 大江千里 
文集嘉陵春夜詩不明不暗朧朧月といへることをよめる

照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき


などか雲井に歸らざらん

巻第十八 雑歌舌 1721 藤原清正 
殿上離れ侍りてよみ侍りける

天つ風ふけひの浦にゐる鶴のなどか雲居にかへらざるべき


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