橘の 下吹く風の かぐはしき
筑波の山を 恋ひずあらめかも
巻第二十 4371
天平勝寳七歳乙未二月相替遣筑紫諸國防人等歌
多知波奈乃 之多布久可是乃 可具波志伎 都久波能夜麻乎 古比須安良米可毛
右一首助丁占部廣方
二月十四日常陸國部領防人使大目正七位上息長真人國嶋進歌數十七首 但拙劣歌者不取載之
意味:橘の花の下を吹く風が通るような芳しかった筑波の山を恋しく思ってしまわずにはいられない
考察:タチバナは、紀伊半島以西の温暖な海岸地帯に自生するので、筑波山のような内陸北部には存在しない。関東北部に自生する違う花を詠んだが、その花は近畿には無いので、差し替えたか?