新古今和歌集 巻第六 冬歌
冬の歌の中に 太上天皇
深
あらそひかねて
いか
ならむ
間なく
しぐれ
のふるの神杉
読み:ふかみどりあらそいかねていかならむまなくしぐれのふるのかみすぎ 隠
意味:常緑の杉も逆らいきれないで、いるのだろうか。時雨が年の暮になって葉の色を変えようと絶え間なく降ると、例え布留の古い神杉であっても。男からの誘いを断りきれなくなる女のように。
作者:後鳥羽天皇ごとば1180~1239譲位後三代院政をしく。承久の変により隠岐に流される。多芸多才で、新古今和歌集の院宣を発し、撰者に撰ばせた後更に撰ぶ。
備考:「布留」と「降る」と「古」、「時雨」と「し暮」の掛詞。582の人麿の本歌取り。 元久2年3月日吉社歌合
八代集抄、歌枕名寄、美濃の家づと、新古今注、九代抄、九代集抄、新古今和歌集抄出聞書(陽明文庫)