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Channel: 新古今和歌集の部屋
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新古今和歌集 巻第五 秋歌下 宇治の川霧

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第五 秋歌下


堀河院御時百首歌奉りけるに霧をよめる 權大納言公實


ふもとをばく


   宇治の川霧たち籠めて


雲居に見ゆる


       朝日山かな



読み:ふもとをばうじのかわぎりたちこめてくもいにみゆるあさひやまかな 隠


意訳:麓を宇治の川霧が立ちこめて、隠しているので、雲の上に浮かんでいる樣に見える朝日に映えている朝日山だなあ


作者:藤原公実ふじわらのきんざね1053~1107実季の子。正二位権大納言春宮大夫。


老若五十首歌合。本歌 拾遺和歌集 秋 清原深養父 河霧の麓をこめて立ぬれば空にぞ秋の山は見えける。堀河院百首。歌枕名寄


新古今和歌集 巻第十七 雑歌中 宇治川の網代木

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第十七 雜歌中


題しらず柿本人麿


  もののふの八十うぢ川の


         網代木に


いさよふ波の


   行方知らずも



読み:もののふのやそうじがわのあじろぎにいさよふなみのゆくえしらずも 隠


意訳:(もののふのやそ)宇治川の沢山打ち込まれている網代木に遮られた波は、やがてどこへいったのだろうか。


作者:かきのもとのひとまろ。ひとまるとも。天武、持統、文武の万葉集の代表歌人。日並皇子、高市皇子の大舎人の説が有力。長歌挽歌に優れ後に歌聖と称えられた。


備考:万葉集 第三巻 264、古今六帖。八代集抄、新古今聞書、新古今抄、新古今集注、九代集抄

新古今和歌集 九代集抄 かささぎの渡せる橋

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                   中納言家持
かさゝぎのわたせる橋にをく霜のしろきをみれば夜ぞ更けにけり
月落烏啼霜満天といへるを、銀河の興に、こころながめつゞくれば、かさゝぎのわたせる橋にをきたる霜のしろきを見て、夜がふけにけるといへる也。こゝより興じて、あそこをながめつゞけて也。かささぎのわたせるはしとは、古来云ならはしたる雁鵲の古事也。此哥、七夕にあらず。はしの霜は、生得おもしろきもにしたる也。此哥の心をしらんとおもはゞ、月もなき冬の深夜の天を出て見よと也。さらに不及注なり。

新古今和歌集 九代抄 かささぎの渡せる橋

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かさゝぎの渡せる橋にをく霜のしろきをみれば夜ぞふけにける
七夕をば烏の橋と成て渡す事あり。此哥、七夕の心にあらず。此哥更に不及記。たゞ霜夜に月も雲もなく星計の夜天にむかひ見ば、必此興有べしとぞ。霜の興を思ふに夜の更たる也。月落烏啼霜満天。

新古今和歌集 巻第四 秋歌上 伏見山の秋初風

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巻第四 秋歌上

百首歌奉りし時 皇太后宮大夫俊成


  伏見山


  松のかげよりみわたせば


あくるたのもに


   秋風ぞ吹く



読み:ふしみやままつのかげよりみわたせばあくるたのもにあきかぜそふく隠


意訳:伏見山の松の蔭より見渡すと夜が明けようとする田の面に秋風が吹いています。


作者:藤原俊成ふじわらのとしなり1114~1204しゅんぜいとも。法号は釈阿。千載和歌集の撰者で定家の父。


備考:正治二年後鳥羽院初度百首。本歌:山城の鳥羽の田の面を見渡せば仄かに今朝ぞ秋風の吹く 歌枕名寄、美濃


新古今和歌集 巻第四 秋歌上 雁が音の目覚め

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第四 秋歌上

和歌所歌合に田家月といふことを 前大僧正慈圓


 雁の來る


伏見の小田に


       夢覺めて


寝ぬ夜の庵に月をみるかな



読み:かりのくるふしみのおだにゆめさめてねぬよのいおにつきをみるかな 隠


意訳:雁がやって来ている伏見の田の鳴き声に夢が覚めて、眠れない夜の見張り小屋で月を見ている


作者:じえん1155~1225藤原忠通の子兼実の弟。天台宗の大僧正で愚管抄を著す。


備考:撰歌合で428俊成卿女と対した。伏見は山城の歌枕で、巨椋池がある。伏見は臥し身の掛詞で、夢、臥し、寝るは縁語。美濃、九代抄、九代集抄

新古今和歌集 第十三 恋歌三 旅先での行きずりの恋

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第十三 戀歌三

題しらず よみ人知らず


かりそめに


 ふしみの野邊の


   草まくら


    露かかりきと


     人に


      語るな



読み:かりそめにふしみののべのくさまくらつゆかかりきとひとにかたるな 隠


意訳:軽々しくちょっとでも伏見の野原で旅寝して露がかかった(これこれしかじかな事があった)などと人に言わないでください。


作者:


備考:伏見は山城の歌枕。仮は刈りの掛詞で、草の縁語。伏見は臥し身の掛詞。露は草の縁語で、旅先での性的関係を意味し、少しものつゆを掛けている。懸かると斯かるの掛詞。歌枕名寄

新古今和歌集 巻第六 冬歌 夢醒むる竹の下折れ

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第六 冬歌

同じ(攝政太政大臣)家にて所の名を探りて冬の歌よませ侍りけるに伏見里の雪を 藤原有家朝臣


  夢かよふ


 道さへ絶えぬ


くれたけの伏見の


 里の雪の


    したをれ



読み:ゆめかようみちさえたえぬくれたけのふしみのさとのゆきのしたおれ隠


意訳:伏見の里では、降り積もる雪に通ってくる道だけでなく、あの人との夢の中の逢瀬も、呉竹が雪で折れる音で覚めさて、途絶えさせてしまいます。


作者:ふじわらのありいえ1155~1216重家の子。本名は仲家。従三位大蔵卿。和歌所寄人で新古今和歌集の選者。


備考:未詳。歌枕名寄 中古三十六人歌合元暦 美濃



平家物語 四部合戦状本 序

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平家物語 巻一

平家物語巻第一
 并序 四部合戦状第三番闘諍
祇薗精舎之鐘ノ聲ヘ有諸行無常響キ娑
羅雙樹ノ花ノ色顯ス盛者必衰理ヲ奢ル人モ不
久如シ春夜ノ之夢ノ武キ者モ終ニハ滅ヒヌ同シ風ノ前ノ塵ニ


祇園精舎ノ鐘ノ声へ
諸行無常響有
沙羅双樹ノ花ノ色
盛者必衰理ヲ顕ス
奢ル人モ久シカラズ、
春夜ノ夢ノ如シ
武キ者モ終ニハ滅ビヌ
風ノ前ノ塵ニ同ジ

筆者不明コレクション 花のみゆき

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高陽院にて花の散るを見てよみ侍りける  肥後

萬世をふるにかひある宿なれやみゆきと見えて花ぞ散りける

返し                  二條関白内大臣

枝毎能末まて匂ふ葉な麗者散もミ由きと見ゆるなるらむ


近衛つ可さ尓て年久しく成て後うへのを乃こ

友大内能花見尓ま可れりけるによめる 藤原定家朝臣

春をへてミゆき尓なるゝ花の可けふりゆく身をも哀とや思


最勝寺の櫻ハまり乃かゝり尓て久しく成尓しを

そ能木としふりて風尓多ふれ多るよし聞侍し可はをの

ことも尓於ふせてこと木をその跡にうつしうへさせし

時まつ罷りて見侍けれ者阿ま多のとし/\暮尓し春

まて堂ちなれ尓ける事など思ひいてゝ讀侍ける

                                藤原雅經

馴れ馴れて見しはなごりの春ぞともなどしらかわの花の下蔭


 

第十六 雜歌上

 高陽院にて花の散るを見てよみ侍りける 肥後

萬世をふるにかひある宿なれやみゆきと見えて花ぞ散りける

よろずよをふるにかいあるやどなれやみゆきとみえてはなぞちりける 帝がお見えになるほど、万代を経ても甲斐のある家なんですね。美雪と見えるほど花が散っています。


 返事  二條關白内大臣

枝ごとの末まで匂ふ花なれば散るもみゆきと見ゆるなるらむ

えだごとのすえまでにおうはななればちるもみゆきとみゆるなるらむ

肥後の様に家々の者達が匂うが如く花となってくれているので、例え散ったとしても美雪と見えるのであろう


 近衛司にて年久しくなりて後うへのをのこども大内の花見に罷れりけるによめる 藤原定家朝臣

春を經てみゆきに馴るる花の蔭ふりゆく身をもあはれとや思ふ

はるをへてみゆきになるるはなのかげふりゆくみをもあはれとやおもう

春が来て、花も深雪(陛下のお越しになるのも)に慣れてきて、降って(官位が左近衛司のまま二十年も変わらず古くなって)ゆく身の哀れと思っております。


最勝寺の櫻は鞠のかかりにて久しくなりにしをその木年經て風に倒れたるよし聞き侍りしかばをのこどもに仰せて異木をその跡に移し植ゑさせし時まづ罷りて見侍りければ數多の年々暮れにし春まで立ち馴れにけることなど思ひ出でてよみ侍りける 藤原雅經

馴れ馴れて見しはなごりの春ぞともなどしらかわの花の下蔭

なれなれてみしはなごりのはるぞともなどしらかわのはなのしたかげ

日頃蹴鞠の時に花の下で慣れ親しんだ白河の桜を今年の春に眺めたのが見納めだったとは、その時知るよしもなかった。

新古今和歌集 新古今集聞書 かささぎの渡せる橋

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かさゝぎのわたせる橋にをく霜のしろきを見れば夜ぞ更けにける

かさゝぎのはしとは、七夕交會の時わたる橋といへり。かさゝぎとは、ちひさきからすなりといふ。たゞ天上ヲいふなり。かならず霜夜には空晴/\しく見ゆるなり。しかれば下界にも霜ふるなり。たゞ陰陽の心と見えたり。

牧野文庫本

新古今和歌集 新古今和歌集抄 かささぎの渡せる橋

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笠鷺の渡せる橋に置霜の白きをみれば夜ぞ更けにける

此かさゝぎの橋は、あまの川と心得べし。七夕によむときは、からすの羽をならべてほしを渡す事と心得るべし。是は霜をよみたれば、七夕の時節には相違するあひだ、空の晴れたる時は天川もさやかにみゆれば、空にも霜の降りたるやうにみゆると也。冬の夜のかんせひの哥也。

都立中央図書館本

前田家本 方丈記 日野の庵5 又、恥づべき人も無し

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なし。又はつへき人もなし。こと

さらに無言をせされともひとり

をれは口業をおさめつかならす

禁戒をまもるとしもなけれと

境界なけれはなにゝつけてか

やふらん。もしあとのしらなみに

みをよするあしたにはおかのやに

ゆきかふふねをなかめて満

沙弥の風情をぬすみもしかつら

(妨ぐる人も)無し。

又、恥づべき人も無し。

殊更に無言をせざれども独りをれば口業を修めつ。

必ず禁戒を守るとしも無けれど、境界無ければ何につけてか破らん。

もし、跡の白波に身を寄する朝には、岡の屋に行き交ふ舟を眺めて、満沙弥の風情を盗み、もし桂

(参考)大福光寺本

ナク又ハツヘキ人モナシ。

コトサラニ無言ヲセサレトモ独リヲレハ口業ヲゝサメツヘシ必ス禁戒ヲマモルトシモナクトモ境界ナケレハナニゝツケテカヤフラン。

若アトノシラナミニコノ身ヲヨスルアシタニハヲカノヤニユキカフ舩ヲナカメテ満沙弥カ風情ヲヌスミモシカツラノ

前田家本 方丈記 日野の庵6 桂風葉を鳴らす夕には

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かせはをならす夕にはしんやう

のえをおもひやりて源ノ都ト叔シヨクの

おこなひをならふ。もし餘興あれ

はしは/\まつのひゝきに秋風楽を

たくへみつのおとに流泉の曲を

あやつる。藝はこれつたなけれとも

人のみゝをよろこはしめんとに

もあらす。ひとりしらへひとり詠し

てみつから心をやしなふはかり

(桂)風、葉を鳴らす夕には、潯陽の江を思ひやりて、源都叔の行ひを習ふ。

もし餘興あれば、しばしば松の響に秋風楽をたぐへ、水の音に流泉の曲を操る。

藝はこれ拙けれども、人の耳を喜ばしめんとにもあらず。

独り調べ、独り詠じて、自ら心を養ふばかり

(参考)大福光寺本

カセハヲナラスユフヘニハ尋陽ノエヲゝモヒヤリテ源都督ノヲコナヒヲナラフ。

若余興アレハシハシハ松ノヒゝキニ秋風楽ヲタクヘ水ノヲトニ流泉ノ曲ヲアヤツル。

芸ハコレツタナケレトモ人ノミゝヲヨロコハシメムトニハアラス。

ヒトリシラヘヒトリ詠シテミツカラコゝロヲヤシナフハカリナリ。

前田家本 方丈記 日野の庵7 又麓には一つの柴の庵有り。

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なり。又ふもとにはひとつのしは

のいおりあり。すなはちこのやま

もりかおるところなり。かしこに

こわらはあり。とき/\きたりて

あひとふらふ。もしつれゝなる時

はこれをともとして遊行すれ

は十さい。これは六十。そのよはひこ

とのほかなれとこゝろをなくさむ

る事これおなしあるひは

なり。

又麓には一つの柴の庵有り。

即ちこの山守が居る所也。

かしこに小童有り。

時々来たりて、相訪ふ。

もし徒然なる時は、これを友として遊行すれば、十歳、これは六十、その齢殊の外なれど、心を慰むる事、これ同じ。

或は

(参考)大福光寺本

ナリ

又フモトニ一ノシハノイホリアリ。

スナハチコノ山モリカヲル所也

カシコニコワラハアリ

トキトキキタリテアヒトフラフ

若ツレツレナル時ハコレヲトモトシテ遊行ス。

カレハ十歳コレハ六十。

ソノヨハヒコトノホカナレト心ヲナクサムルコトコレヲナシ。

或ハ


前田家本 方丈記 日野の庵8 茅花を抜き岩梨を取り

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つはなをぬきいはなしをとり

ぬかこをもりせりをつむ。あるひ

はすそはのたいにいたりておち

ほをひろひほくみをつくる。もし

日うらゝかなれはみねによちのほ

りてはるかにふるさとのそらを

のそみこはたやまふしみのさと

とははつかしをみる。勝地はぬしなけ

れは心をなくさむるにさわりなし。

茅花を抜き、岩梨を取り、零余子を盛り、芹を摘む。

或は裾輪の田居に至りて、落ち穂を拾ひ、穂組を作る。

もし、日麗らかなれば、峰によぢ登りて、遙かに故里の空を望み、木幡山、伏見の里、鳥羽、羽束師を見る。

勝地は、主無ければ、心を慰むるに障り無し。

(参考)大福光寺本

ツハナヲヌキイハナシヲトリヌカコヲモリセリヲツム。

或ハスソワノ田イニイタリテヲチホヲヒロヒテホクミヲツクル

若ウラゝカナレハミネニヨチノホリテハルカニフルサトノソラヲノソミコハタ山フシミノサト鳥羽ハツカシヲミル。

勝地ハヌシナケレハ心ヲナクサムルニサハリナシ

前田家本 方丈記 日野の庵9 歩み煩ひ無く、心遠く至る時は

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あゆみわつらひなく心さしとを

くいたるときはこれよりみね

つゝきすみやまをこえかさとり

をすきてあるひはいはまにも

うてあるひはいしやまをおかむ

もしはまたあはつのはらをわ

けつゝせみうたのおきなのあとを

とふらひたなかみがはをわたりて

せみまろまうちきみがはかを

歩み煩ひ無く志し遠く至る時は、これより峰続き、炭山を越え、笠取を過ぎて、或は岩間に詣で、或は石山を拝む。

もしは又粟津の原を分けつゝ、蝉歌の翁の跡を訪ひ、田上川を渡りて、蝉麻呂大夫が墓を

(参考)大福光寺本

アユミワツラヒナク心トヲクイタルトキハコレヨリミネツゝキスミ山ヲコエカサトリヲスキテ或ハ石間ニマウテ或ハ石山ヲヲカム。

若ハ又アハツノハラヲワケツゝセミウタノヲキナカアトヲトフラヒタナカミ河ヲワタリテサルマロマウチキミカハカヲ

前田家本 方丈記 日野の庵10 帰るさには、折につけつゝ

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たつぬ。かへるさにはおりにつ

けつゝさくらをかりもみちをも

とめわらひをおりこのみをひろ

ひてかつはほとけにたてまつり

かつはいゑつとゝす。もしよしつか

なれはまとの月に故人をしの

ひさるのこゑに袖をうるおす。

くさむらのほたるはとをくまき

のしまのかゝり火にまかひあか月

(麻呂大夫の墓を)訪ぬ。

帰るさには、折につけつゝ、櫻を狩り、紅葉を求め、蕨を折り、木の実を拾ひて、かつは佛に奉り、かつは家苞とす。

もし夜、靜かなれば、窓の月に故人を偲び、猿の聲に袖を潤す。

叢の螢は、遠く槙の島の篝火に紛ひ、暁

(参考)大福光寺本

タツヌ。

カヘルサニハヲリニツケツゝサクラヲカリモミチヲモトメワラヒヲゝリコノミヲヒロヒテカツハ仏ニタテマツリカツハ家ツトニス。

若夜シツカナレハマトノ月ニ故人ヲシノヒサルノコヱニソテヲウルホス。

クサムラノホタルハトヲクマキノカゝリヒニマカヒアカ月

前田家本 方丈記 日野の庵11 暁の雨は自づから木の葉吹くあらしに似たり 

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のあめはをのつから木のはふくあ

らしにゝたり。やまとりのほろ/\

となくをきゝてはちゝかはゝかと

うたかひみねのかせきのちかく

なれたるにつけてもよにとを

さかるほとをしる。あるひは又うつ

み火をかきおこして老のね

さめのともとす。おそろしき山

ならねはふくろうのあはれむに

(暁)の雨は自づから木の葉吹く嵐に似たり。

山鳥のほろ/\と啼くを聞きて、父か母かと疑ひ、峰の桛木の近く馴れたるにつけても、世に遠ざかる程を知る。

或は又、埋み火を掻き熾して老の寝覚めの友とす。

怖ろしき山ならねば、梟の哀れむに

(参考)大福光寺本

ノアメハヲノツカラコノハフクアラシニニタリ。

山トリノホロトナクヲキゝテモチゝカハゝカトウタカヒミネノカセキノチカクナレタルニツケテモヨニトホサカルホトヲシル。

或ハ又ウツミ火ヲカキヲコシテヲイノネサメノトモトス

ヲソロシキ山ナラネハフクロフノコヱヲアハレムニ

前田家本 方丈記 日野の庵12 山中の景気折りに付けつゝ尽くること無し

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つけてもやまなかの景気おり

につけつゝつくることなし。いはん

やふかくしれらん人のためには

これにもかきるへからす。おほかた

このところにすみはしめしとき

はあからさまにとおもひしかとも

いますてにいつとせをへたりか

りのゐほりもやゝふるやとな

りてのきにくちはふかくつち

(梟の哀れむに)付けても山中の景気、折に付けつゝ、尽くること無し。

況や深く知れらん人の為には、これにも限るべからず。

大方、この所に住み始めし時は、あからさまにと思ひしかども、今既に五年を経たり。

仮の庵もやゝ古屋となりて、軒の朽ち葉は深く、土

(参考)大福光寺本

ツケテモ山中ノ景気ヲリニツケテツクル事ナシ。

ハイムヤフカクヲモヒフカクシラム人ノタメニハコレニシモカキルヘカラス。

ヲホカタコノ所ニスミハシメシ時ハアカラサマトヲモヒシカトモイマステニイツトセヲヘタリ。

カリノイホリモヤゝフルサトゝナリテノキニクチハフカクツチ

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