ここで、不思議な事が2つある。
① 風は途中強烈な南風となったが、業火は南へ燃え広がって行き、東本願寺は灰燼に帰した。
② 猛烈な雨が降ると火の勢いは弱まる筈なのに、その後も延焼は続いた。事実、西本願寺は門を焼失したが、風に煽られた銀杏が火を消した所謂水吹き銀杏の伝説が生まれ、御影堂、阿弥陀堂の大伽藍は燃えなかった。 Image may be NSFW. Clik here to view.
さて、焼け残った所を京都市資料館所蔵のかわら版で調べて見ると、驚くべき事実が判明する。
焼け残った場所に、
① 火元から600mに有る八坂神社は、当所東南の風とはいえ無傷
② 千本通で火が止まった為に600m西の北野天満宮は無傷
③ 今宮御旅所までは燃えたが、大徳寺手前で火は止まり、今宮神社は無事
④ 相国寺で火が止まった為に、東西両側は焼亡したが、上御霊神社は無傷
⑤ 洛内が燃え尽きた頃、再度鴨川を越え、新地を焼き付くしたが、岡崎神社、粟田神社は無傷
つまり、京都内に配置された厄神は、寺町通に移転した下御霊神社を除き、残っている。
しかも、下御霊神社も蔵が燃えず、神が座した中の神輿は無事であった。 Image may be NSFW. Clik here to view.
これは、この火事の性格が、「洛内に有る不浄を全て焼き払った神罰」と言っているようなものである。
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土右記 延久元年五月
十八日癸未快晴。午時許春宮權大夫(良基)來語。…
相次前大貳師成卿來。
(前大貳師成卿語小一條□□□□)
左府被參東北院。參御□□□□之後入來者、言談良久。其中云、…
(昭宣公被乞免狐子細事)
彼社北七八許丈、有丘驚人、傳云、昭宣公下臈時參内之、有群童、捕一狐以杖木打之、於是留車乞請彼狐。乗車後、解綱摩毛、諸獣之中汝有靈者也。救其命了汝必□□□□也。參内、入待賢門間、候(マヽ)從者令放幽閉□□□□□夢中亭父來云、種類繁多、頗無術力、盡□□□給一住不殊火災、相公答云、不可給別住所。可爲宗像眷屬也者。歎悦退歸。其後築此丘給之云々。
※藤原師成(ふじわら の もろなり)は、平安時代中期から後期にかけての公卿。藤原北家小一条流、権中納言・藤原通任の長男。官位は正二位・参議。 Image may be NSFW. Clik here to view.
なお、宗像神社によると御殿を火災から守っているのは繁栄稲荷社ではなく、倉稲魂神を祀る花山稲荷社であるとしている。 Image may be NSFW. Clik here to view. Image may be NSFW. Clik here to view. Image may be NSFW. Clik here to view.
貴方はこの話を信じますか?
鬼が人を食べたなど、昔話の物語だと思われるかも知れない。
しかし、平安時代の公式記録書である三代実録の仁和三年八月十七日の条に正にこの猟奇殺人事件が記載されている。 Image may be NSFW. Clik here to view.
三代実録
仁和三年(887年)八月
十七日戊午。今夜亥時或人告、行人云、武徳殿東縁松原西有美婦人三人。向東歩行。有男在松樹下。容色端麗、出來與一婦人携手相語。婦人精感。共依樹下。數尅之間、音語不聞、驚恠見之。其婦人手足折落在地。無其身首。右兵衛右衛門陣宿侍者。聞此語往見。無有其屍。所在之人。忽然消失。時人以爲、鬼物變形。行此屠○。又明日可修轉經之事、仍諸寺衆僧被請。來宿朝堂院東西廊。夜中不覺聞騒動之聲。僧侶競出房外。須臾事靜。各間其由。不知因何出房。彼此相恠云、是自然而然也。◎是月、宮中及京師有如此不根之妖語人口卅六種不能委載焉。
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古今集
秋歌上
仁和のみかどみこにおはしましける時ふるのたき御覧せむとておはしましけるみちに遍昭がははの家にやどりたまへりける時に庭を秋ののにつくりておほむ物がたりのついでによみてたてまつりける
僧正遍昭
さとはあれて人はふりにしやどなれや庭もまがきも秋ののらなる
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をらむ。つかさくらゐに思ひをかけ主君のかげを
たのむ程の人は一日なりともとくうつろはむとはげ
み時をうしなひ世にあまされ○○○なき物は
うれへ○○とまりをり。軒をあらそひし人のすまゐ
日をへつゝあれ行。家はこぼたれて淀河にうかび
地はめのまへに畠となる。人の心もあらたまりてたゞ
馬鞍をのみ重○す。牛車を用とする人なし。
西南海の所領を○ひて東北國の庄園を
このまず。其時をのづからのたより有りて津の國
今の京にいたれり。所の有様を見るに其地ほど
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こんな話がある。
昔、摂津の国辺りより、小金持ちの家に盗みに入ろうと京へ上った男がおった。京に到着したが未だ日が高いため、羅城門の下に立って隠れていたが、朱雀の方には人が沢山往来していたので、人がいなくなるのを待とうと思って門の下で待っていると、山城の方より、大勢の人々がやって来る音がしたので、彼らに見られまいと思って、門の上層にそっとよじ登った所、見ればほのかに火が灯しているのじゃった。
盗つ人は、怪しい事だと思って連子より覗くと、若き女が死んで横たわっているのがあった。その枕元に火を灯して、酷く年老いた真っ白な白髪の老婆が、その死人の枕元に居て、死人の髪を乱暴に抜き取っているのであった。
盗っ人はこれを見るに、理解が出来ず、「これはもしや鬼では無いだろうか?」と思って怖ろしかったが、「もしかして死人の幽霊かも知れぬ。脅して試してみよう。」と思ってそっと戸を開けて刀を抜き、
「こいつめ!こいつめ!」
と叫びながら走り寄ると、老婆は慌てて、手をすり合わせて狼狽すると盗っ人は、
「婆あ!これは何をしているんだ?」
と問い質すと老婆は、
「この方は、私の主人でございますが、お亡くなりになったのですが弔いをしてくれる人がいないので、こうしてここに置いているのです。最近食べる物も満足にしておりませんので、その御髪が背丈より長いので、抜き取って鬘にして売ろうとして抜いていたのです。お助けて下され。」
と言ったので、盗っ人は死人の着たる衣と老婆の着たる衣と抜き取った髪をは奪い取って、急いで駆け下りて逃げ去ったんじゃ。
さて、その羅城門の上層には、死人の骸骨が多くあった。死んだ人を葬る事が出来ぬ者が、この門の上に捨てていたのじゃった。
この事は、その盗っ人が人に語っていたのを聞き継いで、こうして語り伝えているんじゃ。 Image may be NSFW. Clik here to view.
今昔物語集
羅城門登上層見死人盗人語第十八
今昔、攝津ノ國邊ヨリ盗セムガ為ニ京ニ上ケル男ノ、日ノ未ダ明カリケレバ、羅城門ノ下ニ立隠レテ立テリケルニ、朱雀ノ方ニ人重ク行ケレバ、人ノ静マルマデト思テ、門ノ下ニ待立テリケルニ、山城ノ方ヨリ人共ノ数来タル音ノシケレバ、其レニ不見エジト思テ、門ノ上層ニ和ラ掻ツリ登タリケルニ、見レバ、火髴ニ燃シタリ。盗人、「恠」ト思テ、連子ヨリ臨ケレバ、若キ女ノ死テ臥タル有リ。其ノ枕上ニ火ヲ燃シテ、年極ク老タル嫗ノ白髪
白キガ、其ノ死人ノ枕上ニ居テ、死人ノ髪ヲカナグリ抜キ取ル也ケリ。盗人此レヲ見ルニ、心モ不得ネバ、「此レハ若シ鬼ニヤ有ラム」ト思テ怖ケレドモ、「若シ死人ニテモゾ有ル。
恐シテ試ム」ト思テ、和ラ戸ヲ開テ、刀ヲ抜テ、「己ハ己ハ」ト云テ走リ寄ケレバ、嫗手迷ヒヲシテ、手ヲ摺テ迷ヘバ、盗人、「此ハ何ゾノ嫗ノ此ハシ居タルゾ」ト問ケレバ、嫗、「己ガ
主ニテ御マシツル人ノ失給ヘルヲ、繚フ人ノ无ケレバ、此テ置奉タル也。其ノ御髪ノ長ニ餘テ長ケレバ、其ヲ抜取テ鬘ニセムトテ抜ク也。助ケ給ヘ」ト云ケレバ、盗人、死人ノ着タル
衣ト嫗ノ着タル衣ト抜取テアル髪トヲ奪取テ、下走テ迯テ去ニケリ。然テ其ノ上ノ層ニハ死人ノ骸骨ゾ多カリケル。死タル人ノ葬ナド否不為ヲバ、此ノ門ノ上ニゾ置ケル。此ノ事ハ其ノ盗人ノ人ニ語ケルヲ聞継テ此ク語リ傳ヘタルトヤ。 Image may be NSFW. Clik here to view.