明月記 元久二年二月
廿六日。天晴る。巳の時許りに所に参ず。家隆朝臣参ず。雑の下を継ぎ出(直カ)す。恋の十二の部、今日又少々継ぎ直す。人定めて、悪気に処するか。恋の部は、極めて優なるべし。存外に又多し。仍て憚りを忘れて直すの間、日暮れ了りんぬ。有家朝臣又読み出す所の巻々を見る。各々退出す。…略。家長を以て、仰せ事に云ふ。神祇の部、神に次第を立つるは、熊野の御列次、其の恐れ有り。仍て春の部を先となし、四季に立つべしといへり。神の歌の事、惣じて事の恐れ有るに依りて、事を身の憚りに寄せ、之を知らず。…略。
廿六日。天晴る。巳の時許りに所に参ず。家隆朝臣参ず。雑の下を継ぎ出(直カ)す。恋の十二の部、今日又少々継ぎ直す。人定めて、悪気に処するか。恋の部は、極めて優なるべし。存外に又多し。仍て憚りを忘れて直すの間、日暮れ了りんぬ。有家朝臣又読み出す所の巻々を見る。各々退出す。…略。家長を以て、仰せ事に云ふ。神祇の部、神に次第を立つるは、熊野の御列次、其の恐れ有り。仍て春の部を先となし、四季に立つべしといへり。神の歌の事、惣じて事の恐れ有るに依りて、事を身の憚りに寄せ、之を知らず。…略。