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絵入り平家物語 巻第一 十一、鵜川合戦の事 蔵書

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平家物語 巻第一

  十一 鵜川合戦の事抑此法性寺の執行俊くわん僧都と申は、京極の源大納言がしゆんの卿のまご、木寺の法印くわんがには子也けり。そぶ大納言は、さしてゆみやとる家にはあらね共、あまりにはらあしき人にて、三条のぼうもん京極の宿所の前をば、人をもやすくとをされず、常は中門にたゝずみ、はをくひしばり、いかつてこそおはしけれ。かゝるおそろしき人のまごなればにや、此俊寛も、僧都なれ共心たけく、おごれる人にて、よしなきむほんにもくみしてげるにこそ。新大納言なりちかの卿、多田の蔵人行つなをめして、今度御へんをば、一方の大将にたのむ也。此事しImage may be NSFW.
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おほせつる物ならば、国をも庄をもしよもうによるべし。先弓袋のれうにとて、しろ布五十たんをくられたり。安元三年三月十五日の日、妙音院殿太政大臣にてんし給り。かはりに小松殿、源大納言さだふさの卿をこえて、内大臣に成給ふ。やがて大きやう行はる。大臣の大将めてたかりき。そんじやには大炊のみかどの右大臣つねむね公とぞ聞えし。一のかみこそせんどなれ共、父うぢの悪左府の御礼そのおそれ有。北面は上古にはなかりけり。白河の院の御時、はじめおかれてより以來、ゑふどもあまた候けり。為俊盛重わらはより今犬丸せんじゆ丸とて、是らはさうなき、きり者にてぞ有ける。鳥羽の院の御時も、季より、季教父子共に、朝家に召つかはれて有しが、常はてんそうする折も有なんと聞えしか共これらは身の程をふるまふてこそ有しか。此時の北面の輩は、事の外過分にて、公卿殿上人をも事共せず、下北面より上Image may be NSFW.
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北面にあがり、上北面より殿上のまじはりをゆるさるゝ者もおほかりけり。かくのみ行なはるゝ間、おごれる心共付て、よしなきむほんにもくみしてけるにこそ。中にも故少納言入道、しんぜいのもとに召つかはれける師光成景と云もの有。師光はあはの国のざいちやう、成景は京の者、じゆつこんいやしき下らふ也。こんでい童、もしはかくごしやなどにてもや有けん、さが/\しかりしによつて、常は院へも召つかはれけるが、もろみつは左衛門のぜう、なりかげは右衛門のぜうとて、二人一どにゆきゑのぜうになりぬ。一年しんぜい事にあひし時、二人共に出家して、左衛門入道さいくわう、右衛門入道さいけいとてこれらは出家の後も、院の御くらあづかりにてそ候ける。かの西くわうが子に、もろたかと云者有。是もさうなききり者にて、けんひゐし、五位のぜうまでへあがりて、剰安元〃年、十二月二十九日、つゐなのぢもくImage may be NSFW.
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にかゞの守にぞなされける。国務を行ふ間、非法非礼をちやうぎやうし、神社仏寺、けんもんせい家の庄領をもつたうして、さん/\の事共にてぞ有ける。たとひせうこうが跡をへだつと云共、をんびんのまつり事を、行ふべかりしに、かく心のまゝにふるまふ間、同じき二年の夏の比、国司もろたかゞおとゝ、こんどう判官もろつねを、かゞの目代にふせらる。目代下ちやくのはじめ、国府のへんに、うつと云山寺有。折ふし寺僧共が、ゆをわかいてあびけるを、乱入しておひあげ、我身あび、ざう人原おろし馬あらはせなどしけり。寺僧いかりをなして、昔より此所は、国かたのものゝ入部する事なし。先例にまかせて、すみやかに入部のあふばう、とゞめよやとぞ申ける。目代大にいかつて、さき/\の目代は、みなふかくでこそいやしまれたれ。當目代においては、すべて其ぎ有まじ。たゞ法にまかせよと、いふ程こそ有けれ、寺僧共は国かたの者を追
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出せんとす。国かたの者共は、つゐでをもつて乱入せんと打合はりあひしける程に、目代もろつねがひざうしける馬の足をぞ打おりける。其後はたがひに、きうせん兵杖をたいして、いあひきりあひ、すこくたゝかふ。夜に入ければ、目代かなはじとや思ひけん、引しりぞく。其後當国のざいちやうら一千よ人、もよほしあつめて、う川におしよせ、坊舍一宇も残さずみなやきはらふ。う川と云は、白山の末寺なり。此事うつたへんとて、すゝむ老僧たれ/\ぞ。ちしやく学明ほうたいばう、正智学音とさのあじやりぞすゝみける。白山三じや八院の大衆、こと/\くをこりあひ、つがふその勢二千よ人、同じき七月九日の日の暮かたに、目代師經が舘ちかうこそをしよせたれ。けふは日暮ぬ。あすの軍と定て其日はよせでこらへたり。露吹むすぶ秋風は、いむけの袖をひるがへし、雲井をてらすいなづまは、甲のほしをかゞやかす。目代かなはじとや思ひけん、夜にげにして京へのぼる。あくる卯Image may be NSFW.
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のこくにをしよせて、ときをどつとぞつくりける。城の中にはおともせず。人を入てみせければ、皆をちて候と申す。大衆力及ばで引しりぞく。さらば山門へうつたへんとて、白山中宮の神よ、かざり奉て、ひゑい山へふり上奉る。同じき八月十二日の、午のこくばかり、白山中宮の神よ、すでにひゑい東坂本に付せ給ふと、申程こそ有けれ。北こくの方より、雷おびたゝしくなつて、都をさしてなりのぼり、白雪くだつて地をうづみ、山上らく中をしなべて、ときはの山の梢まで、皆しろたへにぞ成にける。大衆神よをば、まらうとの宮へ入奉る。まらうとゝ申は、白山めうりごんげんにておはします申せば父子の御中なり。まづさたのじやうふはしらず、生前の御よろこび、たゞ此事に有。浦嶋が子の七世のまごにあへりしにもすぎ、胎内のものゝ、りやうせんの父をみしにもこへたり。三千のしゆとくびすをつぎ、七社の神人袖をつらねて、時〃こく/\のほつせきねん、ごんごImage may be NSFW.
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道だんの事共にてぞ候ける。去程に山門の大衆、国司かゞの守師高を、るざいにしよせられ、目代こんどう判官もろ經をきんごくせらるべき由、そうもん度〃におよぶといへ共、御さいきよなかりければ、しかるべき公卿殿上人は、あはれとくして、御さいだん有べき物を。昔しより山門のそせうは他にことなり。大蔵の卿ためふさ、太宰のごんのそつ季仲の卿は、さしも朝家にて、うしんたりしか共山門のそせうによつて、るざいせられ給ひにき。いはんや師高などは事のかずにてやは有べき、子細にや及ぶべきと申あはれけれ共、大臣はろくをおもんじていさめず、小臣はつみにをそれて申さずと云事なれば、をの/\口をとぢ給へり


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