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絵入り平家物語 巻第一 十四、内裏えんしやうの事 蔵書

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平家物語巻第一

  十四 だいりえんしやうの事ゆふべにおよんで蔵人の左少弁、かねみつに仰て、院の殿上にて、俄に公卿せんぎ有けり、去ぬる保安四年、四月に神Image may be NSFW.
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よ入らくの時は、ざすに仰て赤山の社へ入奉る。又保延四年七月に、神よ入らくの時は、ぎをんの別當に仰て、ぎをんの社へ入奉る。今度も保延のれいたるべしとて、ぎをんの別當権の大僧都てうけんに仰せ、へいしよくにおよんでぎをんの社へ入奉らる。神よにたつ処の矢をば、神人して是をぬかせらる。昔より山門の大衆、神よを陣頭へふり奉る事は、去ぬる永久より以來、治承までは六かど也。され共毎度に、ぶしに仰てふせがせらるゝに、神よい奉る事は、是はじめてとぞうけ給はる。れい神いかりをなせば、さいがいちまたにみつと思へり。おそろし/\とぞ各の給ひあはれける。同じき十四日の、夜半斗、山門の大衆又おびたゝしう、下落すと聞えしかは、主上夜中にようよにめして、院の御所法住寺殿へ行がうなる。中宮みや/\は、御車に奉りて、他所へ行けい有けり。関白殿をはじめ奉て、太政大臣いげのけいしやう雲かくImage may be NSFW.
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我も/\とぐぶせらる。小松の大臣は、なをしに矢をふてぐぶせらる。ちやく子権のすけ少将これもりは、そくたいにひらやなぐいおふてぞ参られける。およそ禁中の上下、京中のきせん、さはぎのゝしる事おびたゝし。され共山門には、神よに矢たち、神人、宮じいころされ、しゆとおほくきずをかうふりたりしかば、大宮二の宮以下、かうだう中堂すべてしよたう、一宇も残さずみなやきはらつく、山野にまじいるへき由、三千一同にせんぎす。これによつて大衆の申所、法皇御はからひ給べしと聞えし程に、山門の上がうら、しさいをしゆとにふれんとて、登山すと聞えしかば、大衆西坂本におり下て、みなおつ返す。平大納言時忠の卿、其時はいまだ、左衛門のかみにておはしけるが、上けいにたつ、大けうだうの庭に、三たうくわいごうして、上けいを取てひつはり、しやかふり折おとし、その身をからめて、水うみに、しづめよなとぞ申ける。すでにかうとみらし時、ときたゞの卿大衆の中Image may be NSFW.
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へしやを立て、しばらくしづまられ候へ。しゆとの御中へ申べき事の候とて、ふところより、小硯たゝう紙取出し、一筆かいて大衆の中へをくらるゝ。是をひらいてみるに、しゆとのらんあくをいたすは、まえんの所行也。明王のせいしをくらふるは、ぜんせいのかご也とこそかゝれたれ。是をみて大衆ひつはるにもおよばず。皆尤/\と同じて、谷〃におりはう/\へぞ入にける。一紙一句をもつて、三たう三千のいきどをりをやすめ、こうしのはぢをものがれ給ひけん。ときたゞの卿こそゆゝしけれ。山門の大衆は、はつかうのみだりがはしきばかりと思ひぬれば、ことはりをもぞんじけれとぞ、人〃かんじあはれける。同じき廿日の日、花山の院権中納言たゞちかの卿を、上けいにて、国司かゞの守もろたかをけつくわんせられておはりのいと田へながさるゝ。おとゝこん藤判官もろ經をば、きんごくせらる。又去ぬる十三日神よいたてまつりしぶし六人ごくじやうせらる。これらはみな小Image may be NSFW.
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松殿の侍なり。同じき廿八日の夜の、いぬのこく斗、ひぐちとみの小路より、火出來て、京中おほくやけにけりおりふしたつみの風、はげしく吹ければ、大なる車りんのごとくなるほのほが、三町五町をへだてゝいぬゐのかたへすぢかへにとびこへやけ行ば、おそろしなどもおろか也。あるひは具平親王の、千種殿、或は北のゝ天神の、紅梅殿、橘逸勢の蝿松殿おに殿高松殿、かもゐ殿、とう三条冬つぎの大臣のかんゐん殿、せうせんこうのほり川殿、これをはじめてむかし今の名所、三十よか所、公卿の家だにも、十六か所までやけにけり。其外殿上人、諸大夫の家〃は、しるすに
およばず。はては大内にふきつけて、しゆしやくもんよりはしめて、おうてんもん、会昌もん、太こく殿ふらく院、しよし八せう、朝所、がうちに、みなくわいぢんのちとそなりにける。家〃の日記、代〃のもんぢよ七ちん万ぼう、さながら
ちりはいとなりぬ。其あひだのつゐへ、いかばかりそ。人のやけ
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しぬる事、す百人。ぎうばのたくひがずをしらず。是たゞ
事にあらず山王の御とがめとて、ゑい山より大きなる猿共が、二三千おりくだり、手〃に松火をともひて、京中をやくとぞ、人の夢に見えたりける。太こく殿は、清和天皇の御う、でうくわん十八年に、はじめてやけたりければ、同じき十九年正月三日の日やうぜい院の御そくゐは、ぶらくゐんにてぞ有けり。元慶元年、四月九日の日、事はじめあつて、同じき二年、十月八日の日ぞ、つくり出されたりける。後冷泉院の御宇、天き五年、二月廿六日、又やけにけり。治暦四年、八月十四日に、事はじめ有しか共、いまだ作りも出されずして、後冷泉院ほう御なりぬ。後三条の院の御宇、延久四年、四月十五日に作り出されて文人詩を奉り、伶人がくをそうして、せんかうなし奉る。今は世すへに成て、国の力も皆衰たれば、其後は終に作られず平家物語巻第一終

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