喜多川歌麿
見立伊勢物語 武蔵野 大判3枚のうち、真ん中
伊勢物語
むかし男ありけり。人のむすめを盗みて、武蔵野へ率てゆく
ほどに、ぬすびとなりければ、国の守にからめられにけり。
女をば草むらのなかに置きて、逃げにけり。道来る人、この
野はぬすびとあなりとて、火つけむとす。女わびて、
武蔵野は今日はな焼きそ若草のつまも籠れれり我も籠れり
とよみけるを聞きて、女をばとりて、ともに率ていにけり。
きめ出し(エンボス印刷)
五人の女が、満月の夜、若い男女を探し出している。
真ん中の女は、男女を探すために、提灯を掲げている。
左の女は、後ろからくる者たちを呼んでいる。
吉田 暎二(よしだ てるじ、1901年2月5日 ‐ 1972年9月30日)は、大正から昭和にかけての浮世絵研究者、歌舞伎研究者。
令和2年10月15日 壱