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以言
以佛神通争酌盡經僧祇劫欲朝宗
保胤
叩凍負来寒谷月払霜拾盡暮山雲
同
己終未習千年伇初得難逢一乗文
いつしかと君にとおもひしわかなをば
のりのためにぞけふはつみつる 村上御製
ごくらくははるけきほどゝきゝしかど
つとめていたるところなりけり 空也上人
このよにてぼだいのたねをうへつれば
きみがひくべき身とぞなりぬる 九條左相府
あのくたら三みやく三ぼだいの佛たち
わがたつそまに冥加あらせたまへ 傳教大師
弘誓深如海詩 大江以言
佛の神通を以、争(いかで)か酌み尽さん。僧祇、劫を経ても朝宗せんと欲す。
採果汲水詩 慶滋保胤
凍を叩て負ひ来る寒谷の月。霜を払て拾ひ尽す暮山の雲。
同(採果汲水詩) 慶滋保胤
己に終むまに千年の役を習わず。初て逢難一乗の文を得たり。
拾遺集 哀傷歌
天暦御時、故后宮の御賀せさせ給はむとて侍
りけるを、宮うせ給ひにければ、やがてその
まうけして御諷誦行はせ給ひける時
村上御製
いつしかと君にと思ひし若菜をばのりの為にぞけふは摘みつる
拾遺集巻第二十 哀傷歌
極楽をねかひてよみ侍りける 仙慶法師
極楽ははるけきほどと聞きしかどつとめて至る所なりけり
千載集館第十八 雑歌下 俳諧歌
題しらず 空也上人
出典不明 藤原師輔
この世にて菩提の種を植ゑつれば君が引くべき身とぞなりぬる
新古今和歌集巻第二十
比叡山根本中堂建立の時 傳教大師
阿耨多羅三藐三菩提の仏たちわがたつ杣に冥加あらせたまへ
よみ:あのくたらさんみやくさんぼだいのほとけたちわがたつそまにみょうがあらせたまへ 有定隆雅 隠
意味:この上もない正しい悟を得ているの仏たちよ。杣の地に私が建てた延暦寺が、我が国の仏教の興隆に役立つように、仏の冥加を与え給へ。
備考:阿耨多羅三藐三菩提は、梵語で無上正遍知、無上正等覚と漢訳されている。延暦寺根本中堂が建立したのは、延暦七年(788年)。