ましな
あしびきの山したかぜはふかねど
もよな/\こひばかねてさむしも
ものへまかるみちにきり
のたちたるをみて
しながどりゐなのをゆくはあり
ま山ゆふぎりたちぬともなしにし
て
ものへまかるみちひぐら
しのなきはべればふは山
新古今和歌集巻第十 羇旅歌
題しらず よみ人知らず
しなが鳥猪名野を行けば有馬山ゆふ霧立ちぬ宿はなくして
よみ:しながどりいなのをゆけばありまやまゆうぎりたちぬやどはなくして 有定隆雅 隠
意味:(しながどり)猪名野を行けば目指す有馬山が見えるが、夕霧が立って来た。今夜の宿は見つから無いのに。
備考:猪名野、有馬山とも摂津の歌枕。猪名野は、兵庫県伊丹市、川西市、尼崎市の猪名川流域。有馬山はどの山かは不明。
万葉集巻第七 雑歌 1140
摂津で
志長鳥 居名野乎来者 有間山 夕霧立 宿者無而
一本云 猪名乃浦廻乎 榜来者
しなが鳥猪名野を来れば有馬山夕霧立ちぬ宿りはなくて
一本云 猪名の浦みを漕ぎ来れば
※猿丸集は、袋草子によれば、「猿丸大夫集の歌多くもつてこれを入れ、読人知らずと称す」とあり、よみ人知らずとして万葉歌の混入と思われる。