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詩歌と気象生物 6 独りかも寝む コオロギと霜夜

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(ウェップリブログ 2007年12月23日) 

6 独りかも寝む コオロギと霜夜

きりぎりす鳴くや霜夜の寒しろに衣かたしきひとりかも寝む(藤原良経 秋下518)

きりぎりす夜寒に秋のなるままに弱るか声の遠ざかり行く(西行 秋下472)

秋ふけぬ鳴けや霜夜のきりぎりすやや影寒しよもぎふの月(後鳥羽院 秋下517)

良経の歌は、正治二年後鳥羽院初度百首の歌で、後京極前摂政太政大臣との名前で、百人一首に撰ばれました。

秋の虫について、きりぎりすがコオロギ、松虫がスズムシ、鈴虫がマツムシ、機織りがキリギリスと時代、関東と関西の地域により異伝されて現在に至っているそうです。

コオロギの鳴き方と温度は関係があり、J.P.ヴァンクリーブという科学者が温度と鳴く回数を調べた結果、15秒間に泣く回数に8を足し、5/9を掛けると気温になる事を発見しました。
(n回+8)×5/9=気温となります。

霜は前掲載の様に0℃以下にならないと出来ません。15℃以下になるとコオロギは鳴かなくなると言われております。従って「霜夜」には鳴くはずはありません。本物のキリギリスは暑い30℃が一番鳴くそうです。

コオロギ等はオスしか鳴かないそうで、その鳴き方には「呼び鳴き」、「口説き鳴き」、「脅し鳴き」の三種類あるそうです。

呼び鳴きは、メスに自分の位置を教えるために高らかに歌うような鳴き方

口説き鳴きは、メスが近くにいて交尾を促す為、弱々しく強弱が不安定な鳴き方

脅し鳴きは、オスが自分の縄張りに近付いたり、交尾の後にメスを追い払う為に、ごく短い精一杯に張り上げる鳴き方

良経の歌は、誇張的に独り寝の淋しさをコオロギの鳴き声で表現したものと思われます。

西行の歌は、気温の低下と共に鳴く回数が減る法則を実体験で弱ると表現した事が分かります。

参考
虫はなぜ鳴く 松浦一郎著 文一総合出版 他


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