道成寺 四番五番物 作者不明
紀州の道成寺で鐘供養の日、白拍子が寺内に入り夜に「この鐘怨めしや」と鐘を落として消える。住職は、怨霊の仕業と昔話を語る。山伏に惚れた娘が、毒蛇となって鐘に取り付き、鐘は溶けて山伏も消える。
女 花の外には松ばかり、花の外には松ばかり、暮初めて鐘や響くらむ。
女 道成の卿、うけたまはり、始て伽藍、たちばなの、道成興行のなればとて、道成
寺とは、名付けたり
地 や
地 山寺のや。
女 春の夕暮、來て見れば、入逢の鐘に、花ぞ散ける、花ぞ散ける、花ぞ散ける。
※春の夕暮来てみれば入逢の鐘に、花ぞ散りける
巻第二 春歌下 116 能因法師
山里にまかりてよみ侍りける
山里の春の夕ぐれ來て見ればいりあひのかねに花ぞ散りける