源氏物語の場面不明コレクションと若菜上の場面がほぼ一致する。
源氏と思しき男と前に並べられた四膳、玉鬘と思しき半身の女、女房二人、手前の夕霧と思しき男と構図が同じ。
若菜上の場面
若菜上では、玉鬘が髭黒左大将の子二人と共に、義理の父源氏の四十賀に若菜を献上した。
正月二十三日、子の日なるに、左大将殿の北の方、若菜參り給ふ。ー略ー。南の御殿の西の放出に御座よそふ。屏風、壁代よりはじめ、新しく払ひしつらはれたり。うるはしく倚子などは立てず、 御地敷四十枚、御茵、脇息など、すべてその 御具共、いときよらにせさせ給へり。螺鈿の御厨子二具に、 御衣筥四つ据ゑて、夏冬の御装束。香壺、薬の筥、御硯、ゆする坏、掻上の筥などやうのもの、うちうちきよらを尽くし給へり。御插頭の台には、沈、紫檀を作り、めづらしきあやめを尽くし、 同じき金をも、色使ひなしたる、心ばへあり、今めかしく。
ー略ー
幼き君も、いとうつくしくてものし給ふ。尚侍の君は、うち続きても御覧ぜられじとの給ひけるを、大将、かかるついでにだに御覧ぜさせむとて、二人同じやうに、振分髪の何心なき 直衣姿どもにておはす。
相違点
若菜では、玉鬘が源氏に若菜を献上するが、玉鬘の子二人が登場する。しかし、拙コレクションでは、童子の代わりに僧侶となっている。四十賀の行事に僧侶は不要。
結論
源氏物語絵では、他の場面の構図を借用して作画する事がある。従って、拙コレクションは、若菜の構図を借用した他の場面であると推察される。