○ながめ侘ぬ秋より外のやどもがな野にも山にも月や
すむらん
本哥
さびしさに宿を立ち出てながむればいづくもおなじ秋の
夕暮
ながめわびぬはながめくたびれたる心なり。三千界の
うちいづくも秋ならば悲しき事はのがれん
がたもあるまじければ眺わびぬとなり。野
も山も月のかき所はあるまじと也。定家哥
引
秋よ只眺すてゝも出なましこの里のみのゆくと
思はゞ
堀河院御哥
○しき嶋やたかまの山の雲まよりひかりさしそふ弓はり
の月
しきしま そうみやう
敷嶋とは日本の総名也。弓はり月とは上弦下弦
の事を云なり。八日九日比の月を上弦といひ
たかまど まと
廿二三日比を下弦と云り。高円山を的によみ
なせり。
※しき嶋やたかまの山→しき嶋やたかまど山
奈良県高円山
※出典不明