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恋歌一 沼に寄せる恋 伝正般筆コレクション

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新古今和歌集 巻第十一恋歌一

          中納言ともたヽ

人つてにしらせてしかなかくれぬの

  みこもりにのみ恋やわたらむ

   女につかはしける

          たかとを

みこもりのぬまのいはかきつヽめとも

  いかなるひまにぬるヽたもとそ

          けんとくこう

から衣そてに人めはつヽめとも

  こほるヽものはなみたなり
               けり

          きんたう

あまつそらとよのあかりにみし人の

  なほおもかけのしひて恋しき

あらたまのとしにまかせてみるよりは

  われこそこえめあふさかのせき

天暦御時歌合に             中納言朝忠

人傳に知らせてしがな隱沼のみごもりにのみ戀ひや渡らむ

読み:ひとづてにしらせてしがなかくれぬのみごもりにのみこいやわたらむ 隠

意味:人を介しても私の秘めた思いを伝えたいものだ。一面草に覆われている沼の水の中に隠れているような恋がこのまま続くのだろうか。

作者:藤原朝忠ふじわらのあさただ910~966定方の子。土御門中納言と号する。多彩な恋愛相聞歌、晴の歌を残す。三十六歌仙の一人。

備考:天暦御時歌合 八代抄、新古今注


初めて女に遣はしける            大宰大貳高遠

みごもりの沼の岩垣つつめどもいかなるひまに濡るる袂ぞ

読み:みごもりのぬまのいわがきつつめどもいかなるひまにぬるるたもとぞ 隠

意味:水の中にある沼を包んでいる岩垣のように、面には出ないで貴女への思いを包み隠しているのに、どうしてその間から水が漏れる様につい私の袂が涙で濡れてしまうのでしょうか

作者:藤原高遠ふじわらのたかとお949~1013?斉敏の子。中古三十六歌仙の一人。笛の名手。

備考:新古今注


いかなる折にかありけむ女に        謙徳公

から衣袖にひとめはつつめどもこぼるるものは涙なりけり

読み:からころもそでにひとめはつつめどもこぼるるものはなみだなりけり 隠

意味:衣の袖に私の恋心は、人目につかない隠していますが、隠しきれないものは貴女を思って流す涙なのですよ

作者:藤原伊尹ふじわらのこれただ924~972これまさとも。師輔の子。摂政太政大臣で一条摂政とも呼ばれた。撰和歌所別当となり後撰和歌集に関与。 

備考:八代抄

 

 

左大將朝光五節舞姫奉りけるかしづきを見て遣はしける

                         前大納言公任

天つ空豐のあかりに見し人のなほおもかげのしひて戀しき

読み:あまつそらとよのあかりにみしひとのなおおもかげのしいてこいしき 隠

意味:豊明節の五節の舞に付き添われた貴女を見て、その面影が今なおどうしようもなく恋しく思われます

作者:藤原公任ふじわらのきんとう966~1041実頼の孫。正二位権大納言通称四条大納言。四納言の一人。三十六歌仙を撰んだ。和漢朗詠集などの撰者。

備考:八代抄、新古今注、宗長秘歌抄


つれなく侍りける女に師走つごもりに遣はしける

                         謙徳公

あら玉の年にまかせて見るよりはわれこそ越えめ逢坂のせき

読み:あらたまのとしにまかせてみるよりはわれこそこえめおうさかのせき 隠

意味:年月の流れに任せて、貴女にお逢いできるのを待つよりも、私があの逢坂の関を越えるように、障害を乗り越えて逢いに行きます

作者:藤原伊尹ふじわらのこれただ924~972これまさとも。師輔の子。摂政太政大臣で一条摂政とも呼ばれた。撰和歌所別当となり後撰和歌集に関与。

備考:本哥 待つ人は来ぬと聞けどもあらたまの年のみ越ゆる逢坂の関(後撰集雑歌四)。一条摂政集では第四句は「我こそこさめ」。歌枕名寄

正般(しょうはん 永享五年1433-?)室町-戦国時代の歌人。 正徹、その弟子正広に学ぶ。正徹二十五回忌和歌を勧進。文亀元年(1501)「山何百韻」に出座したときに69歳という。号は招月庵。

肆點陸


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